
ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールとマルキーニョス【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループC第2節・ブラジル代表vsハイチ代表が現地時間19日に行われ、ブラジル代表が3-0で勝利した。モロッコ代表との第1戦では苦しむ時間帯もあったが、今節は危なげなく、ほぼ完璧と言える試合内容を披露した。選手の質で大きく上回ったことも勝因の一つだが、それ以上に選手の立ち位置と役割が明確になったことが大勝につながったと考えている。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
ブラジル代表がハイチ代表に3-0で快勝
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ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオール【写真:Getty Images】
“王国”ブラジル代表が、6日前に行われたモロッコ代表と1-1で引き分けたW杯初戦とは全く違う姿をみせた。
前提として、FIFAランキング6位のモロッコ代表と、FIFAランキング87位のハイチ代表では、相手のレベルが大きく違う。選手個々の能力で上回っていたことも勝因の一つだ。
ただし、初戦の停滞の理由を改めて紐解くと、ブラジル代表に足りていなかったのはチームのバランスであることがわかる。
モロッコ戦のブラジル代表には苦戦した印象を抱いた人も多いだろう。実際に、11分までに6本のシュートを打たれる猛攻を受けていた。
しかし、試合を通してゲームを支配されていたわけではない。カルロ・アンチェロッティ監督は前半途中と後半にメンバーの入れ替えやプレスの掛け方などの修正をいくつか行い、試合の主導権を握り直していた。
その変化は、モロッコ戦における前後半のシュート数にも表れている。前半が6対12だったのが、後半は6対2と、指揮官の采配が試合の流れを変えていたのだ。
モロッコ戦で得た修正のヒントをもとに、アンチェロッティ監督はハイチ戦で2人の先発メンバーを入れ替え、現状の最適解とも言える11人をピッチに送り出した。
モロッコ戦の前半に苦しんだ理由

ブラジル代表のカルロ・アンチェロッティ監督【写真:Getty Images】
筆者は、6日前のモロッコ戦後に執筆した『ブラジル代表は「史上最弱」なのか。モロッコ代表戦のドローが意味するもの【北中米W杯分析コラム】』で、「今のブラジル代表を「最弱」と断言するにはまだ早いだろう」と書いた。
実際、ハイチ戦の内容を見る限り、その見立ては間違っていなかったと言えるだろう。
なぜこのように明記したのかには理由がある。というのも、アンチェロッティ監督のチームは、現在のスカッドを踏まえたチームの最適解をW杯の開幕前の時点では見つけることができていなかったのだ。
その証拠となるのが、今年3月の2試合とW杯直前の2試合、計4試合の強化試合でメンバー選考を進めるとともに、複数のシステムをテストしていたことだ。
予選から大胆にメンバーを変更した影響もあり、W杯前の4試合では[4-4-2]、[4-2-3-1]、[4-3-3]、[3-2-4-1]と全試合で異なるシステムを採用。開幕直前には右SBのウェズレイが離脱したこともあり、改めて全体のバランスを整える必要があった。
すなわち、迎えたモロッコ戦の時点では、未完成の状態だったのだ。
モロッコ戦で序盤にシュートを浴びた理由と修正の方法
ブラジル代表がモロッコ戦の開始11分までに6本ものシュートを浴びた背景には、チームとして前進の形を見つけられなかったことがあった。
強度の高いハイプレスを受けると、最終ラインやボランチの選手は前線と中盤をつなぐリンクマンを見つけられず、前進の糸口を失っていた。
この修正で一役買ったのがモロッコ戦で61分から出場し、2戦目のハイチ戦でも先発に名を連ねたマテウス・クーニャの存在だ。
マンチェスター・ユナイテッドに所属するクーニャは、現代的なストライカータイプのFWだ。
イングランド代表FWハリー・ケインのように前線から中盤に下がってボールを引き出しつつ、低い位置からの配球能力にも長けている。
ケインほど長短のパスでゲームを操るタイプではないが、モロッコ戦でも78分に中盤でボールを受けてから、背後に生まれたスペースへヴィニシウスを走らせるスルーパスを供給。その折り返しをハフィーニャがダイレクトで合わせることで決定機が生まれていた。
周囲を活かせるリンクマンの存在が、ブラジル代表を蘇らせたと言っても過言ではない。