
横浜F・マリノスの近藤友喜【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスの近藤友喜がいま、躍動している。新シーズンから4戦連続でスタメン出場し、持ち味のスピードとドリブルで右サイドを活性化。明治安田J1百年構想リーグではウイングへの順応に試行錯誤したが、そこで何を積み上げ、今季のプレーにどうつなげているのか。浦和レッズ戦後の言葉から、25歳の現在地に迫る。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第4節】
2026年8月29日 浦和レッズ 3-2 横浜F・マリノス
(埼玉スタジアム2002)
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2季目で増した、右サイドでの存在感

開幕から4戦連続で右ウイングとしてスタメン出場を果たした近藤友喜【写真:Getty Images】
近藤友喜が生き生きと右サイドを駆けている。横浜F・マリノス加入からまだ1年に満たない25歳は、試行錯誤を重ねた1季目を経て、いま確かな手応えをつかみ始めている。
「去年(百年構想リーグ)はあまり数字を残せなかった。一番はチームの結果もそうですし、僕自身が数字を残すことでそこに繋がっていくと思うので、どんどん数字は求めていきたいなと思います」
新シーズンの開幕戦、鹿島アントラーズとの打ち合いに敗れたあと、近藤は今季への想いをこう語っていた。
2025年12月、北海道コンサドーレ札幌で目標としていた1年でのJ1復帰は叶わず、自身のさらなる成長を求めて、マリノスへ完全移籍加入を果たした。
新体制発表の際に具体的な数字の目標を問われたとき、明言を避けていた近藤。多くは語らなくとも、目に見える結果を残したいという気持ちはこちらにも伝わっていた。
振り返れば、マリノス加入1季目となった明治安田J1百年構想リーグは、17試合に出場して先発は9試合。1得点2アシストという数字に終わった。右サイドのポジションではジョルディ・クルークスが起用される機会も多く、チームも13位に終わった。
それだけに、2季目となる今季にかける思いは強いはずだ。
8月29日に行われた第4節・浦和レッズ戦でも、開始直後から積極的に仕掛けた。11分には右サイドでボールを受けると、長沼洋一に対して縦へ仕掛け、天野純とのパス交換からペナルティーエリア(PA)内へ進入。最後は谷村海那へのパスにつなげ、相手のブロックに阻まれたものの、右サイドから攻撃を前進させた。
13分には、角田涼太朗がカットしたボールをロングフィードで受けると、胸でトラップして左足を振り抜く。GK西川周作にわずかに触られ、シュートはクロスバーを直撃した。
この日はゴールこそ生まれなかったが、右サイドから何度も浦和の守備陣を揺さぶった。
近藤は開幕から4試合連続で先発し、ここまで2アシストを記録。右サイドで求められる役割を着実にこなしている。
スティーブ・コリカ監督の下では、従来のように大外で幅を取るだけではなく、ベースとして内側のポジションを取ることも求められている。さらに、守備では前線からのプレスにも走力を惜しまず使う。
「チームとして、今までいたチームでは自分がワイドを張ることが多かったですけど、スティーブが来てからウイングは内側を取ってというような(やり方)。取り続けることが正解かと言われるとそうではないんですけど、ベースとしてはまずはインサイドというところではあるので、求められている部分かなと思います」
守備面については、昨季からの積み上げが活きている。
「積み上げてきた部分が出せるようになってきた」

横浜F・マリノス加入1年目の近藤友喜は百年構想リーグからの積み上げを今季につなげている【写真:編集部】
「守備は去年マリノスに来てから大島(秀夫)さんにすごく求められてできるようになってきた部分なので、そこは一番大島さんに感謝している部分ですし、スティーブも『俺のサッカーはウイングが一番走ってきついポジション』と言っているので、走ることが前提だし、そこが一番求められている部分なのかなと思います。
マリノスに来てから一番積み上げられている部分としての実感はありますし、マリノスに来たときよりできるように確実になっているので、そこの手応えは大きくあるかなと思います」
大島秀夫前監督のもとで培ったものは監督が代わっても、消えていない。そのうえで、周囲との関係性が深まったことが、今季のプレーを支えている。
浦和戦では、右サイドで天野純や井上太聖らとの連係が随所に見られた。
「みんな積極的にボールに関わりに来てくれるので、周りを使うタイミングと自分が1対1できる場面では、スペースも空けてくれるので、良い連係が取れているかなと思います」
57分には、右サイドでボールを受けた近藤が井上に落とし、井上からのクロスを谷村海那が頭で決めた。1-2と勝ち越すゴールにも、近藤の右サイドでの関わりがあった。
近藤自身も、2季目の変化を感じている。
「積み上げてきた部分が出せるようになってきたところと、あとは周りに自分をよりわかってもらえるようになってきていると思う。
スペースを空けてもらえる部分だったり、(井上)太聖ともオーバーラップした方がいいかって話もしていますけど、後ろにいてくれた方がああいう2点目のシーンみたいに形も作れるので、うまくやれているかなという印象はあります」
右で幅を取り、縦へ仕掛ける。内側へ入り、周囲の選手と関係を作る。状況に応じて自らゴールも狙う。
近藤が右サイドにいることで、相手の守備も選択を迫られる。外を切れば内側を使われ、近藤への対応を強めれば周囲にスペースが生まれる。その影響は、反対サイドの三井寺眞を活かすことにもつながっている。
開幕戦の鹿島戦では、右サイドから近藤が仕掛けた流れから、左サイドの三井寺がゴール前へ入り込んで先制点を生み出した。右と左が別々に存在するのではなく、互いの存在が相手の守備を動かしている。
開幕から4試合だが、どういった部分が良くなって現在のパフォーマンスにつながっているのか、質問をぶつけてみた。
出られない時間に「向き合ってやってきた」

明治安田J1百年構想リーグは17試合に出場して先発は9試合だったが、時間が経つにつれて自身の持ち味を出せるようになっていった【写真:Getty Images】
すると、「試合に出てないときの向き合い方が選手としての、本来の自分じゃないですけど」とウイングへの順応に苦しみ、出場機会がなかなか得られなかった1季目を引き合いに出して、こう続けた。
「出ているときって、ポジティブにいろいろ捉えられるし、なかなか外に矢印が向くことはないんですけど、やっぱり出れていないときの自分の態度だったり、ストレスがかかる中でいろんなところに矢印が向いちゃう部分はある。
そこでの向き合い方は僕も先輩からいろんなチームにいて見せてもらった部分ですし、向き合ってやってきた部分ではあるので、今また出れていない選手たちもいますけど、こういうときにどれぐらい積み上げられるか、出れたときに何ができるかだと思うので、僕ももう中堅にはなってきているので、そういう部分を伝えていきたいなと思います」
出場機会を得られなかった時間が、今につながっている。百年構想リーグで味わった悔しさがあるからこそ、発せられた言葉のようにも聞こえた。
近藤はいま、新体制のマリノスで確かな存在感を示し始めている。
もっとも、本人は現状に満足していない。
「数字の部分で言うと、足りてないのかなと思っています。プレーの内容どうこうより、やっぱり数字が求められる世界なので、そこはもっとこだわってやっていきたいなと思います」
4試合で2アシストという結果があっても、本人の評価は「足りていない」。その視線は、まだ生まれていないゴールへ向いている。