三竿健斗はなぜ、今の鹿島アントラーズに不可欠な存在となったのか。開幕戦の退場という挫折を経て、試合ごとの振り返りと修正を重ね、プレーの再現性を高めてきた。本人の言葉と現地取材から、30歳を迎えたボランチの進化を読み解く。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
柏レイソル 0-1 鹿島アントラーズ
三協フロンテア柏スタジアム
鹿島アントラーズが首位のまま大型連休の連戦へ
2026年J1百年構想リーグも早いもので3分の2を消化し、EASTでは2025年J1王者の鹿島アントラーズが首位を快走している。
11試合終了時点で勝ち点29と、2位・FC東京と6ポイント差をつけており、その勢いはとどまるところを知らない。
4月24日のアウェイ・柏レイソル戦からは大型連休の連戦に突入。植田直通やレオ・セアラ、安西幸輝など、主力に30代が多いチームだけに、指揮官の的確なマネージメントは極めて重要だ。
それと同時に、選手たち自身も過密日程を乗り切れるような対応力が必要になってくると言っていい。
こうした中、ボランチに関しては、三竿健斗を中心に柴崎岳か樋口雄太のいずれかを組み合わせてスタート。終盤に知念慶がクローザーとして出てくる形が最近の定番になっている。
今は三竿が絶対的主軸の座を射止めた格好だが、今季の幕開けは苦いものだった。
悪夢の開幕戦を経て「同じような場面になった時に…」
2月7日の開幕・FC東京戦でビルドアップの過程からボールを奪われたマルセロ・ヒアンを倒して一発退場。いきなり1試合の出場停止を強いられているのだ。
その後、2月21日のホーム・柏戦からスタメンに復帰。今回の柏戦まで10試合連続で頭から出続けている。
それだけ鬼木監督の目指すスタイルを具現化できているということなのだろう。
本人はトライ&エラーを繰り返していることを明かす。
「開幕戦と同じような場面になった時にどうかわすか、どこのスペースを使えるのかという部分に関しては、毎試合映像を見ながら、『ここでターンできる』『ここにボールを置けば、プレスを受けずに前に行ける』という感じで振り返っている」
「頭の中は結構シンプルに考えられているし、少しずつ自信がついている」という手ごたえもつかみながら、昨季最終節までJ1タイトル争いを演じた宿敵とのゲームに向かったのだ。
柏も2連敗中でまさかの下位に沈んでいることもあり、この試合は序盤からギアを上げてきた。
相手はエース・細谷真大を起点に背後を積極的に狙ってきて、鹿島守備陣が脅かされるシーンもあった。
カウンターから細谷が強烈シュートを放った31分の決定機は最たるもの。
もちろん日本代表守護神の早川友基が立ちはだかり、無失点で抑えたが、この時間帯はやや押されている印象も拭えなかった。
冷静だった三竿健斗「見ながらやっていた」
「相手がマンツーマンだったんで、どこまでFWの選手がボランチについてくるかとかを見ながらやっていた。前線のミスマッチを突いていこうという話もしていました」
三竿は努めて冷静に戦況を見ながら戦ったという。
その落ち着きが先制点を呼び込む。
前半アディショナルタイムに濃野公人が対面の大久保智明からボールをカットすると、一気にドリブルで持ち込み、最終的にゴール左で構えていた鈴木優磨にラストパス。
これを背番号40が左足で決め切り、鹿島は絶好の時間帯に1点をリードし、試合を折り返すことになった。
そうなれば、柏は当然、巻き返しを図ってくる。
後半開始早々に杉岡大暉を投入。さらに63分には小見洋太を送り出し、左サイドをテコ入れしてきたのだ。
その流れから、64分には汰木康也が豪快なゴールを決めたかと思われたが、組み立てに参加した小泉佳穂のポジションがオフサイドと判断され、事なきを得た。
鹿島はそのまま逃げ切りを図るべく、鬼木監督は終盤、知念や小川諒也、津久井佳祐らを投入。ガッチリ1点を守り切る方向に舵を切った。
しかし、89分に津久井が杉岡を倒して一発退場。アディショナルタイム7分と表示される中、数的不利での戦いを余儀なくされたのだ。
厳しい局面で、率先して周りに指示を送ったのが、ボランチ・三竿だった。



