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J1 9時間前

「ここをうまく分岐点に」井上太聖は試合の中で成長する。横浜F・マリノス連敗脱出に自信と課題「この勝利を無駄にしないよう」【コラム】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images
横浜F・マリノス 井上太聖

横浜F・マリノスの井上太聖【写真:Getty Images】



 前節、川崎フロンターレに敗れ、3連敗を喫した横浜F・マリノス。チームとして取り組んできたチャレンジを正解に変えるためにも勝利という結果が必要な状況だった。11試合でリーグワーストの20失点を許し、守備の建て直しが急務ではあるが、23歳のDF井上太聖は試合を重ねるごとに成長も実感しているようだ。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
浦和レッズ 2-3 横浜F・マリノス
埼玉スタジアム2002

「成功体験を増やしていければ」浦和レッズ戦で現状打破へ

FC東京にシーズンダブルを喫した横浜F・マリノス

4月に入ってから3連敗となかなか結果が出ていない横浜F・マリノス【写真:Getty Images】

「連敗している中で本当に難しい試合になるのもわかっていましたけど、このアウェイで勝ち点3を取れたことはすごく自分たちの自信になりました。ここで連敗するようなチームじゃないとは思っているので、ここをうまく分岐点にして、今後に繋げていきたいなと思っています」

 右サイドバックとして先発し、チームの勝利に貢献した井上太聖は4試合ぶりにつかんだ勝利に率直な思いを明かした。

 横浜F・マリノスの百年構想リーグにおける立ち位置は、苦しいものであることを否定することはできないだろう。

 開幕から3連敗を喫し、黒星が先行。昨季、終盤のリスク回避のロングボールを多用する手堅い戦い方で勝ち星を重ねようとしたが、なかなか上手くいかなかった。

 3月末の中断期間から、より自分たちが前進するためのパスの出し入れや相手の守備組織をハンドリングするためのパス交換といったボール保持へのチャレンジへ戦い方をシフト。

 4月に入ってから3連敗となかなか結果が出ない状態が続いていたが、自分たちが優位に前進するためのボール保持が徐々に増え、チャンスも増えていった。



 前節の川崎フロンターレ戦後、井上太聖は敗戦の中にも手応えを口にしていた。

「ボールを動かせる人が後ろに揃っていると思いますし、もう少しうまくローテーションして、ライン間で前を向ける選手も増えてくれば、もっと前進できると思います。そうすれば相手の守備のやり方とかも変わってくると思う。自分たちが前進できているところもあったので、そういった成功体験を増やしていければもっともっと良くなると思います」

 前節は試合終盤でロングカウンターから失点を許し、勝ち越されるという嫌な負け方をした。時間帯を考えればファウルにするなり、割り切る部分も必要だっただろう。

 若手選手や交代した選手の中でチームの約束事が浸透しきれていない部分もあり、経験値という意味ではまだまだ足りないところがあったかもしれない。

 現状を打破するという意味でもこの浦和レッズ戦は非常に重要だった。

大島秀夫監督が語る勝利の要因とは

横浜F・マリノス 大島秀夫監督

横浜F・マリノス 大島秀夫監督【写真:Getty Images】

 この日もマリノスはハイラインを敷き、相手の背後を狙いつつ、自分たちの守備からいかに相手陣地でボールを保持し、攻撃に転じられるかを狙いとしていた。

 マリノスが先制した場面は浦和のフィードに対して、加藤蓮がヘディングでカットし、そのボールを拾ったユーリ・アラウージョが相手のプレスを回避したところから始まっている。

 アラウージョからのパスを受け取った山根陸が右のジョルディ・クルークスに展開し、そのままボックス内に入っていったことで、ゴールにつながった。

 ボールを前向きに奪えていたことも大きく、攻撃に連続性が生まれていたように感じる。



 加えて、3連敗中はロングカウンターからの失点が目立っていたが、浦和のストロングであるロングカウンターを出させなかった。比較的、相手を遅らせながら、クロスに対応し、最後まで粘り強く戦ったことも大きいだろう。

 大島秀夫監督は試合後に勝因をこのように語っている。

「今週は相手陣地でどう保持して、どう攻めるかをやってきました。まさに前半何度かすごく良いシーンが出ました。その精度を高めることによって、自分たちの失点の要因であるロングカウンターを防げた。その形で前半に点を取れましたし、やってきたことがしっかり出たゲームだと思います」

 3連敗中は内容が良い前半に先制点を奪えず、最終的にやられてしまう展開が続いていたが、この日は先制点を幸先よく奪っただけでなく、後半に起用された選手もギアを上げ、うまく噛み合った。

井上太聖が口にした手応えと課題

横浜F・マリノス 井上太聖

横浜F・マリノスの井上太聖は最後まで集中力を切らさずプレー【写真:Getty Images】

 

 井上は先制点を相手に許さずに逃げ切れたことに対して、「やっていることの積み上げもすごく試合に表れてきていると思いますし、そこは本当に自分たちの自信になっているかなと思います」と語る。

 さらに、自戒を込めてこう続けた。

「あとは立ち上がりの失点とか、この言葉の選び方が合っているのかわからないですけど、ちゃんと当たり前にやることができれば、できる選手たちがいると思うので、そこは自分も含めてですけど、試合の入りや試合の進め方、そういったものはもっともっとやっていかなきゃいけない部分かなと思います」

 チームがチャレンジしているビルドアップの部分に関しても、ある程度、形になってきているようだ。



「まだまだ課題はありますけど、シーズン序盤に比べたら自分たちがボールを持てるシーンも増えてきましたし、効果的な前進ができるシーンも増えてきたので、そこは本当に自信になっています。

 あとは細かいポジショニングの精度だったり、自分のところにボールが出てこなかったときの次のサポートだったり、もっといろんな人と繋がっていく(のもそうだし)、もっともっと精度が高くなれば相手の脅威になるかなと思います」

 試合の中で試行錯誤を繰り返し、収穫と課題を次につなげる作業は容易ではないだろう。

 1対1で迎えた39分、浦和の渡邊凌磨のシュートブロックの場面。井上がよく戻っていたように見えたが、最初に出たのは反省の言葉だった。

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