
日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れ、北中米W杯の舞台から去った【写真:田中伸弥】
日本代表は、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に2-1で敗れ、ベスト32で大会を終えた。サンフレッチェ広島時代に森保一監督の下でJ1リーグ3度の優勝を果たし、現在は広島でコーチを務める青山敏弘氏は、「日本の力、こんなもんじゃないよ」と語る。この敗戦は日本サッカーに何を残し、次の4年間へ何をつなぐのか。森保ジャパンの戦いと、日本サッカーの未来について聞いた。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:7月4日】
「Jリーグがどれだけ送り込めるか」。日本サッカー強化への青山敏弘氏の提言

日本代表と優勝経験国・ブラジルのような強豪国との差は果たしてどこまで縮まっているのか【写真:Getty Images】
ーーなるほど。日本が決勝トーナメントで優勝経験国と対戦するのは初めてでしたが、この試合の価値というのはいかがでしょうか?
「どのトーナメント見ても強豪国が3-0とか、それぐらいで勝っている。日本もああなってもおかしくないというか、そのぐらい、もしかしたら実力の差があったかもしれないですけど、戦術とその選手の理解度とそれを実行する力で、ああいう接戦にしてくれた。
もう本当に見ている僕らからしたら、誇らしかったですね。もちろん、試合は負けましたけど、トーナメントでもあれだけ接戦のところまでブラジル相手に持っていける。役立つ戦いだったんじゃないかなって僕は思いますね」
ーーそうですね。本当に誇らしい戦いを見せてくれた日本代表だと思いますが、現在、サンフレッチェ広島でコーチをやられている青山さんの視点で、今後の日本サッカーをどのように見据えていきますか?今現時点で考えていらっしゃることはありますか?
「本当にどれだけ高いレベルで、ヨーロッパの環境で選手が活躍できるか、しかないと思いますよね。Jリーグがどれだけそこに送り込めるか。間違いなく良い流れはできていると思うので、それをさらに加速していく。そういう選手を多く出していくしかないので。選手たちはヨーロッパという明確なものを持っていると思う。
さらに、それをもっと量も増やしていく。そのためにどう自分たちができるのか。Jリーグとして、1クラブがどう携わっていくのか。僕の広島から大迫(敬介)が行きましたけど、彼の経験をどうJリーグに還元して、またどう引っ張っていくのか。必ずその経験は必要になってくると思う。
どうしても経験された方で現場におられる方がJリーグには少ないので、そこはもしかしたら増やしていかないといけない部分なのかもしれないですけど、今回、代表スタッフを見ても、そういう力って、改めて必要なんだなと僕は感じた。そういう力をどれだけ還元していけるのか。コーチの部分からしてもやれることはあると思うので、それを感じさせていただいた大会だったなと思いますね」
ーー本当に草の根運動というか、育成に関しては時間を掛けてやっていかなければいけない部分なのかなと感じました。今大会、他の国もそうですが、アフリカ勢の躍進も目立ちます。経験者が少ないという発言もありましたが、そこに目を背けてはいけない、と言いますか。
「そうですね。アフリカ勢を見ていてもヨーロッパでやっている選手たちが多いですよね。それは必然だと思いますし、日本がここまで来たのはそういう環境のところだと思うので。
もちろん、個もすごく高まってきているのは間違いないと思う。ただ、現時点では足りないんでしょうけど、ものすごい差があるのかなって思ったけどね。『日本の力、こんなもんじゃないよ』って僕は思っているので、さらにそこを結果で覆せるように、きっとやれるはずです」
W杯の経験をどうJリーグへ還元するか。広島で始まる次の4年間

