清水エスパルスは2月14日、明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第3節でヴィッセル神戸と対戦し、1-0で勝利した。今季、法政大学より加入した大卒ルーキーの日髙華杜は、開幕から3戦連続でスタメンの機会を勝ち取った。しかし、そこに至るまでにはいくつかの逆境があった。(取材・文:榊原拓海)[2/2ページ]
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清水エスパルスでサイドバックをやるならば…
続く第2節の京都サンガF.C.戦では、チームとして右サイドから攻撃に移る回数が増加。日髙も敵陣でMFマテウス・ブエノやMF小塚和季からのパスを受け、攻撃の組み立てにかかわるプレーを見せた。
高い位置でのクロス精度など課題も残した一方で、前節・名古屋戦で得た反省点を次の試合に活かすプレーが、ポジティブに見えないはずがない。守備面でも右サイドを破られるシーンが減少し、本人も少なからず前向きな言葉を口にしていた。
「大前提として、チームとしての守備を組織的にやっているので、自分だけ(の功績)ではないです。ただ、右サイドから相手にクロスを上げられる回数は京都戦の方が少なかったです。そこはいい形でやれたんじゃないかなと思います」
そして迎えた第3節の神戸戦、チームは明治安田J1百年構想リーグの初白星を手にし、日髙も71分までピッチに立って勝利に貢献した。序盤の19分にDF山川哲史が退場し、神戸が数的不利に陥ったことで、チームとして攻め込まれる回数自体が決して多い試合ではなかったが、日髙個人としては要所で対人の強さを見せたことも事実。だが、試合後の彼は「チームとして勝てたことは良かったのですが、個人的には多く課題が残る試合でした」と話しており、自己評価は徹頭徹尾厳しかった。
彼が挙げた課題は「守備面では1つ1つの競り合い、攻撃面ではキックの精度」。試合前の時点で明かしていた「このサッカーでサイドバックをやるならば、もっと運動量を増やさなければ」との言葉も、現状はフル出場がない事実を踏まえての発言だろう。
フリーランニングの質、スペースを突くタイミングなど、自身の強みを遺憾無く示した場面があったにもかかわらず、彼は反省点ばかりを口にした。
「何かを残さなければ…」何が日高華杜を駆り立てるのか
ケガから始まったシーズンで3戦連続スタメンを射抜いたことは、それだけで評価されるべき事実。1試合1試合、着実に階段を上っているようにも見えるが、「ケガをしてしまって難しかったのですが、自分の力だけじゃなくて、本当に周りの選手たちに助けてもらってやっている」との言葉に代表されるように、彼は自らを抜擢した監督やチームメイトに感謝するばかりで、現状の自らに微塵も手ごたえを感じていない。
なぜなら、「何かを残さないとずっと出続けることは難しい」と思っているから。
神戸戦では日髙華杜に代わって投入された韓国代表DFパク・スンウクがデビューを飾った。最終ラインのケガ人が戻ってくれば、現在は左SBを務める吉田が、キャンプの時と同様に右SBに回る可能性も低くはなく、日髙のポジション争いもより激化する。だからこそ、彼はことあるごとに、「何かを残せるような選手になりたい」と語り、自らのバリューを発揮することに重点を置いてきた。
現状に満足し、首を縦に振ることはない。それは、彼の理想像が今の自分の姿よりも遥か先にあるからだ。デビュー戦の屈辱も、今季始動直後のケガも、彼にとっては遠回りではない。それらすべてを糧にしてもなお、彼は満足しない。
逆境は、彼を弱くしない。むしろ、そのたびに強くなる。満足を知らない限り、その歩みは止まらない。
(取材・文:榊原拓海)
著者プロフィール:榊原拓海
1996年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒。学生時代よりWEBメディアの編集業務にアルバイトとして携わり、2024年よりフリーランスとして活動。現在はサッカー専門新聞『エルゴラッソ』にて清水エスパルスを担当。同メディアを中心に、さまざまな媒体に寄稿している。
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