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「いつかは2人を超える」ベガルタ仙台、中田有祐を作り上げた2人のOBの存在。「ありがたい」教えの先にあるエースの姿【コラム】

シリーズ:コラム text by 郷内和軌 photo by Getty Images,takeshi kobayashi,Editor

プロ初ゴールを挙げたベガルタ仙台の中田有祐 26年5月6日の栃木SC戦

ベガルタ仙台の中田有祐【写真:Getty Images】



 5月10日、明治安田J2・J3百年構想リーグ第16節のヴァンラーレ八戸戦でPK戦勝利を飾り、地域リーグラウンド1位を確定させたベガルタ仙台。連戦が続いた中、新エース候補として頭角を現したのが今季、阪南大学から新加入したFW中田有祐だ。昨季から特別指定選手としてプレーし、栃木SC戦では待望のプロ初ゴール。成長の裏にあったのがクラブの歴史を彩った2人のOBストライカーからの助言だった。(取材・文:郷内和軌)[2/2ページ]

「俺はまだ生きているぞ!」自身の存在を証明する待望のプロ初ゴール

プロ初ゴールを挙げたベガルタ仙台の中田有祐 26年5月6日の栃木SC戦

プロ初ゴールを挙げたベガルタ仙台の中田有祐【写真:Getty Images】

 初スタメンとなった第14節・ブラウブリッツ秋田戦から2試合連続で先発出場したこの試合、Jリーグでも屈指の空中戦勝率を誇るDF柳育崇とのマッチアップが続いたが、序盤から互角以上に渡り合い、体を張ったプレーで前線の起点となった。

 そして、1-1で迎えた58分、待望の瞬間が訪れる。

「最後、ボールがGKのどこを通っていったのか記憶にないぐらい、クロスが上がってからゴールに入るのが一瞬の出来事でした。決まった瞬間は、ホッとしたのが一番の気持ち。(これまでの頑張りが)ようやく報われて良かったです」

 2トップでコンビを組んだFW岩渕弘人が左サイドを抜け出すと、ゴール前に待ち構える中田に低弾道クロスを供給。先輩がくれた100点満点のボールを右足で捉え、デビューから17試合目にしてプロ初ゴールを挙げた。

 試合後、「ヤングリーダーとして胸を張れるゴールになったのでは?」と筆者が問うと、喜びをかみしめながら、中田はこう答えた。



「開幕戦で(古屋)歩夢が決めてから、負けていられないという気持ちは強くありましたが、今日のゴールで『俺はまだ生きているぞ!』と証明できたと言いますか、『俺はこっからだぞ!』ということを伝えられたんじゃないかなと。この勢いを大切に、連続ゴールを狙っていきたいですね」

 5月10日の第16節・ヴァンラーレ八戸戦も3試合連続のスタメン出場を果たした中田。1点ビハインドの54分、MF五十嵐聖己が右サイドから柔らかいセンタリングを上げると、平瀬の指導を体現するかのように、ニアでつぶれ役となり、MF相良竜之介の同点ゴールを演出した。

 この試合、PK戦で勝利した仙台は、明治安田J2・J3百年構想リーグの地域リーグラウンド1位通過が確定。

 5月30日から始まるプレーオフラウンドはリーグ優勝を懸けた試合となるが、中田が見据えるのはあくまでもその先だ。トレーニングでは課題であるアジリティーの強化も行い、FWとしてのさらなる進化を目指している。

「あの試合があったからこそ」中田有祐とベガルタ仙台の深い縁

ベガルタ仙台 中田有祐

今季から新設された「ヤングリーダー」を務めるベガルタ仙台の中田有祐【写真:Getty Images】

  

「もちろん、プレーオフを勝ち抜いて優勝を目指したいですが、一番大事なのは新シーズンでの戦いであり、J1に昇格すること。そのためにも残りのシーズンはいろんなことに取り組み、トライしていきたいです」

 ちなみに中田にとって、仙台は縁の深いクラブである。実は小学6年生だった2016年、人生で初めてJリーグを現地観戦したのが、ユアテックスタジアム仙台で開催された仙台対ガンバ大阪の一戦だった。

「当時、群馬県のチームに所属していましたが、ベガルタ仙台ジュニアとの練習試合の遠征帰りに観に行きました。あの試合は前半で3失点して、完敗に近い内容でしたが、それでもスタジアムの雰囲気、サポーターの声援は心に響きました。

 自分がベガルタ仙台というクラブに憧れる一つのきっかけにもなりましたし、あの試合があったからこそ、ユース年代を仙台で過ごすことを即決しました」



 憧れのスタジアム、憧れのサポーターの前で決めた初ゴール。ようやくスタートラインに立った今、中田はクラブの歴史を彩った先輩たちからの金言に感謝を示すと同時に、力強く、頼もしい言葉を残す。

「いつかは、お二人を超えるような存在になりたいです」

 ヤングリーダーとして、自らの存在価値を示した大型連戦。21歳のストライカーは、クラブを象徴する「黄金のエース」となるべく、これからも成長の道を突き進んでいく。

(取材・文:郷内和軌)

【著者プロフィール:郷内和軌】
1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。岩手県立一関第一高等学校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。2015年4月から4年間、岩手県盛岡市の制作会社に勤務し、19年4月からフリーランスに。大学時代を含め、地域スポーツ誌「Standard(岩手/宮城)」の取材・執筆・編集を約10年間担当(現在も継続)。小学1年時から趣味はJリーグ観戦。サポーター目線を忘れない「サポライター」を目指す。Xアカウント:@kazukigonai

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