フットボールチャンネル

J2 7時間前

「やはりここは一番熱いチーム」中島元彦がベガルタ仙台に帰ってきた。背番号「7」とともに挑む新たな挑戦「自分の夢を追うよりも…」【コラム】

ベガルタ仙台 中島元彦
ベガルタ仙台FW中島元彦【写真:藤江直人】



 かつて大きく成長したクラブに、再び帰ってきた。セレッソ大阪からベガルタ仙台への完全移籍を決断した中島元彦は、仙台の地で新たな挑戦を始める。過去に積み重ねた実績があるからこそ、周囲から寄せられる期待も大きい。そのすべてを背負いながら、中島は何を思い、どのような覚悟で古巣への帰還を決めたのだろうか。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

「モトが言ってくるだろうな、と…」

ベガルタ仙台 中島元彦
ベガルタ仙台FW中島元彦【写真:藤江直人】


 筋が通っていないのはわかっていた。それでも中島元彦は覚悟を決めて荒木駿太へ電話を入れた。

 J1のセレッソ大阪から、古巣でもあるJ2のベガルタ仙台への完全移籍が決まった直後の6月下旬。新天地で初めてチームメイトになる、同じ1999年生まれの荒木と連絡を取った理由は背番号にあった。

 明治安田J2・J3百年構想リーグを制し、計40チームの頂点に立った2026年の特別シーズンから、荒木は仙台の前身となるブランメル仙台時代から受け継がれてきたレジェンドナンバーの「7番」を託されていた。

 電話に出たその荒木へ、中島はこう伝えた。背負って半年あまりの「7番」を自分に譲ってほしい、と。

 その場で結論は出なかった。それでも荒木はこんな言葉を介して中島とのやり取りを振り返る。

「モト(中島)が言ってくるだろうな、と思っていました。でも、最初は譲る気はありませんでした」

 小学生からセレッソの下部組織で育った中島は、トップチームへ昇格して5シーズン目の2022年4月に仙台へ育成型期限付き移籍。4ゴール7アシストをマークしてサポーターが選ぶ年間MVP賞に輝いた。

 育成型期限付移籍を1年延長した2023シーズンは、背番号を前シーズンの「44」から「7」へと変更。千葉直樹、奧埜博亮、そして関口訓充と仙台のレジェンドが背負った番号を託される存在となった。

「J1へ昇格させて残ろう、という気持ちも…」

ベガルタ仙台 荒木駿太
中島元彦に背番号「7」を譲った荒木駿太(右)【写真:Getty Images】


 2024シーズンには通常の期限付き移籍に移行して引き続き仙台でプレー。J2リーグ戦で全38試合に出場して、ともにチーム最多となる13ゴール5アシストをマーク。2度目の年間MVP賞を獲得した。

 しかし、2021シーズンを最後に遠ざかっていたJ1への復帰には、あと一歩届かなかった。

 リーグ戦を6位で進出したJ1昇格プレーオフ決勝で、仙台はファジアーノ岡山に0-2で完敗を喫した。V・ファーレン長崎との準決勝で2ゴールをあげていた中島は、敗戦後にこんな言葉を残している。

「J1へ昇格させて(仙台に)残ろう、という気持ちもありました」

 仙台との契約満了とセレッソへの復帰が、両チームから同時に発表されたのは2024年の年末だった。

 迎えた2025シーズンの開幕戦。セレッソの出世ナンバー「13」を託され、ガンバ大阪との大阪ダービーでゴールを決めた中島は、敵地・パナソニックスタジアム吹田の取材エリアで声を思わず詰まらせている。

 仙台のファン・サポーターもSNS上で喜んでいると、メディアから知らされた直後だった。

「すごく充実した3年間を過ごせたし……そういう意味では恩返しになったかなと思うので……」

 セレッソへの愛着と、仙台への感謝の思いの両方を抱き続けた1年半。背番号「7」の前任者の胸中を理解していた荒木は「実際に結果も出しているので」と、復帰する中島から申し出があると予想していた。

 そして連絡をもらった荒木は「1、2週間くらい考えて、結論を出した感じです」とこう振り返る。

「簡単に譲ったわけでは…」

ベガルタ仙台 中島元彦
ベガルタ仙台FW中島元彦【写真:藤江直人】


「いろいろと考えました。(電話の)内容は2人だけのあれですけど、自分も(百年構想リーグで)結果を出せなかったなかで(仙台の)7番というエースナンバーの重みというものもすごく感じていました。

 簡単に譲ったわけではないですし、モトが来たからとかじゃなくて、自分の気持ちを優先しました。何て言えばいいのかな。最終的にはメンタル的に自分がプレーしやすい背番号を選んだ形です」

 荒木は前所属のFC町田ゼルビア、仙台に加入した2025シーズンに背負った「47番」に戻した。百年構想リーグで18試合に出場しながら1ゴール。産みの苦しみを味わった末に弾き出された結論だった。

 再び「7番」を拝命した中島も、背番号に関して「同じ質問を聞かれすぎて正直、答えるのがしんどいですけど」と苦笑しながら、こんな言葉を介して荒木へ抱いている思いを表している。

「荒木くんの器がでかいと思いました」

 3日に仙台市内で開催され、新たな背番号とともに発表された新加入選手記者会見。中島は「いろいろな葛藤もあったなかで(自分に)譲ってくれた」と荒木の心情を慮りながら、感謝の言葉を紡いでいる。

「その思いを無駄にしないようなプレーをしていきたい」

 セレッソでトップ下を主戦場としながら、勝利と上位進出を目指した間も仙台の動向を気にしていた。

 たとえば仙台が優勝した百年構想リーグを、中島はこんな言葉とともに振り返っている。

「僕が見たときは(仙台が)負けちゃうので、あまり見ないようにしました」

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top