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「競争をなくすようでは…」田中碧が示した真骨頂。日本代表に選択肢をもたらした男が口にした「一番大事なこと」【北中米W杯コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Etsuko Motokawa,Shinya Tanaka,Getty Images
日本代表の田中碧
サッカー日本代表MF田中碧【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループリーグ最終戦のスウェーデン代表戦に臨む日本代表。この試合で、キーマンの一人となりそうなのが田中碧だ。チュニジア代表戦では攻守両面で圧巻のパフォーマンスを披露し、勝利に大きく貢献。大一番となるスウェーデン戦でも、彼の存在が勝敗のカギを握る。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]

「まだ何も成し遂げたわけじゃ…」

日本代表 スウェーデン戦前日練習 田中碧 町野修斗
サッカー日本代表MF田中碧【写真:元川悦子】


「僕は前回(オランダ戦)はベンチでしたけど、チームの中には競争がありますし、ベンチの選手がその競争をなくすようではチームとしてよくないと思うので。自分が出た時に何ができるかを示すのが、チームにとって一番大事なこと。ひとまず勝ちに貢献できたんでよかったですし、自分にとってもすごく大きかったなと。

 とはいえ、まだ何も成し遂げたわけじゃないし、もっと総力戦になると思うんで、誰が出てもいいパフォーマンスをするというのは改めて重要だなと思います」とチュニジア戦を糧に、今回のW杯で恒常的にピッチに立ち、日本の躍進の原動力になることを今一度、誓っていた。

 7番を託してくれた三笘薫もそれを何よりも望んでいるに違いない。

「薫君とは毎日ラインしてるんで、特別なことは話していません」と田中碧は23日の練習後に話していたが、今大会直前の大ケガで2度目のW杯の大舞台を棒に振った幼馴染の先輩のためにも、もっともっとやらなければいけないと感じているはずだ。

 しかも今回対峙するスウェーデンの指揮官は、元ブライトンのグレアム・ポッター監督。24日の前日会見でも「ミトマはどのチームの監督も求めるような資質を持った優れた選手。本当にポジティブな印象しかない」と絶賛していたが、本来であればこの試合で躍動するはずだった。

背番号7に託された使命

イングランド代表戦 サッカー日本代表 三笘薫
サッカー日本代表 三笘薫の背番号「7」を受け継いだ田中碧【写真:Getty Images】


 それができない三笘の悔しさや辛さを、田中碧は誰よりもよく理解している。ゆえに、スウェーデン戦では前回を越えるような目覚ましい働きが必要。できればゴールもほしいところだ。

 思い起こせば、カタールW杯でも、「三笘の1ミリ」からスペインを撃破する2点目を叩き出している。

 ここ一番の重要局面で彼はなぜか点を取る。その才能の片鱗がチュニジア戦でも見られそうだったが、48分のミドルシュートは枠を越えていった。それを決め切ることこそが、田中碧にとっての理想的なシナリオと言っていい。

「(スウェーデンは)5枚の相手なんで、自分が2二列目からミドルを振っていくのはすごく大事。前回は外してるんで、少なくとも枠内に行けば、基本的にはGKは弾くんでチャンスになる。うまく狙っていければいいかなと思います」と本人も意気込みを新たにした。

 日本の今後が決まる大一番で背番号「7」が異彩を放つことができれば、チームの機運はもう一段階アップする。スウェーデン戦はこの男の一挙手一投足に注目すべきだ。

(取材・文:元川悦子)

【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。

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