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「まあ嬉しいは嬉しいですね」日本代表、伊東純也は淡々と噛み締めた。森保ジャパンに不可欠な男が抱いていた決意とは【北中米W杯コラム】

text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
日本代表 伊東純也
サッカー日本代表伊東純也【写真:田中伸弥】



 主力の離脱が相次ぐ中でも、日本代表の攻撃力が大きく損なわれない理由はどこにあるのか。チュニジア代表戦で改めて浮かび上がったのが、伊東純也という唯一無二の存在だった。W杯初ゴールを含む圧巻のパフォーマンスで、その価値を証明してみせた。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

“切り札”ではなく先発で起用された伊東純也

日本代表MF伊東純也
サッカー日本代表伊東純也【写真:Getty Images】


 過去7回ワールドカップ(W杯)に参戦してきた日本代表にとって、“鬼門”と言われたグループリーグ第2戦。白星を挙げているのは2002年日韓大会のロシア代表戦だけだ。 

 史上最高成績を目指す2026年北中米W杯では、そんな負の歴史にピリオドを打たなければならなかった。そういう意味でも、20日のチュニジア代表戦は非常に重要な一戦だったのだ。

「前回(2022年カタールW杯)はドイツに勝ちましたけど、そんな浮かれてたつもりはないんですけど、やっぱり2戦目の入りだったりがちょっと緩くなっていた部分もあったと思うので、そこを引き締めていきたいですね」と攻撃陣最年長の33歳・伊東純也は気合を入れて大一番に向かった。

 14日の初戦・オランダ代表戦で久保建英が左ひざを負傷。モンテレイに帯同しなかったこともあり、森保一監督が2列目をどういう構成にするのかは1つの注目点だった。

 ふたを開けてみると、そこに陣取ったのは伊東と鎌田大地。鎌田の左シャドーはW杯アジア最終予選で多く見られた形。「久しぶり」という印象はあったものの、そこまで違和感はなかった。

 だが、伊東に関しては、「今大会は切り札という位置づけがメイン」と見られていたため、多少のサプライズではあった。指揮官は伊東をスタートから起用することで、一気に畳みかけようとしたのだろう。

「あの場面は自分が1対1だったので…」

日本代表FW上田綺世
サッカー日本代表上田綺世【写真:田中伸弥】


 采配はズバリ的中した。日本は開始4分に見事なビルドアップの流れから鎌田がいきなり先制点をゲット。相手の出鼻をくじくことに成功する。

 その後も一方的に攻め続け、敵に反撃の隙を与えない。特に伊東は右ウイングバック(WB)に入った堂安律と頻繁に立ち位置を入れ替え、右サイドを制圧。

「相手もマークをつきづらかったと思うし、その連係から何回か抜け出す場面を作れた」と手ごたえをつかんでいた様子だ。

 その背番号「14」がこの日、最初にゴールに関与したのが31分だった。相手の縦パスを3バック中央で先発したキャプテン・板倉滉がインターセプト。そのまま縦に配球し、上田綺世が絶妙の動き出しからボールをキープした。

 この瞬間、伊東は守備陣の背後を突いてフリーになったのだが、上田は「自分が打つ」と強引なシュートを選択。結果的には伊東が空けたスペースをうまく使いながら右足を振りぬき、2点目を叩き出すに至ったのだ。

「あの場面は自分が1対1だったので、『(綺世)出せよ』と思ったんですけど、結局、決めてくれてよかったのかな」と背番号「14」は笑みを浮かべる。

 自身のとっても千載一遇のチャンスで、ボールがほしかったのは間違いないが、そこで決してエゴイストにならないのが伊東の良さ。つねにフォア・ザ・チーム精神を前面に押し出し、攻守両面でハードワークする。

 ここまで献身的なスピードスターは世界中を見渡してもそうそういないだろう。伊東の貢献度の高さは誰もが認めるところだ。

「まあ嬉しいは嬉しいですね」

北中米W杯 GS第2節 vsチュニジア サッカー日本代表 W杯初ゴールを決めた伊東純也
サッカー日本代表伊東純也【写真:田中伸弥】


 2−0で突入した後半も、背番号「14」はペースダウンするどころか、ギアを上げていく。

 そして迎えた69分。日本は最終ラインに落ちていた田中碧の縦パスを上田がダイレクトでフリック。それを見逃さなかった伊東が一目散にゴール前へ飛び出し、待望の3点目をゲットしたのだ。

「あそこからフリックというのは、自分がシャドーに入った時に落としを狙うか、裏に抜けるかというのを練習から多くやってます。綺世からフリックが来るかなと思ったら来たので、うまく抜け出して決められた。

 W杯初ゴール? まあ嬉しいは嬉しいですね」と日頃からあまり感情を爆発させることのない伊東らしい物言いで、記念すべき一撃を喜んでいた。

 改めて思い返すと、4年前のカタールW杯での伊東は、スペイン代表戦で堂安のゴールをアシスト。目に見える結果は残ったが、ゴールは奪えなかった。

 大会を通して見ても、4−2−3−1の右MFに始まり、3バックの右WB、シャドー、2トップ気味の役割といった多彩な仕事をこなし、フィールドプレーヤー最長のプレータイムを記録したが、どこか画竜点睛を欠く印象もあった。

 本人の中でも「『前回取れなかった』という思いがあるので、『今回は絶対に取ってやる』という気持ちではいました」と率直な思いを打ち明ける。それだけに感極まったのかと思いきや、意外とアッサリしていた。

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