
浦和レッズ 水沼宏太【写真:元川悦子】
監督交代と多くの選手の入れ替えを経て、再構築を迫られている浦和レッズ。今夏、チームに加わったのが36歳のベテラン、水沼宏太だ。オーストラリアでタイトルを獲得し、1年半ぶりにJリーグへ戻ってきた百戦錬磨のアタッカーは、揺れ動くチームに何をもたらすのか。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
「勝ち癖をつけていかないと…」

浦和レッズ 水沼宏太【写真:元川悦子】
「正直、自分がチーム全体を見れる余裕はまだないので、自分が出た時にできることや役割をしっかりやって、周りと繋がりながらプレーすることを心がけています。
この試合でもアシストはできましたけど、チームは結果的に負けてしまった。勝ち癖をつけていかないといけないし、ちょっと悪い時間があったとしてもすぐにいい方向に戻してパワーを出せるチームにしていかないといけない。
自分がそういうパワーを出していければいいと考えています」と彼は持ち前の明るさとエネルギーを押し出し、浦和を活性化していく構えだ。
曺監督は「浦和の過去のデータを見ると、ボールを奪ってからシュートに行くまでの時間がかなりかかっている」と発言していたが、前からアグレッシブにボールを奪ってスピーディーに仕掛けられるスタイルを確立させることが1つ重要なテーマになってくる。
水沼もこれまでの経験値を活かしながら、指揮官の目指す方向性を率先して体現していこうとしているのだ。
「自分もまだまだできるじゃんと…」

浦和レッズ 水沼宏太【写真:元川悦子】
「曺さんは選手1人1人に毎回の練習からモチベーション高く臨ませてくれるというのもあるし、『限界を作らずに、自分にもっと期待して、自分を超えていくようにやっていかないと成長はないよ』と常に言ってくれています。
僕も36(歳)になりましたけど、年齢に関係なく成長を示していきたいと思っていた中で、曺さんに出会えて、一緒にできるのはすごく幸せなこと。『自分もまだまだできるじゃん』と思えるのはすごくポジティブですね」と水沼は爽やかな笑顔を見せていた。
今の浦和を見ると、40歳の西川周作が最年長で、水沼はその次。フィールドプレーヤーでは最年長だ。
そういう選手が誰よりもガツガツした姿勢を示しているのだから、昨季までの主軸だった渡邊凌磨や金子、安居海渡といった面々も現状のままではいけないと危機感を強めるだろうし、25歳以下の若手はもっとそう感じるはずだ。
琉球戦で水沼からポジションや立ち位置修正の声かけを受けていた早川隼平などは、特にそうではないか。
20歳前後の世代がグングン伸びていかなければ、新生・浦和の快進撃は難しい。水沼という百戦錬磨のアタッカーに刺激を受けて、若い世代が一気に成長すれば、浦和としても理想的だ。
「みんなが『もっともっと』という気持ちを持ってやれれば、必ずより強い集団になれる。そう信じてやっていきます」
目をギラつかせる大ベテラン・水沼の号令の下、浦和は見る者を感動させるフットボールができるのか。
8月7日の開幕・ガンバ大阪戦までの残された時間をまずは最大限有効活用し、意思統一を図っていくことが先決である。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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