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ベルギー代表のチーム戦術は? 8年前の「ロストフの悲劇」にみる“割り切った”戦い方【北中米W杯注目国分析】

ニュージーランド代表に勝利したベルギー代表
北中米W杯を戦うベルギー代表【写真:Getty Images】



 目下、北中米W杯を戦うベルギー代表。1980年代や2010年代の「黄金世代」を経て、今大会はケビン・デ・ブライネら熟練のスターとジェレミー・ドクら新鋭が融合した新たな局面を迎えている。伝統の「慎重さ」と現代的な「攻撃性」が同居する彼らの現在地を、W杯での歴史的記録や最新の戦績を交えながら、その「つかみどころのない強さ」の正体に迫る。(文:西部謙司)[1/2ページ]

慎重なうえに慎重


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1986年 ベルギー代表
1986年大会のベルギー代表【写真:Getty Images】


 ベルギー人から見るオランダ人は「大風呂敷」だそうだ。ではベルギー人は? 聞いた人が1人なので、彼のオランダ人評が当たっているのかどうかはわからないが、さすがに自国民への評価はそう外れてはいないはずだ。

「石橋を叩いて渡る」だそうだ。もしかしたら叩いても渡らないかもしれない、それくらい慎重だという。隣国オランダとは古くからのライバル。オランダ代表は1974年ワールドカップのトータルフットボールで注目され、それ以降も攻撃的なプレースタイルで強豪国としてリスペクトされている。

 ベルギー代表はそうした華々しさとは無縁ながら1986年大会で4位、2018年3位と好成績を残している。82年からの5大会でグループステージを突破できなかったのは1回だけ(98年)。これ以降低迷期に入るが、育成改革の成功で2018年大会は3位と復活を遂げている。

 W杯の通算記録でベルギーが唯一トップなのが連続引き分け5試合。ちなみに日本は連続レッドカードなし25試合で記録更新中だ。ベルギーと日本の特徴が端的に表れている感じではある。

 1980年代が第1次黄金時代。GKジャン・マリー・プファフ、FWヤン・クーレマンス、MFエンツォ・シーフォ、DFエリック・ゲレツを輩出。プレースタイルは堅守速攻型だった。

育成で成果を出せた2つの理由

元ベルギー代表MFエデン・アザール
元ベルギー代表MFエデン・アザール【写真:Getty Images】


 2000年代に第2次黄金時代を迎える。GKティボ・クルトワ、DFヴァンサン・コンパニ、ヤン・フェルトンゲン、トビー・アルデルヴァイレルト、MFアクセル・ヴィツェル、ドリース・メルテンス、ケビン・デ・ブライネ、FWロメル・ルカク、エデン・アザール。これだけの才能が一時期に現れた背景には育成改革の成功があった。

 90年代にいち早く成果を出したフランスに追随して、各国が育成改革に着手した時期なのだが、ベルギーが早く成果を出せた理由は2つある。

 まず、外国にルーツを持つ移民系選手の多さ。移民系、とくにアフリカ系移民の台頭は実はフランスよりベルギーの方が早かった。アカデミーの充実によって移民系選手が台頭した現象はフランスと同じ。コンパニやルカクがこれに該当する。

  もう1つは育成の外注。これはベルギー独特だ。フランス、オランダなど近隣国のクラブに育成の仕上げを任せる形である。

 オランダのアヤックスでCBコンビを組んだフェルトンゲン、アルデルヴァイレルト。14歳からフランスのリールに所属してプロデビューしたアザールなど、地の利を活かしたベルギーらしい育成といえる。

ロシアW杯では大会ベストチームのひとつ

ベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネ
ベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネ【写真:Getty Images】


 今大会のメンバーには黄金世代の選手たちが依然として残っている。クルトワ、デ・ブライネ、ヴィツェル、ルカクがそうだ。2014年W杯から4大会連続の主力だから、世代交代が進んでいないという見方もできる。

 ただ、新世代は融合している。マンチェスター・シティで圧倒的な突破力をみせつけているジェレミー・ドク、アーセナルのプレミア優勝に貢献したレアンドロ・トロサール、攻守万能のアレクシス・サーレマーケルス、パワフルなMFアマドゥ・オナナ、そつのない技巧派ユーリ・ティーレマンス。育成の成果は黄金世代で止まっているわけではない。

 興味深いのは、今回のベルギーが攻撃型だということ。むしろ守備が不安定ということもいえるかもしれないが、攻撃の核となるデ・ブライネが健在で、突破力抜群のドク、無尽蔵のスタミナで攪乱するサーレマーケルスがいる。

 ただし、それで押し切れるほど圧倒的な攻撃力ともいえない。そこはベルギーらしく、対戦相手との力関係を受け入れて守備重視の戦いをするのだろうが、それが上手くいくかどうかがポイントだと思う。

 2018年に3位になったベルギーは大会ベストチームの1つだった。準決勝でこの大会で優勝するフランスに敗れたが、3位決定戦でイングランドに勝ち、その前にはブラジルを破っている。

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