
サッカー日本代表伊東純也【写真:田中伸弥】
主力の離脱が相次ぐ中でも、日本代表の攻撃力が大きく損なわれない理由はどこにあるのか。チュニジア代表戦で改めて浮かび上がったのが、伊東純也という唯一無二の存在だった。W杯初ゴールを含む圧巻のパフォーマンスで、その価値を証明してみせた。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
「自分はあんまり…」

サッカー日本代表伊東純也【写真:元川悦子】
「W杯ゴールへの道のり? 自分はあんまり点を決めるタイプの選手じゃないんで。ただ、今回取れたのは大きいし、(鬼門の)2戦目に決められたのも大きかった。ここからもっともっと決めたいなと思います」とコメント。伊東にとってこの1点は、新たなステージの序章に過ぎないのだろう。
実際、この後のパフォーマンスも際立っていた。終盤には鈴木唯人や後藤啓介ら若いアタッカー陣と共演したが、20代のフレッシュな面々以上に躍動感あるプレーを見せ続け、攻撃陣を力強くリードし続けたのだ。
そして83分の上田の4点目のシーンでも、伊東の存在感は際立っていた。ボールを持ち上がってきた佐野海舟と見事なワンツーを披露すると、佐野が右ポケットへ侵入するためのスペースと時間を生み出した。
伊東は得点には絡んでいないものの、決定機の創出を巧みにサポートしてみせた。
攻撃の全ポジションを高いレベルでこなし、スターにも黒子にもなれて、どの時間帯に出てきても高値安定のパフォーマンスを見せられる。そんな伊東がいたからこそ、日本はチュニジアに4−0という歴史的圧勝を収めることができた。
改めて示した存在価値

サッカー日本代表伊東純也【写真:Getty Images】
南野拓実、三笘薫、久保と主軸が揃って離脱しても、日本の攻撃が迫力不足に陥らないのは、本当に“イナズマ純也”の存在が大きい。森保監督がどれだけ伊東に助けられているかは計り知れない。そこは多くの人が再認識しておくべき点と言えるだろう。
これで勝ち点を4に伸ばし、決勝トーナメント進出に大きく前進した日本代表。25日の第3戦・スウェーデン代表戦次第でラウンド32の相手が決まるが、それがブラジルだろうが、モロッコだろうが、他の強豪国だろうが、伊東はつねに自然体でチームに貢献しながら圧倒的な違いを作っていくはず。
日本が最高の景色を見るためにも、33歳のスピードスターには今後もフル稼働してもらわなければならない。
伊東純也の一挙手一投足に日本の命運がかかっていると言っても過言ではない。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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【了】
