
【写真:田中伸弥】
スタッド・ランスに所属する日本代表MF中村敬斗の移籍が濃厚だ。仏紙『レキップ』は、リヨンが同選手獲得についてレンタル料200万ユーロ(約3億7000万円)、さらに約1100万ユーロ(約20億3500万円)の買取義務を盛り込む条件で合意したと報じている。同クラブに対しては極めて深刻な財政難も報じられていたが、中村に影響はあるだろうか。
断然お得なセットプランも登場「U-NEXTサッカーパック」に加入[PR]
リーグ・アン全体の44%にのぼる赤字額
中村敬斗のリヨン移籍が目前に迫るなか、同クラブの財政状況は懸念されるポイントのひとつだ。
リヨンは2024/25シーズンに2億850万ユーロ(約375.3億円)という巨額の赤字を計上した。これは前年比の約8倍に及ぶ急増で、リーグ・アン全体の赤字(4億6600万ユーロ)の実に44%を占める規模だ。
主要因はDAZNとのテレビ放映権契約が終了し、新プラットフォーム「リーグ・アン+」への移行で放映権収入が急減したことにある。
こうした財務悪化を受け、2024年11月にはフランスの財務監査機関DNCGから一時的に2部(リーグ・アン2)降格処分を科されるという事態も経験している。2部への降格はクラブ側の異議申し立てにより回避されたが、仏メディア『Foot Mercato』はリヨンの財政について「壊滅的」と表現していた。
当時のオーナーであったジョン・テクストル率いるイーグル・フットボール・グループ体制下での放漫な財務運営も大いに問題視された。英紙『フィナンシャル・タイムズ』によれば、降格処分が下った直後、3人の投資家がテクストルに対してそれぞれの持ち株を買い取るように迫ったという。
この状況を打開すべく2026年、韓国系アメリカ人実業家ミシェル・カン氏がイーグル・フットボールの株式87.78%を約3000万ドル(約48億円)で取得し、クラブは「オランピック・リヨン・グループ」として再編された。
カン氏側は3100万ユーロ(最大2年で7100万ユーロまで拡大可能)の株主ローンを供与し、既存債務のリスケジュールとイーグル・フットボールへの債務免除も実施した。
今年6月時点のリヨン専門メディア『Olympique et Lyonnais』によれば、直近のDNCG審査ではひとまず制裁を回避する見通しと報じられている。だが、カン氏による買収プロセス自体も継続的な審査対象であり、財務再建はまだ道半ばだ。
こうした背景を踏まえると、中村の移籍条件(完全移籍ではなく「買い取り義務付き有償レンタル」という分割払い的な構造、かつマリック・フォファナの売却成立が前提条件)自体が、クラブの資金的制約を色濃く反映していると言える。
2026/27シーズンを含む直近2年間の移籍取引も、選手の売却益が買い取り支出を上回る形で移籍市場を終えている。2025年の夏にはラヤン・シェルキやジョルジュ・ミカウタゼを3000万ユーロ(約54億円)超えの移籍金で売却した一方、買い取った選手の金額は最高でもタイラー・モートンの1000万ユーロ(約18億円)にとどまる。
中村個人へ直接的な悪影響が及ぶ可能性は低いだろうが、経営が完全に安定したとは言い難いクラブへの加入である点は留意すべきだろう。
【関連記事】
プレミアリーグ2026/27|試合日程・結果・順位表・得点ランキング・日本人選手・移籍情報
【一覧表】日本人選手 海外移籍情報2026/27
歴代最強!? 4年後のW杯サッカー日本代表メンバー案
【了】
