フットボールチャンネル

J2 3時間前

「もっと変わらないといけない」。新キャプテン藤原健介が開幕戦で感じたジュビロ磐田の変化と、勝たせる責任【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images

ジュビロ磐田 藤原健介 26/27明治安田J2リーグ第1節 ブラウブリッツ秋田戦

ジュビロ磐田の藤原健介【写真:Getty Images】



 今季からジュビロ磐田のキャプテンを託されたのは、中学時代からクラブ一筋の22歳、藤原健介だ。シーズン移行最初の開幕戦でチームを勝利に導くため、チームを鼓舞するだけではなく、プレーでも引っ張らないといけない、そんな責任感があった。変革する新体制のなかでその変化を受け止めながら、藤原はその先を見据えていた。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ] 

【2026/27明治安田J2リーグ第1節】
2026年8月8日 ジュビロ磐田 1-1 ブラウブリッツ秋田
(ヤマハスタジアム)

JリーグはDAZNで全試合ライブ配信!
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]

「ジュビロのDNAを呼び覚ます」その象徴となるべき藤原健介

26/27明治安田J2リーグ第1節 ジュビロ磐田×ブラウブリッツ秋田より

藤原健介(前列一番右)はキャプテンとして開幕戦のピッチに立った【写真:Getty Images】


 最後の力を振り絞って、ゴール前へ走った。

 1-1で迎えた後半アディショナルタイム。ジュビロ磐田のGK牲川歩見が自陣から前線へロングフィードを送ると、ブラウブリッツ秋田の最終ラインの背後へ抜け出したのは藤原健介だった。

 新キャプテンが勝利を引き寄せるか――。ヤマハスタジアムの期待を背負った決定機だったが、最後のシュートをゴールにつなげることはできなかった。

「最後は足が棒みたいになってたので。気持ちで走ってという感じです。『持ってない』と言われればそれまでですし、次、頑張ります」

 2026/27シーズンの開幕戦。磐田は開始20秒ほどで太田龍之介が先制しながら、後半に秋田に追いつかれて1-1の引き分けに終わった。サックスブルーに染まったホームで勝点3をつかむことはできなかった。

「ジュビロのDNAを呼び覚ます」を掲げる秋葉忠宏監督。その象徴となるべき藤原にとっては、キャプテンマークを巻いて迎えた新シーズンの初戦でもあった。

「これだけ最高の雰囲気を作ってくれた。サポーターに勝利を届けられなかったというのは本当に悔しいです」

 悔しさが大きかったのは、自らの力で試合を決めるチャンスがあったからでもある。

 後半開始直後にはペナルティーエリア外からゴールを狙ったが、シュートはわずかに枠の外へ。そして、試合終了間際には牲川のフィードに反応して最終ラインの背後へ飛び出した。

「決めないといけない場面が2点あったので。自分がチームの代表として、キャプテンマークを巻いている立場で、ああいったシーンを決めないといけないと思うので、そういうのはこれからこだわっていきたいなと思います」

 キャプテンとしてチームを鼓舞するだけではない。勝敗を左右する場面で自ら結果を残し、チームを勝たせる。藤原はそこまでを自身の責任として受け止めている。

 ただ、秋田戦で藤原が感じた課題はフィニッシュだけではなかった。

「いや、変わったなと思いましたから」

ジュビロ磐田 秋葉忠宏監督

ジュビロ磐田の秋葉忠宏監督【写真:Getty Images】


 磐田は開始直後、藤原が相手ディフェンスラインの背後へ送り込んだボールを太田が追い、GKへプレッシャーを掛けたことで先制点を生み出した。

 秋葉監督が求める「ゴールへ向かう」という姿勢が、いきなり結果につながった場面だった。

 一方で、そこから試合は徐々に秋田が得意とする展開へ傾いていく。

 秋田は失点しても戦い方を変えなかった。前線へロングボールを送り、空中戦とセカンドボールの攻防へ持ち込む。磐田もそこで一歩も引かず、球際や切り替えで対抗した。

 秋葉監督が試合後に評価したのも、そのたくましさだった。

「最後までファイトし続ける、最後の最後までゴールを狙い続ける、体を張り続ける。いや、変わったなと思いましたから、素晴らしいなと思っています」

 昨季は秋田にシーズンダブルを許した。百年構想リーグでも苦しい戦いが続いた。そのチームが新体制になり、秋田の強度を真正面から受け止めながら90分を戦い切ったことには、確かな前進がある。

 藤原も「まずはポジティブな部分も多かったと思うので。それは見せられたかなと思います」と手応えを認めている。
 ただし、「変わった」という周囲からの評価だけで満足するつもりはない。

「評価するのは他人なんで、お客さんがそう思ってくれたらいいのかなと思いますけど。もっともっとできるので、次は必ず勝って、サポーターに勝利を届けたいと思います」

 そして、百年構想リーグからの変化についても、藤原の基準は厳しい。

秋葉忠宏監督が就任してからおよそ1カ月、変化を評価する一方で…

ジュビロ磐田 藤原健介 26/27明治安田J2リーグ第1節 ブラウブリッツ秋田戦

ジュビロ磐田5年目の藤原健介【写真:Getty Images】


「52位(J2・J3の全体は32位)だったので、変わらないとおかしいというか。サポーターの皆さんもそれを期待していると思うので、もっと変わらないといけないと思います」

 秋葉監督が就任から約1カ月で生まれた変化を評価する一方、藤原はそれを当然のスタートラインとして受け止めている。

 だからこそ、秋田戦で見えた次の課題にも目を向ける。

 秋田のロングボールに対して競り合い、セカンドボールを回収するところまでは互角に戦えた。しかし、その次のプレーで相手を上回り切れなかった。

「セカンドボールを拾ったときに、もうちょいサイドに散らせれば、自分たちのボールになる時間を増やせたと思います。相手もそこを狙っていたと思うんですけど、そこを上回るぐらいのクオリティがあったらなと思います」

 ここは今季の磐田にとって重要なポイントになりそうだ。

 秋田のようなパワフルな相手に対して、球際で戦えることは大前提になる。しかし、相手と同じ土俵で戦い続けるだけでは、自分たちの優位性を作れない。

 セカンドボールを拾ったところで前へ蹴り返すのではなく、サイドへ散らす。一度相手の圧力を外してボールを保持し、ピッチを広く使う。そうすることで秋田の選手を動かし、自分たちが主導権を握る時間を増やすことができる。

 秋葉監督も「本来であればもっと技術やアイデア、判断を発揮できる中で相手の戦い方にお付き合いして、全体的に視野が狭くなってしまった」と振り返り、ハーフタイムには「もっと広げられる、落ち着いて周りを見てごらん」と選手たちへ伝えていた。

 強度で負けない。その上で、技術と判断で上回る。

 藤原が口にした「クオリティ」は、新しい磐田が次の段階へ進むためのキーワードでもある。

 そして、中盤の中央でプレーする藤原自身は、その部分で大きな役割を担う。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top