
ジェフユナイテッド千葉の河野貴志【写真:Getty Images】【写真:Getty Images】
PK戦を含めて5試合連続の敗戦を喫していたジェフユナイテッド千葉を勝利に導いたのは、第13節の横浜F・マリノス戦後にらしくないテンションで取材に応じていた河野貴志だった。苦悩をのぞかせていた6日前とは対照的に、FC東京戦では体を張り、自分らしく戦い続けた背番号28が取り戻したものとは。(取材・文:菊地正典)[2/2ページ]
「いずれこうやって笑顔になれる日が来る」

笑顔で呉屋大翔と抱擁する河野貴志【写真:Getty Images】
「責任を背負うことは自分にとってプラスになることだと思いますが、責任を背負い過ぎるのはよくないのかもしれないですし、自分の中で考え過ぎたところもあったと思います」
今季、チームキャプテンの鈴木大輔が欠場する際には副キャプテンで持ち回りのようにゲームキャプテンを務めているが、今季から副キャプテンを務める河野は4連敗中3試合でキャプテンマークを巻いていた。
「自分はキャプテンマークを付けると燃えるタイプです」
かつてプレーしたギラヴァンツ北九州やブラウブリッツ秋田でも副キャプテンやゲームキャプテンを務め、PK戦で敗れはしたが、90分で無失点だった第2節の川崎フロンターレ戦後はそう話していた河野だが、勝てない現実は重くのしかかった。
それでも心は折れなかった。
この日のキャプテンマークは髙橋壱晟のものだったが、河野はチームを引っ張るつもりで自分らしく戦い続けた。
「やっぱり自分らしさを忘れないことが大事ですね。それでもどこかで考えてしまう部分はあるし、キャプテンマークを巻いているとなおさら感じるけど、人としての成長にもつながると思うし、そこで耐えたので今日勝つことができました」
たった1試合ではある。結果の面だけでなく、どちらが本来の姿なのかという印象の面でも、まだ借金が多い。それでも――。
「苦しいことがあっても、いずれこうやって笑顔になれる日が来る。それは大事だと思います」
そう言うと河野は、ただでさえ大きい口を広げ、白い歯をむき出しにして笑った。
その顔は、たった1つの勝利、たった1試合のクリーンシートという結果以上の何かを手にしたように見えた。
(取材・文:菊地正典)
【著者プロフィール:菊地正典】
福島県出身。埼玉大学卒業後、当時、日本最大級だったサッカーモバイルサイトの編集・ライターを経て、フリーランスに。主にサッカー専門新聞『EL GOLAZO』の記者として活動し、横浜FC、浦和レッズ、ジェフユナイテッド市原・千葉、横浜F・マリノス、川崎フロンターレの担当記者を歴任。著書に『浦和レッズ変革の四年 〜サッカー新聞エルゴラッソ浦和番記者が見たミシャレッズの1442日〜』(スクワッド)、『トリコロール新時代』(スクワッド、三栄書房)がある。Xのユーザー名は@masanorikikuchi
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