フットボールチャンネル

「ユーヴェにふさわしいGKを獲得すべき」鈴木彩艶の新天地は? W杯で評価を高めた日本代表戦士たちを巡るカルチョメルカートの行方【コラム】

北中米W杯 GS3節 日本×スウェーデン 鈴木彩艶
サッカー日本代表GK鈴木彩艶【写真:Getty Images】



 日本代表の選手たちが世界の舞台で示したパフォーマンスは、欧州移籍市場にも確かな影響を与えている。中村敬斗や鈴木彩艶をはじめ、多くの選手に欧州各国のクラブが熱視線を送り、今夏の去就は大きな注目を集めている。イタリアから見た日本代表戦士たちの評価と、カルチョメルカート最前線の動向を追う。(文:佐藤徳和)[3/3ページ]

W杯という舞台が持つ価値

中田英寿
元日本代表 中田英寿氏【写真:Getty Images】


 今から28年前、日本代表が初めてW杯に出場した1998年のことだ。大会が終わり、中田英寿がACペルージャに移籍を果たした。語学留学でローマに滞在していた私は、ACペルージャのトレーニングキャンプ地、ウンブリア州ノルチャに向かった。

 現地で日本のスポーツ紙に通訳を依頼され、当時の指揮官イラーリオ・カスタニェル(2023年2月逝去)にインタビューを行った。質問は、「翌日に控えた移籍後初の練習試合に出場するのか?」、そして「ポジションはどこか?」の2点だった。

 カスタニェル監督は、「トレクアルティスタ(トップ下)で起用する」と断言した。花形のポジションでの起用に半信半疑だった私は、「本当ですか?」と確認すると、監督は「私はW杯で彼が活躍するのを見たんだ」と念を押した。

 その時、私の体に電気が走るような衝撃を覚えた。世界中の選手たちが過酷な予選と本大会を勝ち抜いてまでW杯を目指す理由を、初めて実感したからだ。

 W杯という舞台で自らの力を示すことは、選手の評価を一変させ、キャリアを大きく切り開く。それほどまでに、サッカー選手にとって何ものにも代えがたい価値があるのだということを、カスタニェル監督の言葉から感じ取った。

 話を戻そう。日本人としては、ユーヴェ初の日本人選手の誕生を願わずにはいられないが、イタリア人が切望する守護神は、マルティネスであるようだ。

激化する争奪戦

パルマGK鈴木彩艶
パルマ・カルチョに所属するGK鈴木彩艶【写真:Getty Images】


「経験があり、肝の据わったGKが必要」と、マルティネスを推す声は多い。また、鈴木自身もプレミアリーグへの移籍を希望しており、リーズ・ユナイテッドやウェストハム・ユナイテッドが獲得を画策しているという。

 鈴木が田中碧が所属するリーズへの移籍を拒否したとの情報がある一方で、ウェストハムが2500万ユーロのオファーを提示したとも伝えられている。しかし、パルマ・カルチョは移籍金を3000万~3500万ユーロに設定しており、強気の姿勢を崩していない。

 さらに、CL王者PSGも関心を強めていることが明らかになった。ここまで移籍金が高騰し、潤沢な資金力を誇るプレミアリーグ勢やPSGまで獲得レースに加わるとなれば、ユヴェントスが鈴木を手にする可能性は高いとは言えないだろう。

 いずれにせよ、鈴木がパルマ・カルチョを離れる可能性は極めて高い。ただ、カルチョメルカートは始まったばかりで、現地時間9月1日20時まで続く。何が起こるか分からないのが移籍市場だ。

 これまでセリエAでプレーした日本人選手は14人。鈴木はイタリアを離れるのか。そして、新たなジャッポネーゼのセリエA挑戦は実現するのだろうか。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

【関連記事】
歴代最強!? 4年後のW杯サッカー日本代表メンバー案
今回が最後…? W杯日本代表、今後はメンバー外濃厚な5人
日本代表は「史上最強」ではなかった。森保一監督を本当に続投させるべきか? 「目標」に遠く及んでいない現実を見るべき

『フットボールチャンネル』でサッカー最新情報を見よう!
いち早くチェックしたい方は下記リンクから↓↓


【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top