
ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールとマルキーニョス【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループC第2節・ブラジル代表vsハイチ代表が現地時間19日に行われ、ブラジル代表が3-0で勝利した。モロッコ代表との第1戦では苦しむ時間帯もあったが、今節は危なげなく、ほぼ完璧と言える試合内容を披露した。選手の質で大きく上回ったことも勝因の一つだが、それ以上に選手の立ち位置と役割が明確になったことが大勝につながったと考えている。(文:安洋一郎)[2/2ページ]
潤滑油となったマテウス・クーニャ

ブラジル代表FWマテウス・クーニャ【写真:Getty Images】
2節目にして先発に起用されたクーニャは、ブラジル代表らしい即興的なプレーを成立させるための「潤滑油」として躍動した。
2分には相手DFを背負った状態からヒールパスで味方に繋ぐ。逆を突くプレーで味方選手をフリーにすると、11分には右サイドに流れて味方選手の前進をサポートした。
彼の持ち味は味方選手の良さを引き出すだけではない。23分にクーニャのボール奪取から生まれた先制点の場面では、チームメイトにボールを預けてから自らもゴール前にポジションを取り直したことが得点に結びついた。
36分の2点目の場面でも足元でボールを貰おうとするのではなく、カウンター時に相手ディフェンスラインの背後を抜け出す動きでラストパスを引き出しており、ゴール前でニア上を打ち抜く技ありの2点目を決めた。
このように周りの動きを見ながらポジションを取り直せるのがクーニャの強みだ。まさに「潤滑油」の存在と言えるだろう。
アンチェロッティ監督はハイチ戦後の会見で「マテウスのポジションは、相手ディフェンスに脅威を与えるのに適していたと思う。彼はパス処理を非常にうまくこなして、前線で効果を発揮するのに適していた」とパフォーマンスに一定の評価を示した。
もう1人自由を得た選手

ブラジル代表MFルーカス・パケタ【写真:Getty Images】
ブラジル代表の攻撃がスムーズに進んだもう一つの理由が、ルーカス・パケタの存在である。
モロッコ戦の開始20分間は右サイドに張らせて起用していたが、対峙したDF陣の対人守備に苦戦してボールを収められず。アンチェロッティ監督は前半途中にもトップ下で出場していたハフィーニャとポジションを入れ替えていた。
この反省を経て、セレソンの指揮官はハイチ戦でパケタを左のインサイドハーフで起用した。
アンカーのカゼミーロと右インサイドハーフのブルーノ・ギマランイスが強度やボール奪取で存在感を発揮する一方で、パケタにはより自由なポジショニングが許された。
パケタもクーニャと同様に、状況に応じてパスの受け手となり数的優位を作り出し、正確な配球で多くのチャンスを演出。前半終了間際に決まったヴィニシウスの得点は、パケタの背後へのスルーパスが起点だった。
相手のレベルが数段階も下がったことも影響しているが、アンチェロッティ監督が先発起用する選手の人選や役割、立ち位置を入れ替えたことがハイチ戦の前半が充実した内容になったことに直結している。
W杯開幕から2試合目で、現状のスカッドの最高レベルのパフォーマンスを引き出したのは、修正に長けたアンチェロッティ監督の能力ならでは。
問われるのは、このパフォーマンスをより実力の高い相手に対しても再現できるかどうかだ。
2002年の日韓W杯以来の優勝を目指す“王国”は、ひとまず理想形への確かな手応えをつかんだと言えるだろう。
【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu
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