2014年ブラジルW杯に出場した青山敏弘氏は「W杯を常に目指していた」と語る。W杯での経験は次代に受け継がれていく【写真:Getty Images】
ーーそうですね。先ほど、今後の日本サッカーにおいてW杯での経験が必要になってくるという話がありましたが、先日、10年ぶりに広島に復帰した浅野拓磨選手のカタールW杯での経験、さらには、今大会を経験した大迫選手らがJリーグないし、日本サッカーに与える影響についてはどのように思われますか?
「もう結果で示すしかないですね。大迫にはまだまだ成長してもらえると思っているし、日本の正ゴールキーパーを目指してもらおうと思っているので、より火がついた状態で戻ってくると思う。4年後、そこのポジションをひっくり返すために何ができ、何をすべきかが明確に、彼の中であるのかなって。まだ帰ってきていないのでわからないですけど、あると思うので、そのモチベーションに期待したいなと思います。
拓磨はまだ日本に戻ってくるのはちょっと早いぐらい、本当にヨーロッパでもまだ結果を出せると思っている選手なので。このタイミングで広島に帰ってきましたけど、もう1回広島からヨーロッパを目指してもらえるように、それぐらいやってほしいと思うし、4年後のW杯も(目指してほしい)。
僕はW杯を常に目指していたので、彼も同じ思いだと思うし、今回もそうだし、次もそうだと思っている。もう1回広島で結果を出して、日本代表に携わってもらえるように、またヨーロッパを目指してもらえるぐらい結果を出してもらいたいと思うので、それイコール広島がJリーグでも結果を出す(ことにつながる)。じゃなきゃ、価値が上がっていかないと思うので、もう1回やります、僕も。そう思わされましたね」
ーー浅野選手や大迫選手のような経験ある選手が広島に携わるのは、若手の中村草太選手や鈴木章斗選手、少し下の世代だと、中島洋太朗選手や越道草太選手、小林志紋選手、野口蓮斗選手などにも受け継がれていくことになり、期待が持てると思いますが、青山さんはどのように感じていますか?
「まだまだ、本人たちにも言うんですけど、もう結果を出さなきゃ何も始まらないというか。結果を出して初めてメンタル的にもそうだし、経験値としてもそうだし、上がってくるものがあると思う。選手の価値が上がる、イコール広島の価値が上がると思っている。
広島の価値が上がれば、本当に選手の価値が上がってくると思うので、両方の価値を上げて、それを日本代表に還元したい。身近にそういう選手がいるのは、基準がそこになってくるので、コーチ陣含めてその基準に合わせてやっていく、やります!(笑)」
「次は誰なのか、何なのか。変わらなきゃいけないのは」

本サイトのインタビューに答えるサンフレッチェ広島の青山敏弘コーチ【画像:スクリーンショット】
ーーとても心強いお話が聞けました。今後に期待していきたいと思います。
「やっぱり僕もあそこに行って力にならなきゃいけなかったんだろうなって。悔しい思いをした1人なので、なんとかあの一発勝負、歴史を変えると言っておきながら、何も貢献できていない自分がいる。どれだけファン・サポーターの皆さんが何を思っているのかわからないですけど、もう本当に変えたいなら、そういうところから変えなきゃいけないって。
僕、ブラジル大会でコロンビアとやったとき、どアウェイでしたよね。それでも、戦わなきゃいけないのはわかるんですけど、もっとどうにかしなきゃいけない。それを本気で誰がどう考えるのか。そう考えている人がいるのか」
ーーそのあたりについても考えさせられますね。
「本当にやれることをすべてやれているのか。変わらなきゃいけない。選手たちはすでにみんなヨーロッパに渡って、変わらなきゃいけないってやっているので。じゃあ、次は誰なのか、何なのか。変わらなきゃいけないのは。メディアと含めてファン・サポーターと一杯考えられると思うので」
ーー我々メディアも一緒になって考えていかなければいけませんね。
「それぐらい悔しかった。あのロスタイムでの失点は」
ーーはい、非常に悔しかったです。見た人誰もがそう思ったのではないでしょうか?
「うん、お願いします。どうにか(笑)どうにか、うん。できます!」
ーーそうですね。今回のシリーズは非常に勉強になりましたし、取材をしていて楽しかったです。本当にありがとうございました!
「僕もすごく楽しかったです。日本代表に感謝です、本当に。またよろしくお願いします。4年後もやりましょう!」
ーーぜひ!よろしくお願いいたします。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
歴代最強!? 4年後のW杯サッカー日本代表メンバー案
【岩政大樹が語る(1)】現実を突きつけられたブラジル戦。日本代表は何を目指していたのか。「町野修斗を選んだ時点で…」
【青山敏弘に聞く】ブラジル戦を前に「楽しんでいる場合じゃない」と口にした理由。「今の日本代表は…」
【了】
