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前半で交代は「当たり前」。サンフレッチェ広島、山﨑大地は自分を見つめ直す。理想的な“二刀流”は「タイチがいれば大丈夫、と…」【コラム】

サンフレッチェ広島、山﨑大地
サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグ第8節が22日に行われ、サンフレッチェ広島は清水エスパルスに3-1で敗れた。この日、ボランチとしてスタメン出場した山﨑大地は、バルトシュ・ガウル新監督のもと、センターバックとの二刀流に挑戦中だ。シーズンを棒に振る大怪我から復帰した25歳は今、ピッチで確かな存在感を示している。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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ユース→トップではなく大学へ。なぜ?

サンフレッチェ広島、山﨑大地
サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】

「個人としてもチームとしてもプラスしかないので、だからこそ自分が成長していかなきゃいけない」

 新たな挑戦をポジティブに受け止めている山﨑は、ピッチを離れても自己研鑽を続けてきた。

「もっといいボランチの選手のプレーを盗むじゃないですけど、海外の選手の映像に加えて、チーム内では塩谷選手や川辺(駿)選手にいろいろと聞いています。ゲームコントロールの部分でまだまだ足りないので」

 広島県廿日市で生まれ育った山﨑は、中学生年代のジュニアユースから広島のアカデミーで心技体を磨いてきた。

 しかし、ユースを卒団する2019年春に自らの意思で順天堂大学へ進学している。

 当時の決断を、山﨑は「トップチームに昇格したかったですけど」とこう振り返っている。



「ちょうど荒木選手が大卒で入ってくるタイミングでした。トップチームのCBの選手を見たときに、自分が活躍できる姿があまり思い浮かばなかったので、大学で経験を積んで帰ってきたい、と」

 大学卒業時に広島からオファーが届く保証はない。

 それでも、たとえるなら「急がば回れ」を実践した山﨑は広島への加入を勝ち取り、ルーキーイヤーだった2023シーズンにリーグ戦で11試合に出場した。

 しかし、好事魔多し、というべきか。2024年3月のトレーニング中に右膝を負傷してしまう。

 右膝前十字靭帯再建と同半月板縫合の大手術を受け、全治まで最大10カ月で2シーズン目を棒に振った。

良くなかったシーンを見返すのは「きついけど…」

サンフレッチェ広島、山﨑大地

サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】

 復帰を果たしたのは昨年2月。AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)の2試合にピッチに立つと、昨シーズンのJ1リーグでは6試合に出場。9月以降では3試合で先発フル出場して今シーズンにつなげた。

「ピッチに立てるのは当たり前じゃない、というのがすごくわかる。なので、1分も無駄にできない」

 懸命なリハビリで悪夢を乗り越えてきたからこそ、以前にも増して試合に出られる幸せを感じている。

 百年構想リーグでのプレータイムは、ここまで476分間をマークしている。

 これまでの自己最長だった2023シーズンの322分間をすでに更新している状況を、山﨑は通過点として受け止めている。



「これまでとは違ったシーズンになっていますし、これを続けていければと思いますけど、いまのままでは信頼も勝ち取れない。その意味でもう一度自分にベクトルを向けて、何が必要なのかを考えていきたい」

 ハーフタイムでの交代を告げられた清水戦は、自らを見つめ直す大きなきっかけになっていく。

「よくなかったシーンを見直すのはけっこうきついですけど、そこから絶対に逃げずにいきたい」

 リベンジを期した山﨑は、今後も自らのプレーから目を背けずに前へ進んでいきたいと力を込めた。

「タイチがいれば大丈夫、と思ってもらえるような存在に」

サンフレッチェ広島の山﨑大地

サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】

「ミスをしてチャレンジしなくなるよりも、ミスをして当たり前、という心構えでどんどんボールを受けていきたい。

 もちろんミスをしちゃいけないけど、そういうプレーを繰り返しながら成長していきたい」

 追い求めていく未来像は決まっている。

 CBでもボランチでも「タイチがいれば大丈夫、と思ってもらえるような存在になれれば」と自らに言い聞かせる山﨑は、こんな思いもつけ加えている。



「サッカーをしていて僕と同じような大怪我を負うケースは少なくないと思う。その意味で、何て言えばいいのかな、そういった方々へ『まだまだできるぞ』という勇気をしっかりと見せていきたい」

 ドイツを中心に育成畑を歩んできた38歳のガウル新監督のもとで、勝利との二兎を追い求めている広島の新たな挑戦。

 その中心にボランチとの二刀流で大きな存在感を放ちつつある25歳の山﨑がいる。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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【了】

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