
ファジアーノ岡山の大森博【写真:Getty Images】
ファジアーノ岡山の大森博にとって、8月15日のV・ファーレン長崎戦は、J1で初めて勝利を味わった一戦だった。試合前日、木山隆之監督から「責任感を持って、自分が引っ張るぐらいでやれ」と言葉をかけられた23歳は、ホーム開幕戦で最後までゴールを守り抜いた。J3での武者修行を重ね、J2での出場経験がないままJ1へたどり着いた大森。指揮官の言葉を力に変えた23歳は、今、どこを見据えているのか。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第2節】
2026年8月15日 ファジアーノ岡山 1-0 V・ファーレン長崎
(JFE晴れの国スタジアム)
「上を目指すんだったら…」。23歳が見据える次のステージ

V・ファーレン長崎との試合でJ1初勝利を果たした大森博。さらなる飛躍が期待される【写真:Getty Images】
「ディフェンスラインでは、『俺らが失敗しないでできれば負けることはないから』というのを試合前にいつも話していて。その達成感をみんなで味わえて良かったです」
2021年に修徳高校から徳島ヴォルティスに加入するも、J3の福島ユナイテッドFCと栃木SCでの期限付き移籍がメインで、J2での出場経験がないまま、2026年1月に完全移籍で岡山にやってきた。
特別大会では14試合に出場し、自分の力を試しながら勝利に貢献してきたが、記録上では今節が大森自身にとっては記念すべきJ1初勝利となる。試合後のミックスゾーンでの表情は、実に柔和だった。
「(新シーズンの)ホーム開幕戦でもありましたし、本当にたくさんの人が来てくれて、本当に声援も聞こえていました。一つひとつのプレーごとの拍手や声援は本当に力になっています。(サポーターと一緒に喜べたことも)最高でした」
実は、木山監督に個別で言われたのは、今節に向けた話だけではなかった。
「『もっとやれる。いや、できるだろ。上を目指すんだったら、もっとやれ。試合に出ていることは当たり前じゃないぞ』という話もしてもらいました」
では、世代別の代表歴がなく、J3からコツコツと積み重ねて国内最高峰にたどり着いた23歳の大森が目指す「上」とはどこなのか。
「まずは岡山で、J1で上の順位に行くこと。海外(でのプレー)や日本代表はまだ狙える年齢でもあると思うので、そこを意識しながら。まずは岡山でしっかりと結果を残すことを頑張りたいです」
在籍約半年で、すでにファン・サポーターの心を掴んでいる。グッズ担当者が驚くほど6番のタオルマフラーは売れ、試合開始前にスタジアムのオーロラビジョンに映し出される煽り映像にも登場するようになった。
「(映像出演選手に選ばれたのは)素直に嬉しかったですし、やっぱり木山さんに言われたように責任感というんですかね。年齢が下だからではなく、もう自分が引っ張っていけるくらいの気持ちを持って、もっともっと成長したいです」
新たな自覚も芽生えながら、大森博はJ1の舞台を力強く進んでいる。
(取材・文:難波拓未)
【著者プロフィール:難波拓未】
2000年4月生まれ。岡山県出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生の夏からサッカーメディアの仕事を志す中、大学在学中の2022年からファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブの公式マッチデープログラムを担当し、現在は様々な媒体にも取材記事を寄稿している。メディア人として東京での2年間の育成型期限付きを経て、2026年から地元・岡山でフリーランスとして活動。モットーは、「魂を込めて、クラブや選手の魅力を伝える」こと。
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