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J1 5時間前

「本当に強いチームになるためには」谷村海那が示したストライカーとしての自覚「今日みたいなプレーが横浜F・マリノスのあり方」【コラム】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images
横浜F・マリノス 谷村海那

横浜F・マリノスの谷村海那【写真:Getty Images】



 勝利まで残りわずか2分だった。アディショナルタイムで失点を許し、90分で決着はつかず、PK戦の末、鹿島アントラーズに敗れた横浜F・マリノス。先制点を挙げ、勝利の立役者となるはずだった谷村海那は悔しさを滲ませながらも、ストライカーとしての矜持を漂わせた。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第16節
横浜F・マリノス 1-1(PK4-5) 鹿島アントラーズ
日産スタジアム

横浜F・マリノスにとって「負けられない」一戦

横浜F・マリノス

鹿島アントラーズ戦に臨む横浜F・マリノスのイレブン【写真:Getty Images】

 明治安田J1百年構想リーグも一部のチームを除き、地域リーグラウンドは残り3節。

 横浜F・マリノスはゴールデンウィーク5連戦のはじめを2連勝で飾り、徐々にチームとしての方向性を示していっていたが、前々節の水戸ホーリーホック戦でPK負け、前節のFC町田ゼルビア戦にも2-0で敗れ、2連敗を喫した。

 町田戦では、ターンオーバーで主力を温存した相手のマンツーマン守備を攻略することができず、後半にギアを上げてきた町田に先制点を許し、その後盛り返すことができなかった。

 当然、結果も求められるが、内容が伴っていない、そんな印象さえ受けた。



 そんな中、迎えた相手は首位・鹿島アントラーズ。敗れれば、鹿島のグループ首位通過が決まる可能性がある一戦だった。

 しかも、昨年は最終節で鹿島に敗れ、目の前で優勝を決められている。ホーム・日産スタジアムで鹿島が歓喜に沸く姿など、もう見たくはないだろう。

「負けたくない」という思いも試合には込められていたはずだ。試合はマリノスが優位に進める形となる。

 この日も中盤の底で攻守において躍動した山根陸が「前半から僕らがコントロールしているゲームだったと思う。鹿島のやりたいことをやらせる時間やシチュエーションも少なかったと思うし、チームとしてもすごく気持ちの入ったゲームを90分通してできていた」と振り返るように、主導権はマリノスが握っていた。

均衡を破った谷村海那の技ありシュート

鹿島アントラーズ戦で先制点を決める横浜F・マリノス 谷村海那

鹿島アントラーズ戦で先制点を決める横浜F・マリノスの谷村海那【写真:Getty Images】

 積極的に前からプレスをかけ、鹿島にボールを前に運ばせないようにパスコースを限定した。相手陣地でボールを奪取し、攻撃に転じることも少なくなく、前半は相手にシュート1本しか打たせなかった。

 すると58分、スローインから左サイドでユーリ・アラウージョが粘り、濃野公人と植田直通の間を強引に割って出ていこうとしたところでボールがこぼれた。これに素早く反応した天野純がピンポイントでクロスを送る。

 PA内に走り込んできた谷村海那が右足ワンタッチで角度を変えて、ゴール右のファーサイドに流し込む技ありのシュートを決めた。

 アシストをした天野が「ユーリが粘ってくれて、海那も動き出していたのが見えたので、ピンポイントでうまく彼に渡すことができたかなと思います」と先制点を振り返れば、谷村は「フリーだったし、良いボールだったので決めて当然かなと思います」と声を弾ませた。



 1点ビハインドとなった鹿島はその後、交代カードを次々と切り、徐々に押し込んでいくが、決め手を欠いた。

 アディショナルタイムは6分。このままマリノスが逃げ切るかに見えたが、90+5分だった。

 セットプレーからレオ・セアラに同点ゴールを決められ、PK戦に突入することに。手にするはずだった勝ち点3は勝ち点1に変わってしまった。

 だが、他会場の結果もあり、今節に決まる可能性があった鹿島の地域リーグラウンド首位通過はさせなかった。

試合に敗れた中でも得られた手応え「それをベースにやっていけたら」

横浜F・マリノス 谷村海那

鹿島アントラーズのキム・テヒョンと競り合う横浜F・マリノスの谷村海那【写真:Getty Images】

 連戦の最後ということもあってか、鹿島はビルドアップでミスが目立つ場面もあったが、マリノスはセカンドボールも拾え、球際でも負けていなかった。

 谷村は粘り強い限定守備で前線の起点になり、出口にもなっていたことも確かだ。多くはないチャンスの中、しっかりと仕留める決定力も見せた。首位・鹿島を相手に戦えたという手応えもある。

「本当にきょうみたいなプレーがマリノスのあり方ではあると思うので、それをベースにチームとしてはやっていけたらなと思います。

 個人としてはやれるところ、やれないところ、あったと思うんですけど、町田戦に比べたらできたことはいっぱいあったと思う。その中でゴールも決められたのは自分にとって自信になるかなと思います」



 試合終盤では足を攣る場面もあったが、チームメイトの頑張りもあって過密日程の連戦を戦い抜くことができた。

「きょうは本当に(近藤)友喜が競ってくれたり、仲間と助け合ってやれていたので、体力も最後はきつかったですけど、(力を)残して、パワーを使い切ることができた。それで(ゴールを)決めることができたのかなと思います」

 昨季は残留争いの真っ只中でマリノスに加入し、15試合の出場でチーム2位の6ゴールをマークしたが、この日のゴールで昨年の数字を超える7得点になった。

 今年1月のチーム始動日には「自分は結構、前年度を更新していくのは得意なので、なんかいけるなと思う」と話していたが、その言葉通りとなった。目標としている二桁得点も迫ってきた。

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