フットボールチャンネル

J1 4時間前

ジェフ千葉、日高大は3ヵ月で変わった。「J1と自分の距離感」を測れずにいた過去。今は「そうじゃないから」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 フリーライター photo by Getty Images
ジェフ千葉、日高大
ジェフユナイテッド千葉の日高大【写真:Getty Images】



 J1初挑戦のシーズン、ジェフユナイテッド千葉の日高大は明確な目標を定められずにいた。下部リーグから積み上げてきたキャリアゆえに、頂点との距離感を測れなかったからだ。遅咲きのサイドバックはいま、もうひと花を咲かせるために走り続けている。(取材・文:菊地正典)[1/2ページ]
——————————

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第11節
東京ヴェルディ 1-0 ジェフユナイテッド千葉
味の素スタジアム

「目標設定が難しいんですよね」

ジェフ千葉の日高大と田口泰士
昨シーズンJ1昇格を決めたジェフユナイテッド千葉【写真:Getty Images】

 3カ月ほど前、日高大は今季の具体的な目標を定められないまま、チームの始動日を迎えていた。

「これまでは昇格を目指して戦ってきましたけど、今年は初めてそれがない。優勝しか目指すものはないんだけど、まだそう言える段階ではない。かと言って、何位以内という甘いことを言いたくもない。目標設定が難しいんですよね」

 大学卒業から10年目という区切りのシーズンで初めて挑戦するJ1の舞台。若い選手なら無邪気に夢のような目標を立てられるのかもしれないが、2カ月後に31歳を迎えようとしている日高はそういうわけにもいかない。

 具体的なイメージが沸かないというのが本音だった。



 それは、J1にたどり着くまでの単なる年数だけではなく、経歴も大きく関係している。

 流通経済大学を卒業したのち、2017年に加入したのはHonda FCだった。

 Jリーグのクラブからもオファーがあった中で、Jリーグ参入を目指さないJFLのHondaを選んだのはJリーグで通用する自信がなかったからだが、日中には車の部品を製造しながら2年間でプロになれなければ、そのままHondaの一般社員になると決めていた。

「僕が見ていた景色からJ1は遠すぎた」

ジェフ千葉、日高大
ジェフユナイテッド千葉の日高大【写真:Getty Images】

 2019年に移籍したいわきFCではプロ契約できたものの、当時のいわきはさらに下のカテゴリー、J1から数えて5部に相当する東北1部リーグで戦っていた。

 それからいわきでJFL、J3への昇格を経験し、小林慶行監督の就任1年目となった2023年にジェフユナイテッド千葉に加入する。

 開幕3試合こそメンバー外だったが、すぐに左サイドバック(SB)のレギュラーの座をつかんだその年にはJ1昇格プレーオフ準決勝で東京ヴェルディに敗れて悔し涙を流した。

 さらにリーグ最終節でJ1昇格の可能性が完全に潰えた2024年を経て、2025年にリーグ3位で進出したJ1昇格プレーオフを勝ち抜き、ようやくJ1の舞台にたどり着いた。



 これまでの道のりは長すぎて、J1でプレーできないまま現役生活を終えるのではないかと思う日々もあった。

「だから、俺にとってはボーナスステージのようなもので、いままでやってきた自分へのご褒美として捉えているんです。

 決して自分の力だけでここまで来たわけじゃない。みんなそれぞれあると思うんですけど、僕が見ていた景色からJ1は遠すぎた。だから正直、全然見当がつかないんですよ」

 それから3カ月余り。明治安田J1百年構想リーグの半分を戦い終えると、日高は決して小さくない手応えを感じていた。

「いざ戦ってみると…」

ジェフユナイテッド市原・千葉MF日高大
ジェフユナイテッド千葉の日高大【写真:Getty Images】

 シーズン前から予想していたように、強度やクオリティーはやはり違った。そのちょっとの差が大きい差になっていくというのも予想どおりだった。

 ただ、周りを見渡してみれば、過去にJ2で対戦した選手は決して少なくない。

 何より感じたのは、手応えと自身への期待である。



「昇格を決めたときはすごく満足感がありましたし、シーズン開幕前はJ1と自分の距離感を測れずにいましたよね。でも、いざ戦ってみると、『もっとやれるな』と感じる。シーズンが始まる前より貪欲になっています」

 周囲と連係しながらスピードを武器とした躍動感あふれる突破力が日高の最大の魅力だが、J1で戦ううえで新たな武器を手にしてほしいと小林監督が選手に要求する中、動き方やポジショニングで新たなチャレンジもしている。

 そうして迎えた第9節のヴェルディ戦は格別だった。

 2-2で迎えた85分にゴール。これまで4つのカテゴリーでゴールを決めてきた日高にとってJ1での初ゴールであり、約2年5カ月前のJ1昇格プレーオフ準決勝のリベンジを果たすゴールとなった。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!