
FC東京でプレーする稲村隼翔【写真:Getty Images】
FC東京の勢いが止まらない。5月2日の川崎フロンターレ戦に2-0で勝利し、目下4連勝。3日の朝の段階では2026明治安田J1百年構想リーグEASTにおいて暫定首位にも立っており、好調ぶりがうかがえる。最終ラインからチームをけん引するのが、センターバックを担う稲村隼翔だ。セルティック挑戦から日本復帰後、「守れるDF」になりつつある。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
偉大な先輩からの言葉「全然戻ってもやり直せるよ」

18歳でサッカー日本代表入りを果たした佐藤龍之介【写真:三原充史(Atsushi Mihara)】
実際、1つ年下の2003年生まれの鈴木淳之介がコペンハーゲンに加入して目前のW杯を引き寄せようとしているし、もっと若いロサンゼルスオリンピック(ロス五輪)世代の後藤啓介やチームメートの佐藤龍之介も代表に呼ばれている。
そういう動向を目の当たりにすれば、「早く高いレベルに行って結果を残さなければいけない」と焦るのも確かに頷ける。
けれども、稲村はセルティックで出番を得られず、今年頭からアルビレックス新潟時代の恩師・松橋監督の下で1から出直すことになった。
目下、FC東京でプレーしている。
彼と同じように欧州から1度、Jリーグに戻った前田大然から「全然戻ってもやり直せるよ」という力強い言葉をもらい、前向きな気持ちで取り組めているのも大きいのだろう。
わずか4か月間ではあるが、背番号16の安定感は目に見えて増していると言っていい。
「リキさん(松橋力蔵監督)がいつも言うんですけど…」

FC東京の松橋力蔵監督【写真:Getty Images】
「しっかり地に足をつけて今、ここでできることをやりつつ、継続してプレーで見せていくことが大事だと思います。目標は高いところに置きながらも、このチームを優勝させるために頑張りたい」
こう本人も目を輝かせたが、本当にその方向に進んでいるのは間違いない。
最終的にFC東京は2−0で川崎を撃破。勝ち点3を上積みし、首位・鹿島をかわしてEAST暫定トップに立った。
総失点11というのは鹿島の7に次ぐリーグ2位。今季11試合先発の稲村がその一翼を担っているのは事実。持ち味のビルドアップや左足のキックの精度のみならず、「守れるDF」になりつつあることを自信にしていいはずだ。
「今日はある程度できたと思いますけど、自分はまだ試合ごとにムラがある。まだまだですね。チームとしても全員で話してますけど、1個1個、目の前の敵を倒していくことが大事。
リキさんがいつも言うんですけど、『日常を制せ』と。それが効果的にできているのかなというのは感じているんで、続けていきたいですし、CBとして失点ゼロというのを意識して、ここからもやっていきたいです」
成長途上の23歳の左利きのCBがFC東京にタイトルをもたらすことができれば、2026年W杯以降の代表入りも現実味を帯びてくる。
稲村にはそれだけの資質が十分にあり、大きな期待を寄せつつ、ここから先の活躍ぶりを見続けていきたいものである。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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