サンフレッチェ広島の鈴木章斗【写真:元川悦子】
毎シーズン優勝争いを演じながらも、ミヒャエル・スキッベ監督体制では頂点に届かなかったサンフレッチェ広島。その壁を打ち破る存在として迎え入れられたのが、22歳のストライカー・鈴木章斗だ。得点源としての役割を背負い、日本代表という目標を胸に秘めながら、鈴木は広島で新たな挑戦を始めている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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「どこのチームが一番自分にとっていいのかを考えた時…」
サンフレッチェ広島の鈴木章斗【写真:元川悦子】
2022〜25年のミヒャエル・スキッベ監督(現ヴィッセル神戸)体制では、3位・3位・2位・4位と毎年のように優勝争いを演じたサンフレッチェ広島。2022年と2025年に2度のJリーグYBCルヴァンカップは獲得したものの、「あと一歩、突き抜けきれない」という印象も拭えなかった。
そこで、クラブは今季からポーランド系ドイツ人のバルトシュ・ガウル監督を招聘。リーグタイトルを取れるチームを作るべく、本格的な強化に取り組んでいる。
石垣島での1次キャンプを経て、現在は宮崎2次キャンプで攻撃面の戦術浸透を図っているところだが、そのカギを握ると見られるのが、新戦力の鈴木章斗だ。
2024年と2025年のJ1でそれぞれ10得点・9得点を奪っている22歳の若き点取り屋の移籍は、“J1百年構想リーグ開幕前最大の目玉”という見方もあるほどだ。
「日本代表に入るために、どこのチームが一番自分にとっていいのかを考えた時に、やっぱり広島だった」と本人は宮崎でストレートに語っていた。
湘南ベルマーレから広島を経て、代表・海外という飛躍を遂げていった先輩・大橋祐紀、田中聡の姿が印象に残っていたのだろう。
「自分はまだまだ…」

湘南ベルマーレではキャプテンを務めていた鈴木章斗【写真:Getty Images】
「確かにそういうルートができているのはありますけど(笑)、特にそこは意識していなくて、本当に自分が成長できる環境だと思って選びました」とは言うものの、彼ら以上の成長曲線を辿っていこうという意欲は強いはずだ。
「来てみたら、年齢的に上の人がすごく多かった。湘南は年下も何人かいて、自分はキャプテンをやっていてましたけど、ここで改めて『自分はまだまだ若いんだ』と痛感させられた。謙虚な姿勢でのぞんでいけますね」と鈴木は30代の塩谷司や佐々木翔、ジャーメイン良といった先輩たちからさまざまなことを学びつつ、新境地を開拓していく構えだ。
彼に求められるのは、ズバリ、ゴールという結果。ご存じの通り、広島は昨季も総失点「28」とリーグ最少だったが、得点数が伸び悩んだがゆえにJ1優勝を逃している。
1年ぶりに復帰した松本泰志も「広島に足りないもの? 得点力じゃないですか」と指摘していたが、鈴木がケタ外れの数字を残してくれれば、百年構想リーグ優勝はもちろんのこと、夏開幕の26/27シーズンも頂点に立てる可能性は一気に高まるはずだ。
「まだまだ合わせきれていないなと…」
サンフレッチェ広島戦でプレーする鈴木章斗【写真:Getty Images】
「守備のタスクをこなすことも必要ですけど、本当に点を取ることだけを意識してやりたいと思っています。監督にもそう言われましたし、そのためにも周りと合わせていくことが大切ですね。
ここまでのトレーニングマッチでは『まだまだ合わせきれていないな』と感じる部分もあります。周りからはそこまでメチャクチャ合ってないとは言われてないですけど、僕としてはもっと自分のスタイルを練習から理解してもらえればなと感じます。
他の選手たちも昨年までの広島のサッカーが染みついていると思うし、『どこで点を取りに行くのか』というのが明確にあったはず。それを僕が完全に分かっていないので、早く理解したいです」と本人ははやる気持ちを抑えられないようだ。
特にポイントとなるのが、クロスに合わせる動き。サイドアタックが大きな武器である広島は外からの攻めが多い。にもかかわらず、鈴木自身は「自分はクロスに合わせるのが不得意」なのだという。