強豪・オランダ代表と2-2で引き分けたサッカー日本代表【写真:Getty Images】
日本代表は日本時間6月21日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループリーグ第2戦でチュニジア代表と対戦する。2014年のブラジルW杯のメンバーで、現在はサンフレッチェ広島でコーチを務める青山敏弘氏に、森保一監督のマネジメントや日本代表のチーム力、チュニジア戦のポイントについて話を聞いた。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:6月17日】
久保建英離脱でも揺るがない。森保一監督は「ベースは変えない」

オランダ戦で負傷し、チュニジア戦の出場は絶望的となったサッカー日本代表の久保建英【写真:田中伸弥】
ーーオランダ戦で久保建英選手が負傷し、チュニジア戦の出場は絶望的になりました。グループリーグ突破に向けると勝利が必要だとは思いますが、今後の戦い方を見据えたときに人繰り含めてどのように考えますでしょうか?
「ベースは変わらないですよね。良い守備から良い攻撃は。攻撃のところは(伊東)純也がこの間途中から入って、すごく良かったし、あれは日本の武器だろうし。次じゃあ、誰を持っていくのか、そのまま純也が(右シャドーに)入るんだろうけど。
じゃあ、その純也の代わり、誰がそういう役割を担うのか、そのためにああいう若い選手たちを呼んでるんだろうけど、試されるいい試合というか。いいタイミングなんじゃないかなと思いますけどね」
ーーこういうとき、森保一監督はどういうことを考えていそうなのでしょうか?
「いや、もう本当にベースは変えないですね。絶対変えないと思います。中5日ですよね。もう十分リカバリーできる。今回、45分の練習試合してたじゃないですか?あれ、よく(サンフレッチェ)広島でもやってたんすよ」
ーーそうなんですか?
「(主力組が)リカバリーしている横で、試合に出ていない組が大学生相手にトレーニングマッチをやるのは、よくやっていた。その次の日はオフで、また切り替えて、みんなでオフ明けからやっていくのはすごく良い流れだなと思う。
それをW杯の期間でやれる準備をしているのが、なんか、すごい。僕からしたら、U-19(日本代表)を連れていっているのがすごいなって。そこも含めて思いますね」
ーーやはり準備に抜かりはないですね
「コンディションと緊張感は必要なので、チーム全体で。どうしても試合に出ている組ばかり、コンディションのところを気にするけど、試合に向かっていくテンポ感というか、どうしてもゲーム感覚は落ちるので、そこの準備の仕方はちょっと、すごいなって本当に(笑)、もちろん、考えてるんだろうけど、そうやって準備をやる、実行するのはすごいなと思いますね」
ーー森保監督は準備をすごく徹底的にやられる、勝利にこだわる、なおかつ、苦しいときに力を発揮されると、この前のお話でおっしゃっていたと思いますが、そういうのが森保監督の魅力、強さなのでしょうか?
「やっぱり経験値ですよね、まさに。前回大会で何か足りなかった。何が良かったのか、環境面、ハード面、ソフト面含めて、どう持っていくのかは、経験した人じゃないとわからないので、その経験値は。サポートメンバーを見て、本当にもうそこが1番大事なんだろうなと、改めて思い知らされる。
こういう難しい次の試合も、(長友)佑都も言っていますけど、(前回のカタールW杯)2戦目、コスタリカに負けた試合は、もう痛いほど、次の試合が大事だということをわかっている。それを中の人が言えるのが1番大事だと思う」
「それを言うのは簡単なんですけどね」コスタリカ戦の教訓
日本代表は2022年のカタールW杯グループリーグ2戦目、コスタリカ代表に敗れている【写真:Getty Images】
ーー前回大会は初戦でドイツ代表を撃破して、2戦目でコスタリカ代表に敗れました。教訓を活かすではないですが、選手たちからも「気を引き締めなきゃいけない」という言葉も聞こえます。逆に懸念点があるとしたら、どういったところになるのでしょうか?
