FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)が幕を開けた。日本代表はもちろんのこと、いわゆる強豪国と称されるチームのパフォーマンスにも期待が集まる。そこで今回は、各国のサッカーの歴史や戦術に詳しい西部謙司氏に、北中米W杯における注目国について分析してもらった。フランス代表編をお届けする。(文:西部謙司)[2/2ページ]
デシャン監督は何が何でも…
2024年の欧州選手権(EURO)の時、デシャン監督はプレーぶりがつまらないという批判に対して、「つまらなければ観なければいい」と突き放した。国と人々を代表するチームのリーダーとして、本来言ってはならないことだと思う。
ただ、フランス代表の在り様をそのまま表した発言でもあった。
ある時は多様性社会の理想と称え、ある時は移民だからと非難される。レ・ブルーはフランスサッカーの代表ではあるが、国家国民の代表かといえばたぶん違うのだ。
もともと社会からの疎外感を持つ選手たちの集団である。都合しだいで称賛、非難を浴びせる一般社会とは一定の距離感があって不思議ではない。
南アフリカW杯の無残な敗退を経て、デシャン監督は傭兵部隊の隊長として何が何でも結束させる方針を貫いている。出自も文化的背景も違う選手たちを「勝利」という唯一の共通目標に集約させてきた。
「つまらない」と高見から見下すような批判は心底どうでもいいのだろう。
優勝すれば国民は熱狂する。98年も決勝進出が決まると、それまでの冷淡から一変した国をあげての騒ぎになっていた。
PSGのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)連覇でも多数の逮捕者が出る熱狂ぶりだった。普段の無関心とのギャップからすると、沸点の高い国民性もあるが大半は便乗して騒いでいるだけだと思う。
いずれにしても、そうした熱狂とフランス代表にはそれなりの距離がある。乾いた感性のチームだ。それゆえに強く、少し寂しい。ナショナルチームとして珍しいタイプである。
(文:西部謙司)
【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン)、近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。
【関連記事】
【グループリーグ組み合わせ一覧】FIFAワールドカップ2026
本当の「死の組」は!? W杯グループリーグ、平均FIFAランキング1~5位
北中米W杯が日本でイマイチ盛り上がらないのはなぜ? 本当の開幕はブラジル代表対モロッコ代表から?【北中米W杯】
【了】


