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J1 3時間前

「彼自身、感じ取ってほしいな」なぜ浦和レッズは勝負弱いのか? 終盤の失点が増える環境を自ら作っている【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

浦和レッズ・マチェイ・スコルジャ監督
浦和レッズ・マチェイ・スコルジャ監督【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグEASTで5節終了時点では2位と好位置につけていた浦和レッズだが、直近6試合では2PK敗4敗と一度も勝てていない。76分以降の失点数はEAST10チーム中ワースト2位の6失点を記録。勝負弱さの原因を、選手たちの声を拾いながら言語化していくと、浦和が抱える問題の本質に行きつく。(取材・文:編集部)
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強引なカウンター、消耗する体力…

浦和レッズ
浦和レッズ【写真:Getty Images】

 浦和レッズの勝負弱さが際立っている。4月18日にJ1百年構想リーグの第11節で鹿島アントラーズに0-1で敗れたチームは、今季すでに4回目となる試合終盤の失点での敗戦になった。

 しかし、単純にその時間帯だけにフォーカスすれば良いのか。むしろ、今季の結果は、昨季から続く課題が数字に表れる回数が多くなりやすくなっていると、チームの流れを見る方が正しいのかもしれない。

 鹿島と浦和のホームで戦った前回対戦は、前半の半ばまで2得点したものの逆転負けを喫した。

 今回の対戦は0-0で進んだ81分に決勝点を奪われたが、大きな試合の流れは変わらない。パワーを持ってハイプレスに出ていける前半20分から30分くらいまでは浦和に多くのチャンスが生まれ、後半の途中からは鹿島が押し込む状態を作る。


 そして、この苦しい時間帯に浦和はボールをキープして休むことができず、前線が可能性の低い強引なカウンターを仕掛け、押し上げていく後方から中盤がさらに体力を消耗していく。

 長沼洋一は昨季から、このようなマイボールのことについて意見を発信し続けている選手の一人だ。この試合を終えた後、失点場面でカウンターに出ようとしたボールタッチが大きくなってボールを失ったマテウス・サヴィオの功罪について「難しいところですよね、サヴィオの判断を尊重してあげたいと思うし」と思案しながら、その重要性を言葉にしている。

「感じ取ってほしいな」「僕の考えは…」

長沼洋一 浦和レッズ
浦和レッズの長沼洋一【写真:Getty Images】

 「今はその時間帯じゃないよねっていうのも彼自身、感じ取ってほしいなとは思うし。でも、なんかカウンターがチャンスになっちゃう。後ろの意見としては、行ってくれたら助かるんです。でも、無理だなと思ったらボールキープというか、後ろもちゃんと押し上げて、相手陣地でボールを動かすっていうのができないと、どうしても守備の時間が長くなって今日みたいな後半になっちゃうのかなと思います。僕の考えは、守備はどんなやり方でもいいと思っているんです。行くのは行けばいいし、ブロックならブロックでもいいんですけど、その時間が長すぎる」

 昨季も長沼は、完全に押し込まれた状態について「守備のミスは必ず起こる」と現実的な面を指摘していた。確率の低い事象でも繰り返していれば、いつかその時が訪れる。


 前半から今まで以上のパワーを出してフィールドポジションを前方に出していく今季のプレー傾向は、体力の消耗を早める要因となり、厳しい時間帯の訪れを早めることや、そうした時間帯でのミスの発生数を増やすことにつながる。

 マチェイ・スコルジャ監督は「失点のところを見ると、個人のミスが絡んでいます」と鹿島戦後に話したが、その試行回数を増やしてミスの期待値を上げる環境を自分たちで作っているという見方が妥当なのではないだろうか。

負のスパイラル。鹿島アントラーズとの質の差は明らか

鹿島アントラーズに敗れた浦和レッズ
浦和レッズは鹿島アントラーズに連敗を喫した【写真:Getty Images】

 そのようなガス欠状態を避けるためにマイボールの時間を作って、リードしているなら時計を味方につけ、試合終盤まで体力を温存するような試合運びができないことは、昨季から課題として挙がりながら改善できずに進んできたものだった。昨季のそれは途中出場した選手のプレーの質や、交代の効果性という形で議論になっていた。今季は交代策だけでなくゲームマネジメントと名を変えてテーマになるが、本質は同じだろう。

 金子拓郎は「押し込まれて圧力をかけられて、耐えられずに失点というパターンが本当に何回もある。自分たちはもっとボールをキープしながら時間を作るということをしなきゃいけない」としたうえで、「ウイングがファーサイドに対応して6バック気味になっているので、そこからどう押し上げるかというのが今、なかなか難しい状況かなと思います」とも話した。ボールを持てないから全体が下がり、それがさらにボールを持ちづらくし、前線の選手は我慢できずに一発を狙うという負のスパイラルが後半に訪れる。


 結局のところ、この前提を変えるのは自分たちがボールを持つことであり、必要なのはその要素ともっと向き合ったチーム作りをすることだろう。この鹿島戦だけを見ても、ボールを持った選手が相手をどれだけ観察できるか、1人だけでなく2人、3人とボールを受ける動きをしながら、それが連動していくのかという点で見た時に、質の差は明らかだった。

 PK負けの2試合を含む6連敗となった浦和が百年構想リーグで頂点を狙う状況ではないが、8月に開幕する2026/27シーズンを見据えるならば、目を背けられない課題を提示されていると言えるだろう。

(取材・文:編集部)

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【了】

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