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J1 21時間前

「文句ひとつ言わずに…」鹿島アントラーズ、柴崎岳が示す「他の選手も見習うべき」姿。限られた時間にすべて懸ける【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images
柴崎岳 鹿島アントラーズ
鹿島アントラーズでプレーする柴崎岳【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンドEAST第4節、浦和レッズ対鹿島アントラーズが2月28日に行われた。勝ち点7で並ぶビッグクラブ同士の一戦は、前半に2点のビハインドを背負った鹿島の逆転勝利に終わっている。途中出場から決勝点をアシストしたのは、昨季苦杯をなめた柴崎岳だ。明確な役割を与えられつつあるキャプテンは、いよいよ復活の時を迎えるのか。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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大一番の序盤、強風が鹿島アントラーズを襲う

鹿島アントラーズ サポーター
圧倒的アウェイの環境に詰めかけた鹿島アントラーズサポーター【写真:Getty Images】

 2月7日のJ1百年構想リーグ開幕節・FC東京戦をPK負けでスタートした後、横浜F・マリノス、柏レイソルに連勝して勝ち点7を稼ぎ、第3節終了時点でEAST3位につけていた鹿島アントラーズ。このまま白星街道を驀進し、2025年J1王者のプライドを見せつけたかった。

 2月28日の第4節は敵地・埼玉スタジアムでの浦和レッズ戦。浦和も今季は好調な滑り出しを見せており、ここまで同じ勝ち点7で並んでいた。

 この日は5万2841人もの大観衆が詰めかけ、鹿島は完全アウェイ状態を強いられたが、絶対に負けるわけにはいかなかった。

 彼らにとって誤算だったのは、凄まじい強風。前半風下に回った鹿島は思うようにボールをつなげず、浦和のハイプレスに遭う。



 今季の浦和は大卒ルーキー・肥田野蓮治の加入もあって、タテへの推進力を前面に押し出しており、序盤はその圧をまともに食らう苦境が続いたのだ。

 まず開始13分、肥田野の強烈シュートがクロスバーを直撃。この2分後の15分には右サイドバック(SB)関根貴大のロングフィードから右MF金子拓郎が一気に前に出て、マイナスクロスを送ると、またも肥田野が詰めてゴール。さすがの守護神・早川友基も防ぎきれない1失点目だった。

 浦和の勢いはとどまるところを知らず、20分にも左CKからキャプテン・渡邊凌磨が追加点をゲット。鹿島は早い時間帯で0-2のビハインドを背負うことになってしまった。

 それでも、鹿島の選手たちは決してひるまなかった。

「別にそんな自分たちが慌てる必要はない」

渡邊凌磨 浦和レッズ
浦和レッズの2点目をあげた渡邊凌磨【写真:Getty Images】

「個で一瞬のゴールとセットプレーでやられてたんで、別にそんな自分たちが慌てる必要はないっていう話をしてました」と鈴木優磨も話した通り、巻き返しへの機運が失われることはなかった。

 それが前半のうちに結実する。40分のセットプレー時に関根がハンドを犯してPKをゲット。これをエースFWレオ・セアラが確実に仕留め、試合を1-2で折り返したのである。

「前半のうちに1点を返せたのはまずよかったですね」とベンチから戦況を伺っていたキャプテン・柴崎岳も冷静に言う。今の鹿島なら多少の劣勢に陥っても確実に巻き返せるという自信が彼自身にもチーム全体にもあったのだろう。

 後半に入ると、本当にその通りの流れになる。



 今度は風下に回った浦和がトーンダウンする傍らで、鹿島は一気にギアを上げ、55分の同点弾に結びつける。

 このシーンは樋口雄太の右CKからだったが、後ろから飛び込んだ鈴木優磨がガラ空き状態。完璧なヘッドで2-2に追いつくことができたのだ。

 このまま行くとPK戦になってしまうが、両者ともに勝ち点3が喉から手が出るほどほしかった。

 浦和のマチェイ・スコルジャ監督、鹿島の鬼木達監督ともに次々と交代カードを切ったが、それが奏功したのは鹿島の方。特に目覚ましかったのが、ラスト2分で出てきた柴崎と田川亨介だった。

「自分がチャンスを作れても1回かなと」

柴崎岳 鹿島アントラーズ
途中出場から結果を残す柴崎岳【写真:Getty Images】

 まず田川はピッチに立つや否や、相手DF根本健太とGK西川周作に向かって激しいチェイシング。バックパスのコントロールを誤った西川がボールを外に蹴り出し、鹿島が左CKを得た。

 そこで最初はチャヴリッチが蹴るのかと思われたが、名手・柴崎の登場でキッカーがスイッチ。柴崎は中の様子をしっかりと見ながら、球威の低い浮き球のボールを中に入れた。

 次の瞬間、知念慶が相手をブロックしていた前にチャヴリッチがスッと入り込み、頭で合わせ、ネットを揺らす。まさに終了直前に値千金の逆転弾を奪い、鹿島は3-2で勝ち切ったのである。

「自分がチャンスを作れても1回かなと思っていたんで、スルーパスだったり、ゴールに直結するようなパスをイメージしていたんですけど、セットプレーでもいいかなと。1本蹴る機会が巡ってきて、それを仕留めよう思ったんで、達成できてよかったと思います」



 背番号10は嬉しいそうにコメント。短時間で目に見える大仕事を遂行したのだ。

 今季の柴崎はベンチスタートが常だが、マリノス戦と今回の2試合で途中出場。“点がほしい時の切り札”という位置づけになっている。

 マリノス戦でもレオ・セアラの決勝弾につながる鋭いスルーパスを供給しているが、そういった“違い”を示せるのが、百戦錬磨のベテランの強みなのである。

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