ミハイロ・ペトロヴィッチを新指揮官に迎えた名古屋グランパスは、低迷した昨季の雪辱に燃えている。2025年夏、シーズン途中に加入した木村勇大も1得点の不完全燃焼に終わり、今季は爆発を狙いたいところ。22番を身にまとう点取り屋は、プレーの幅を広げながらチャンスをうかがう。(取材・文:元川悦子)
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「いい味を出してます」木村勇大が感じる手応え
長谷川健太監督が率いた2022〜2025年は5位・8位・11位・16位とJ1優勝争いから遠ざかり続けた名古屋グランパス。とりわけ昨季はシーズン序盤からまさかの低迷を強いられ、何とかJ1残留を決めたものの、オリジナル10の名門としては納得できない結果だったに違いない。
迎えた2026年。彼らはサンフレッチェ広島、浦和レッズ、北海道コンサドーレ札幌で長く指揮を執ったベテラン指揮官であるミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘。チーム再建に乗り出したところだ。
ミシャサッカーは3バックと4バックを臨機応変に使い分けながら走力と迫力を押し出し、敵を凌駕して得点を奪って勝ち切るスタイル。ただ、1月12〜24日の沖縄キャンプでは速い攻めにもトライしていた模様。百戦錬磨の名将も現代サッカーのトレンドをキャッチし、目指すべき方向性をブラッシュアップしている様子だ。
こうした中、昨季までとは異なるポジションで使われているのが木村勇大だ。
185センチ・84キロの屈強なフィジカルを武器に1トップでプレーすることが多かった彼だが、今季は2シャドウの一角に入り、数多くのゴールに関与。キャンプ中のFC東京、水戸ホーリーホック、RB大宮アルディージャとの練習試合では3得点とチーム得点王に輝いているのだ。
「シャドウでいい味を出している?そうですね。いい味を出してます」と木村は爽やかな笑顔をのぞかせたが、本人も一列下がったことにやりがいを感じているという。
「僕はFWなんで…」
「ゴールに集中的に行くのは最前線と変わりませんけど、自分のところを経由する部分があったりしてプレーの幅も広がる。成長できるところが沢山あるんで、すごく楽しいですね」と本人も前向きに話したのだ。
今のところ最前線のファーストチョイスは山岸祐也で、シャドウはマルクス・ヴィニシウスと組むことが多いようだが、彼らとの連係面も日に日に向上しつつある。ミシャ監督もアイディアを認めてくれているようで、木村は非常にやりやすさを感じているという。
「チームとしての狙いは数多く言われていますけど、自分からも『こうじゃないのかな』と監督に意見を伝えている。それを一緒にすり合わせながらやれているのがいいところですね。
監督も名前を呼びやすいのか『キムラ』とよく声をかけてくれますし、『とにかくゴール前の自分が決めた位置にいてほしい』と言われているんで、それを守りながらゴールに集中できている。
僕はFWなんで、点を決めれば誰も文句は言わないと思うし、誰よりも足を振ってゴール前に顔を出せるようにこだわってやっていくつもりです」
そう口にする木村は、昨夏の名古屋移籍後1得点に終わった悔しさをバネに、一気にブレイクしていく構えだ。
野心に満ち溢れる24歳の大型FWを目下、力強くサポートしてくれているのが、元日本代表の玉田圭司コーチである。
「タマさんから吸収できることを全部吸収して…」
玉田コーチは名古屋2年目だが、その前に昌平高校で1年間監督を務め、山口豪太や長璃喜ら次世代のアタッカーを直々に指導。大きく伸ばした実績がある。
若い選手へのアプローチ方法を心得ている指導者ということで、木村もより信頼して向き合えるはずだ。
「(東京)ヴェルディの時は(コーチの森下)仁志さんにシュート練習に付き合ってもらっていましたけど、『名古屋に行っても毎日シュート練習を絶対にやる』と約束してここに来ました。
そして今、一緒にやってくれているのがタマさん。そんなに口数が多いタイプの人じゃないですけど、喋る機会も今年増えましたし、いいアドバイスをもらっている。
キャンプ期間中はキツすぎてできない日もありましたけど、やれる日は基本やったんで、それが練習試合の結果にもつながっているのかなと。『たまたまじゃないな』と手ごたえも感じているので、これからもタマさんから吸収できることを全部吸収して、やり続けたいと思います」
玉田コーチとの関係もそうだが、やはり移籍から半年が経過したことは大きい。昨年8月の加入直後は長谷川前監督の戦い方に戸惑ったり、チームメートの特徴をつかみきれず苦しんだ時期もあった。
チームが下位に低迷していたため、「自分が点を取って勝たせないといけない」というプレッシャーも強く、結果的に空回りしてしまった部分も皆無ではなかったようだ。
しかしながら、今は名古屋での自分自身を確立させつつある。それが充実感につながっているのだろう。木村は開幕に向けてこう語る。