「立ち上がりのところでしょうね。そこをどちらが主導権を取れるか。早く勝負をかけたい。もちろん、リスクは最小限なんだろうけど、逆にリスペクトしすぎると、相手のペースになっちゃうので。
そこはバランスというか、早めに勝負を仕掛けに行く必要もあるけど、後ろはしっかりリスクを我慢しながら、それを言うのは簡単なんですけどね。こういう大事な試合はセットプレーなんだろうなと思うんですけど」
ーーなるほど。そういう意味では、オランダ戦で試合終盤にセットプレーから劇的な同点ゴールを取れたのは大きいですね。
「いや、びっくりしましたね!オランダ相手にセットプレーで点を取る。なかなかW杯でセットプレーで点を取ってるイメージって、正直ないので。コロンビア相手に取ったか、でも、あれ相手1人少なかったですもんね」
ーーあれは2018年のロシアW杯で本田圭佑選手のコーナーキック(CK)から大迫勇也選手が頭で合わせたゴールでしたね
「(今回は)準備していたし、ファン・ダイクのところにブロックをかけて、鎌田がそこの上、かぶったところを小川が叩くっていう。準備してきたことだったと思うんですよ。僕、去年の(U-22)Jリーグ選抜のコーチに入ったとき、ちょうど一緒に前田(遼一)さんがコーチでおられて。
前田さん、そのときもセットプレーの担当をされていて、集まって2日でもう試合だったのかな。試合前日、すごく遅くまでセットプレーの準備をされていて、初めて集まった子たちなんですけど、それでもその当日、セットプレー、コーナー(キック)で点を取ったんですよね」
ーーそうだったんですね。
「しっかりロジカルを持っていて、それを表現できる。準備ができていたんだろうなって、もうそのとき見て思いましたし、『あっ、もう影のMVP は前田さんだな』って僕は思ったんですよね。中を知っているので。
本当の中はちょっと見れていないですけど、W杯でセットプレーで点を取るって、めちゃめちゃ大きいところなので。そこは次の試合も期待したいなと思います。本当にあの伊東純也のボール、(昨年の)ブラジル戦でも、今までいろんなゴールに絡んできていたけど、すごく質が高いなと」
「普通監督が喋るんですよ。ああいうときって」青山敏弘が見た森保ジャパンの強さ

長友佑都らが先発組の選手たちにドリンクを渡す【写真:Getty Images】
ーー昨年、日本がブラジル代表から初勝利を挙げた試合で、決勝点のアシストをしたのは伊東純也選手でした。あのときもCKから正確なクロスボールを供給していました。
「後半の途中までは、ボールが引っかかっていた。いろんな選手がボールを蹴っていたけど、純也のボールは改めて良いボールだなと思うので、もしかしたらそこも含めて先発で入ってきて、ワンチャンス増えるんじゃないかなと思いますけどね」
ーー確かにそれはあり得ますね。伊東選手のキックは精度が高いので、日本にとっても大きな武器になりそうです。
「(キックの精度が)高いですよね。もしかしたらセットプレーの直接(FK)のところも、凄くゴールになってくる可能性(がある)、中村俊輔さんがいるので、余計期待しちゃいます」
ーー今のコーチ陣は豪華な顔ぶれですし、オランダ戦ではベンチの選手たちも前のめりになっていたりと、一体感がすごく感じられましたが、そういうところも強みでしょうか?
「雰囲気作り、チーム力は1番こだわっているところなので、森保さんが。そこもバックアップできる。コーチの名波(浩)さんもこの間、給水タイムで輪の中でみんなに話してましたけど、あれ、ちょっとびっくりしましたね。普通監督が喋るんですよ。ああいうときって。
あれを名波さんが喋ってるのが僕はすごく、『あっ、役割ができてるんだな』って。監督は全体のマネジメント。それも含めて責任を取るところなんだろうなって。そういう部分に関しては名波さんが1番戦術のところ、選手に目の前で伝えていくところはもう完全に出来上がっているんだろうなって思いましたね
ーー改めて試合を見ると、青山さんの中でもいろいろな気づきがあったんですね。
「僕、コーチになって、そういうところをやっぱり1番見てしまうというか。ロスタイムの作戦盤とか」