フットボールチャンネル

J1 7時間前

「またこの舞台を目指していかなきゃ」早川友基が初W杯で抱いた3つの思い。鹿島アントラーズの守護神が見据える4年後「サッカー選手ならば…」【コラム】

鹿島アントラーズ 早川友基
鹿島アントラーズGK早川友基【写真:藤江直人】



 ピッチに立つことはできなかった。それでも、FIFAワールドカップ2026(北中米大会)は早川友基の価値観を大きく変えた。世界最高峰の舞台で感じた差、身近なライバルとなった鈴木彩艶の存在、そして鹿島アントラーズの守護神として背負う責任。27歳のGKは、世界で得た刺激を新たなシーズンへとつなげようとしている。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]

「いままでJリーグでは…」

鹿島アントラーズGK早川友基
鹿島アントラーズGK早川友基【写真:Getty Images】


 さらに早川は、間近で見たW杯全体の戦いからも成長へ向けたヒントを得たとこう続けた。

「シュートスピードや精度などに関して、いままでJリーグでは止められていたのを、こういう世界や代表での練習でそれらを止める、というところに関しては自分のなかでまだギャップがありました。

 じゃあそれを止められるようにするには、何をどのようにしていけばいいのか。例えばステップの踏み方なのか、ポジショニングなのかとか、といったより細かいところだと自分のなかでは理解できました」

 鹿島合流後も低い弾道のシュートを倒れて止める練習中に、こういう倒れ方じゃダメだと言い聞かせるかのように試行錯誤を繰り返し、間もなく始まる新たな戦いへ心身のコンディションを上げている。

 鹿島はMUFGスタジアムで横浜F・マリノスと対峙する8月7日開幕節から、J1リーグ戦の連覇をかけた戦いに臨む。秋春制へ移行する新シーズンへ。早川が静かに高める闘志が3つ目の思いとなる。

「百年構想リーグもそうでしたけど、自分たちはチャンピオンとして見られる立場でもある。それでも受け身にならずに常にチャレンジャーとして、自分たちのサッカーを前面に出していくのが大事だと思う」

「リーグ戦で優勝してから…」

鹿島アントラーズ 早川友基
鹿島アントラーズ 早川友基【写真:Getty Images】


 こう語った早川は神奈川県相模原市で生まれ育ち、小・中学生時はマリノスのプライマリーとジュニアユースに所属。ユースに昇格できなかった中学卒業時には桐蔭学園高校へ、さらに明治大学へと進学した。

 卒業後の2021シーズンから鹿島に加入。2年目の終盤、サガン鳥栖とのJ1第30節で待望のリーグ戦初出場を果たすと、以来、J1で115試合、1万350分にわたって鹿島のゴールマウスに君臨し続けている。

 その間の昨シーズンに、鹿島の9シーズンぶり9度目の優勝を達成。全体で2番目に少ない31失点の堅守とともに最後尾で支えた早川は、昨年12月のJリーグアウォーズで最優秀選手賞(MVP)を受賞した。

 GKの受賞は、2010シーズンの楢崎正剛(名古屋グランパス)以来、史上2人目という快挙。名実ともにJ1最高の守護神となった早川は、自分自身に向けるベクトルのレベルをあえて上げた。

「リーグ戦で優勝してから、自分自身でもすごくいい状態で試合に臨めている。その意味では見ているファン・サポーターの方々の基準も上がっているので、それをまた超えていくパフォーマンスを出したい」

 早川がW杯へ臨んでいる間に、知念慶(マリノス)と師岡柊生(アビスパ福岡)が完全移籍。溝口修平(東京ヴェルディ)と舩橋佑(水戸ホーリーホック)が期限付き移籍で鹿島を去った。

 7月に入ると荒木遼太郎がシントトロイデンへ完全移籍。濃野公人も海外移籍のためにチームを離脱し、さらに安西が左膝前十字靭帯損傷で、樋口雄太は右腓骨骨折で長期離脱を余儀なくされている。

 2025シーズンから継続して選手会長を務める早川は、チーム全体の底上げが必要だと訴えていた。

「若い選手がもっと…」

鹿島アントラーズ 早川友基
鹿島アントラーズGK早川友基【写真:藤江直人】


「正直、自分が今回のW杯へ行って感じてきたものとして、チームはやはり2チーム、3チーム分のスカッドがあり、誰が出ても、という状態でないといけない、というのがあります。

 今シーズンはACLも戦うなかで、若い選手がもっとガツガツして、割り込んできてもいいのかなと思っています。そのなかで自分はコンディションを万全にして、いいプレーを出せるように準備していきたい」

 鹿島で絶対的な存在を放ち続けていた昨年7月。国内組だけのチーム編成で臨んだ東アジアE-1選手権(韓国)に招集された早川は、中国代表との第2戦で代表デビューを果たして実力をアピールした。

 以来、W杯を含めてすべての活動に招集されてきた早川は、途中出場した5月のアイスランド代表との壮行試合を含めて、現時点で4試合、277分のプレータイムを通じてまだ失点を許していない。

 10度目のリーグ戦優勝と2度目のアジア制覇を目指す鹿島を最後尾で支え、半年契約を結んだ森保一監督の続投が決まった日本代表では彩艶との距離を少しでも縮める目標を掲げて、早川は精進を重ねていく。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

【関連記事】
「文句ひとつ言わずに…」鹿島アントラーズ、柴崎岳が示す「他の選手も見習うべき」姿。限られた時間にすべて懸ける【コラム】
「オニさんが来て本当に変わりました」鹿島アントラーズ、田川亨介がエゴを捨てた一瞬の決断。「たとえ先発じゃなくても…」【コラム】
三竿健斗に派手さはない。だから頭を使ってきた。その経験が今の鹿島アントラーズを強くさせた。「自分は30代から輝く」【コラム】

『フットボールチャンネル』でサッカー最新情報を見よう!
いち早くチェックしたい方は下記リンクから↓↓


【了】

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top