
日本代表時代に共闘した青山敏弘と森保一監督【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)で、日本代表はオランダ代表と2-2で引き分け、貴重な勝ち点1を手にした。2018年、森保一監督が日本代表監督に就任した際、新体制の主将を託されたのが、ブラジルW杯にも出場した青山敏弘だ。二人が代表でともに戦った時間は決して長くない。それでも青山の言葉からは、森保監督が貫いてきた哲学と、日本代表に求め続けてきたものが見えてきた。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:6月12日】
「いつもよく臨機応変という言葉を言われるんですけど…」

青山敏弘と森保一監督の信頼関係は厚い【写真:Getty Images】
「やっぱり、人の良さというか、謙虚さですけどね。あれだけ凄いのに、凄さを見せられないというか」
日本代表監督となり、世界から注目を集める立場になっても変わらない。
「常に対等でいてくれるというか。日本人が一番美徳として、常に大切にしている日本人らしさを1番持たれている方だなって。それが自然にできるのが、作ってないのはすごい」
偉ぶることもない。自分の凄さを誇示することもない。そうした姿勢は青山自身にも大きな影響を与えた。
「一番尊敬している方がそうなので。学んだもの、影響力はありますよね。僕だけじゃないけどね」
現在は広島のトップチームコーチとして日々選手と向き合う立場になった。
そのなかで改めて感じるのは、森保監督の徹底した準備の重要性だという。
「いつも逃げずにというか、真摯に向き合っている。そういう姿勢、厳しいときに何ができるか、よく問われると思う」といい、森保監督のトレーニングのやり方について話し始めた。
森保監督のトレーニングは試合より難しい設定で行われた。狭いスペース。厳しいプレッシャー。ボールタッチの制限。すべては本番で力を発揮するためだ。
「難しいときに何ができるか、練習でそんな力を引き出していたんじゃないかなと思うんです。いつもよく臨機応変という言葉を言われるんですけど、それって準備したことの中で臨機応変が出ると思うんですよね。要するに準備がすべてを決める。そういうことを僕は教わったと思っているので、やったことがないことはできない。
すべて想定した中でトレーニングを詰め込むとか、今だったら、ミーティングをたくさんやられていると思うんですけど、代表で。テストを想定した中で、すべてのチョイスがあるか、それを引き出せるかはすべて準備した中から出せると思っているので、そういうものはすごく教わりました」
やったことのないことはできない。だから、徹底的に準備する。その考え方は今の青山の指導の根幹になっていることだろう。
森保監督から学んだものがあると話してくれた青山。話が一段落したと思ったら、言葉を付け加えた。
「一番困難なときに森保さんは力を発揮されるので。いざというときに逃げ出さずにやってくれる、一緒に戦っている。そう思わせてくれる方ですね」
逆境から決して逃げない。責任からも逃げない。
日本代表は今、史上初のW杯優勝という大きな目標に挑んでいる。その戦いの先にどんな未来が待っているのかはわからない。
だが、少なくとも森保監督はたとえ逆風が吹いたとしても、逃げずに立ち向かっていくことだろう。
「一番困難なときに力を発揮する人」。青山がそう評した恩師は、再び世界の舞台で日本を率いる。
その歩みの先にある景色を、かつての教え子もまた広島から見守っている。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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