
移籍が実現しなかった欧州日本人選手たち【写真:Getty Images】
欧州サッカーにおいて、日本人選手の地位は向上し続けている。欧州5大リーグだけで見ても30人以上の選手が在籍し、今夏も多くの選手が欧州クラブへ移籍を果たしている。しかし、その中には移籍の噂があがったものの、結局実現とはならなかった選手もいる。今回は、移籍が期待されたが、現在も残留し同じクラブで戦い続ける欧州日本人選手をピックアップして紹介する。[4/5ページ]
MF:堂安律(どうあん・りつ)

フランクフルト所属の堂安律【写真:Getty Images】
生年月日:1998年6月16日
所属クラブ:フランクフルト
25/26リーグ戦成績:31試合5ゴール5アシスト
【昨季はイマイチ】
近年、勢いを増すサウジアラビアからの一報に、日本代表の10番の心はどれほど傾いただろうか。
10代でガンバ大阪からオランダへと渡り、海外挑戦を続けていた堂安律は、PSVなどを経由したのち2022年にフライブルクへと加入した。
左足から繰り出される威力満点のキックやオフ・ザ・ボールの動きという従来の武器に加え、ドイツで守備貢献の面でも成長し、ブンデスリーガ屈指の右ウインガーに成長。24/25シーズンにはリーグ戦34試合10ゴール8アシストを記録し、シーズン終了後フランクフルトへと引き抜かれている。
名門でのさらなる飛躍が期待された昨季は前半戦こそ好調だったが、守備崩壊にあえぐチームと共に調子を落とし、後半戦に至ってはわずか1ゴールと本来の力を発揮できないままシーズンを終えた。
【突然の大型契約、それでも…】
それでも、FIFAワールドカップ2026(W杯北中米大会)を終え、心機一転を図る日本代表の10番だったが、移籍市場終盤に差し掛かり、サウジアラビアリーグへ移籍の可能性が浮上してきた。
ドイツ紙『キッカー』によると、獲得に名乗りを挙げたのはアル・イテハドで、元フランス代表FWムサ・ディアビの後釜として堂安の獲得を望んでいた。同選手は今季のフランクフルトの構想に入っていたが、クラブはこの移籍市場で収益を確保する必要があり、放出やむなしという構え。
堂安本人も移籍に前向きな姿勢だとされ、移籍へのゴーサインまでに残された障壁は、フランクフルトの新指揮官に就任したアドルフ・ヒュッターの説得を残すのみとなった。
しかし、移籍間近となった現地時間8月31日、堂安はこの姿勢を翻意し、このディールが消滅。土壇場でフランクフルト残留を決めている。
堂安には900万ユーロ(約16億2000万円)の4年契約という好待遇が用意されていたと報じられている。現役引退後も続く生活のことを考えると、この契約に心が揺れ動くことは当然のことだ。
しかし、サウジリーグの地位が年々向上しているといっても、中東への移籍が「都落ち」であることは否めない。「UEFAチャンピオンズリーグ優勝」を自身の目標に掲げる堂安ならばなおさらである。
難しい決断の中、堂安は欧州という環境を選んだ。この選択に多くの日本人が胸をなでおろしたのは間違いないはずだ。