
柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】
31日、恒例のプレシーズンマッチ「ちばぎんカップ」が行われ、柏レイソルがジェフユナイテッド千葉に2-1で勝利した。昨年6月に柏へ加入した小見洋太は、悔しさを抱えたまま終えた昨季を糧に、新シーズンへと歩みを進めている。小屋松知哉の移籍で左ウイングバックの争いが激化するなか、本職ではない立ち位置で巡ってきたチャンスに挑もうとしている。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「記者の方に聞かれると思って…」
アルビレックス新潟時代の小見洋太【写真:Getty Images】
埼玉県の強豪・昌平高校から新潟へ加入して5年目の昨年6月。覚悟を決めて完全移籍で加入した柏ではすべて途中出場でわずか7試合、プレータイムわずか110分、そしてノーゴールに終わった。
シャドーでの起用が中心だった柏での半年間を、小見は「もちろん悔しかったですけど」と振り返る。
「それが自分への評価ですし、チームの状況もよかったので、半分は仕方ないかなと。あきらめていたわけじゃないですけど、受け止め、受け入れながらモチベーションだけは高く保って取り組んできました。
昨シーズンは戦術を詰め込む作業が中心でした。そのなかで一度サッカーから離れたオフによくなかった部分が削ぎ落とされて、精神的にもどんどんチャレンジできる循環になっていると思います」
前半早々に柏が先制した千葉戦は1-1で迎えた83分に、久保が利き足とは逆の左足で右サイドから決めた絶妙のミドルシュートが決勝点になった。すでにベンチへ下がっていた小見は決意を新たにした。
「WBの仕掛けは監督から強く求められている。右の藤次郎くんは対策されるはずだし、そこで僕がどこまでできるか。今シーズンにチームがどこまでいけるのかを占うポジションだととらえています」
週末には秋春制へのシーズン移行に伴って開催される特別大会、Jリーグ百年構想リーグの地域リーグラウンドEASTが開幕。柏は8日に川崎フロンターレのホーム、Uvanceとどろきスタジアムへ乗り込む。
昇降格のない半年間の戦いへ、小見は最低5ゴールを自らに課した。理由を問われると「記者の方に聞かれると思って考えておきました」と悪戯っぽい笑顔を浮かべながら、こんな言葉を紡いでいる。
「最初の通過点として…」

柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】
「1シーズンを考えたときに2桁というところで、半分の5ゴールに取り組んでいこう、と。5ゴールを達成できればどんどん積み重ねていけると思うので、ノルマというか、最初の通過点として設定しました」
両翼を形成する久保は、逆サイドで躍動する身長169cm・体重67kgのダイナモに「小見ちゃんがすごく活き活きとプレーしている、というのは見ていて感じました」と新コンビ誕生に声を弾ませた。
小見も「そう見られるのは、自分のなかでいい変化があるのかもしれないですね」とこう続けた。
「積極的にどんどん仕掛けろとはかなり強く言われていますし、そういったところは意識してプレーしています。ただ、そこに関してもやはり自分のタイミングや間合いというものもあるので。
なので、いい意味で無視する、じゃないですけど、うまく受け流しながら自分のよさを発揮していって、それを数字という結果につなげていけば。そうなれば周りから何も言われないと思っています」
千葉戦後の取材エリアに、小見は首の左側に痛々しい引っかき傷をつけたまま姿を現した。
「まあ、戦った証ということで。(誰につけられたのかは)まったく覚えていないですね」
質問に余裕を漂わせながら対応する小見の姿も、実は昨シーズンの柏ではなかなか見られなかった。
前への強力な推進力とゴールに絡む仕事への飢餓感、そして衰えを知らない闘争心。鹿島アントラーズに勝ち点1差の2位で昨シーズンを終えた柏の左サイドに、丸刈り頭を貫く新たな脅威が産声をあげた。
(取材・文:藤江直人)
【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
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