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J1 2か月前

「いい意味であきらめました」柏レイソルで始まる熾烈な競争。小見洋太が追い求める「自分にしかできないプレー」とは【コラム】

柏レイソル、小見洋太

柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】



 31日、恒例のプレシーズンマッチ「ちばぎんカップ」が行われ、柏レイソルがジェフユナイテッド千葉に2-1で勝利した。昨年6月に柏へ加入した小見洋太は、悔しさを抱えたまま終えた昨季を糧に、新シーズンへと歩みを進めている。小屋松知哉の移籍で左ウイングバックの争いが激化するなか、本職ではない立ち位置で巡ってきたチャンスに挑もうとしている。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
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「単純に面倒くさかったので…」

柏レイソル、小見洋太

柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】

 愛用のバリカンを取り出し、刃に同じく使い慣れたアクセサリーパーツのアタッチメントを取り付けた。設定した髪の毛の長さは9ミリ。これも昨年6月まで所属したアルビレックス新潟時代から変わらない。

 ホームの三協フロンテア柏スタジアムにジェフユナイテッド千葉を迎える伝統のプレシーズンマッチ、ちばぎんカップを翌日に控えた1月30日の夕食後。柏レイソルの小見洋太は自分だけの儀式に臨んでいる。

 昨シーズンは髪をやや長目に伸ばし、金色に染めていた。いまは黒色に戻している小見が笑う。

「この髪型が自分のベースなんですよ。(維持するのが)単純に面倒くさかったので(昨年末に)切りました。気合いを入れるというよりは、定期的に手入れをしている感じです。昨日の晩もそうでした」



 初心に戻る意味も込めているのか。こう問われた小見は、今度は苦笑しながらこう続けた。

「ドライヤーをかける時間もなくなったので、その分、サッカーにあてられている感じですね」

 気合いも原点回帰も関係なかったかもしれない。それでも千葉戦へ向けて、胸中には特別な思いを募らせていたはずだ。だからこそ、自らの手でトレードマークでもある9ミリの丸刈りに仕上げた。

 千葉戦で先発を告げられたポジションは左ウイングバック(WB)。しかも、と小見が続ける。

「今日が初めて先発組で…」

柏レイソル、小見洋太
柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】

「左WBをやり始めたのが2日前くらいで、今日が初めて先発組でプレーしたんですよ」

 1月24日まで行われた鹿児島・指宿キャンプで、小見の主戦場は右のWBだった。ぶっつけ本番と言っていいコンバート。リカルド・ロドリゲス監督とのやり取りを思い出した小見が苦笑する。

「監督から『できるか』と聞かれたので、試合に出るためには『できます』と答えるしかありませんでした。右WBでやってきたことと、左で変わるところを頭のなかで整理しながらプレーしました。

 ただ、昨シーズンはポジション的にどこで出るのかが定まっていませんでした。そこをWBで固定してもらえた分だけ、頭のなかがクリアになりましたし、左にも適応できたと思っています」


 柏の右WBは、昨夏の東アジアE-1サッカー選手権で日本代表デビューを果たした久保藤次郎がファーストチョイス。小見も指宿キャンプ中の実戦練習で一度も先発では起用されなかった。

 対照的に左WBは昨シーズンの37試合を含めて、柏での4年間で136試合に出場した小屋松知哉が名古屋グランパスへ移籍。新戦力が求められる状況で、キャンプではヴィッセル神戸から移籍した汰木康也や浦和レッズから移籍した大久保智明、東洋大学から新加入した山之内佑成らがプレーしていた。

 そうした候補者を押しのける形で先発する左WBへ、小見はこんな思いで臨んでいる。

「自分の色をどこまで…」

柏レイソル、小見洋太
柏レイソルの小見洋太【写真:Getty Images】

「コヤくん(小屋松)と同じプレーをしろ、と言われてもできないので、そこはいい意味であきらめました。規律を守りつつ、自分にしかできないプレー、自分の色をどこまで出せるのかをずっと考えています」

 自分だけが出せる色とは何なのか。小見は組織力に個人技を融合させる部分だと具体的に言及した。

「自分で相手ボールを奪い切ってからの攻撃でどこまで持ち運べるか、最終的にゴールを決め切れるかですね。自分の良さを左WBで、与えられたポジションでどんどん発揮していきたい。

 レイソルは組織的なサッカーが強みですけど、そのなかでも単独で仕掛けてゴールまで奪い切るプレーができる可能性は、自分が一番可能性を秘めている。なので、自信をもってチャレンジしていきます」



 千葉戦では14分と36分に惜しいシュートを放った。前者はDF髙橋壱晟にブロックされ、内側へ切り込んでから対角線上へ、カーブの軌道をかけて放った後者はGK若原智哉のファインセーブにあった。

 右コーナーキックに変わった2本目の一撃を自画自賛しながら、小見は課題も挙げている。

「我ながらいいタイミングだったというか、うまく力を抜いてリラックスした体勢から僕にしか打てないシュートだったと思います。あれも自分の武器として、打つ本数やバージョンをさらに増やしていきたい。

 ただ、過程がどうであれ、試合で何ができたかが一番大事になる。積極的にゲームに入れたのもチャンスを演出できたのもポジティブな材料だけど、アシストやゴールという具体的な数字は残せなかったので」

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