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「はい。すみません」清水エスパルスで初の“勝ちロコ”も。本多勇喜が「それどころじゃなかった」と振り返ったわけ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

清水エスパルス、本多勇喜
清水エスパルスの本多勇喜【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグWESTの第3節が21日に行われ、清水エスパルスはホームでヴィッセル神戸を1-0で下し、今季初勝利を手にした。神戸から新加入した本多勇喜にとって、勝利後の儀式となっている「勝ちロコ」を体験するのはこれが初のことだったが、「それどころじゃなかった」と振り返る。その理由とは。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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移籍の決め手「そうですね。はい」

清水エスパルスの吉田孝行監督
清水エスパルスの吉田孝行監督【写真:Getty Images】

「僕は清水エスパルスで、タカさん(吉田監督)と一緒にタイトルを獲るために移籍してきました」

 昨シーズンの神戸のホーム最終戦だった11月30日のFC東京戦後のあいさつで、吉田監督は涙ながらに退任を電撃発表。全日程を終えた直後の12月8日には、清水の新監督就任が発表されていた。

 吉田氏が先に清水の監督就任が決まっていたのを踏まえたうえで、キャリアで3度目の移籍を決めたのか。名古屋グランパスを皮切りに京都、神戸と歩んできた本多は「そうですね。はい」と答えた。

 神戸で実績を残した新指揮官のもとで、清水はどのようなサッカーを体現していくのか。吉田監督から新キャプテンに指名された22歳の宇野禅斗は「ひと言で言えば勝つサッカーですね」とこう説明する。

「タカさんの説明で印象的なのは確率という言葉です。攻撃でも守備でも、こうすれば得点する、あるいは失点しない確率が高くなるよね、と。自分たちとしてもすごく落とし込みやすいと感じています」



 神戸のコーチに就任した秋葉忠宏前監督のもとで、清水は<3-4-2-1>を主戦システムとして戦った。一転して今シーズンは<4-3-3>へシフト。中盤もダブルボランチからアンカーを置く形に変わった。

 前線から激しくプレスをかけ、奪ったボールを素早く縦へつなげるコンセプトを含めて神戸のサッカーが踏襲されている。身長194cmのオ・セフンを獲得したのも、前線でターゲットマンにすえるためだ。

 そして相手の攻撃をはね返す強さと高さ、そして前線へのフィード能力が求められるCBで、本多は住吉ジェラニレショーンとのコンビで開幕から3戦連続で先発し、ともにフル出場を果たしている。

 左利きの左CBという利点も、オ・セフンをはじめとする前線へ素早くフィードするうえでプラスに働いているのか。元日本代表の大迫勇也を中央にすえた神戸時代を踏まえながら本多はこう語っている。

「あそこで起点作ってくれるから…」

清水エスパルスのオ・セフン

決勝点を決めた清水エスパルスのオ・セフン【写真:Getty Images】

「僕はずっとタカさんと一緒にやっているので、やりやすさがあるというか、それが普通ですけど。あそこで起点作ってくれるからみんな前を向けるというか、相手ゴールに向かっていきやすいと思っています。

 みんなもハードワークし続けて球際でもしっかりと勝てていましたし、一人ひとりがやるべきプレーをやるなかで、前前からプレスもかけられたので、そこはよかったと思っています」

 新しい戦い方が徐々に落とし込められているからこそ、開幕3試合目にして初のクリーンシートも達成。試合終盤には怪我人が出て9人になった神戸のシュート数を、後半にいたっては「0」に封じ込めた。

「クリーンシートは当然のように毎試合やるべきだと思うし、それがチームの勝利につながる。今後もゼロで抑えるのは継続しながら、修正できるところは繰り返し修正してやっていけたらと思います」

 待望の初勝利に気を引き締めた本多にとって3試合連続の先発フル出場は、昨年4月から5月にかけた4試合連続以来だった。



 それも「勝ちロコ」をうまく踊れなかった原因だったのか。本多が首を横に振る。

「試合は常に全力なので正直、疲れるんです。そのなかで(連続出場に)慣れていければ」

 後半途中からは韓国代表経験もある身長184cmの新加入CB、パク・スンウクが右サイドバックでデビューを果たした。

 3連続でベンチ外だった昨シーズンの主力CB蓮川壮大もこれから戻ってくるだろう。

 吉田新監督が求めるコンセプトの最大の理解者、という立ち位置に甘えるつもりなど毛頭ない。ライバルたちとの激しい競争を勝ち抜きながら、35歳のベテランは新しいチャレンジを加速させていく。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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【了】

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