
ヴィッセル神戸の飯野七聖【写真:Getty Images】
ケガを繰り返す中で、ヴィッセル神戸の飯野七聖は「パッと出た試合で結果を残す」ことの重要性を実感してきた。今季も負傷による離脱を経て8月に復帰すると、J1で3試合連続の先発。再びピッチに立ち続けるために、飯野はいま何を考え、どんな準備をしているのか。(取材・文:高村美砂)[1/2ページ]
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「サイドからのクロスボールは自分の一番の特徴」。リーグ戦3試合連続先発で輝く飯野七聖
リーグ戦で3試合連続先発を果たしているヴィッセル神戸の飯野七聖(下段左から2番目)【写真:Getty Images】
度重なるケガに苦しみながらも、再び戦列に戻ってきたヴィッセル神戸・飯野七聖が輝きを放っている。
8月26日の天皇杯2回戦・ヴェロスクロノス都農戦で83分から今シーズン初の公式戦出場を果たすと、続くJ1リーグ第4節・セレッソ大阪戦で初先発。以降も右ウイングとしてコンスタントに先発のピッチを任される中で、第5節・東京ヴェルディ戦では、いずれもアシストこそつかなかったものの、2得点に絡む活躍を示す。さらに第6節・V・ファーレン長崎戦でもチームの3得点目をアシストし、起用に応えた。
長崎戦前日の取材では「どのタイミングで、自分の特徴を出すか」を意識していると話していた飯野だったが、まさにその言葉通りのパフォーマンスだった。
「サイドからのクロスボールは自分の一番の特徴で、間違いなく一番結果を残せる形。ただ、きょうに関して言えば(相手選手の)間にポジションをとって、これまで以上に他の選手とのつながりを持ってプレーすることをより意識していました。ワンクッション入れてからサイドで起点を作るとか、ワンクッションを入れた後に2列目から飛び出していくとか。
これまではサイドに開いてボールをもらっていたシーンが多かったですけど、きょうはそれだけじゃなくて、他の選手の立ち位置を見ながら機を見て中に入っていくなど他の選手と関わりを持ちながらプレーすることができた。ただ、自分の場合はそこで何か巧いプレーをできるわけではないからこそ、中に入っていったとしても簡単にプレーするというか。チームのボールの位置を前進させ、なおかつ自分がより良い位置でボールをもらえるようにプレーするといった工夫はしていました」
「どこで出ようと、自分の特徴をどう表現できるか」。広がった飯野七聖のプレーの幅

ヴィッセル神戸に加入してからはウイングに限らず、時に3バックの一角を担うなど、幅広くプレーしてきた飯野七聖【写真:Getty Images】
今も「自分はどこまでいってもサイドバックの選手という自負がある」と話す通り、長きにわたってサイドバックとして生きてきた。
国士舘大学卒業後、J3リーグからプロキャリアをスタートさせた苦労人だが、そのキャリアを高みへと押し上げてきたのもスピード、運動量、突破力に代表されるサイドバックとしての存在感だ。
だが、2022年夏に神戸に加入してからは、ウイングに限らず、時に3バックの一角を担うなど、幅広くプレー。今ではその適応力も飯野の持ち味になっている。
「ポジションが変われば役割も変わりますし、思考のところも切り替えなければいけないですけど、どこで出ようと、自分の特徴をどう表現できるかが生き残っていく上ではすごく大事なこと。その部分はどのポジションでも整理できているし、今はすごく良いメンタリティでプレーできています」
そんな彼を突き動かしてきたのが、チームに漂う高い競争力だ。彼が加入して以降、神戸は2023年、2024年のJ1リーグ連覇を実現するなど、着実に常勝クラブへと成長を遂げてきたが、その環境に身を置くことで膨らみ続けている危機感は、彼を突き動かす原動力にもなっている。
特に飯野にとってはそのすべてがケガとの戦いの日々でもあっただけに、なおさらだ。
「『またか』という気持ちはあった」。それでも飯野七聖がケガと向き合い続ける理由

これまでケガに悩まされることが多かった飯野七聖【写真:Getty Images】
「この5シーズン、連続して試合に出ても10試合くらいで、ケガをしては離脱し、またベンチスタートから始まって結果を残して、試合に出るということを繰り返してしまっている。実際、近年の僕にはケガが多い選手というイメージがついてしまっているはずだし、僕自身もどれだけしっかり取り組んでいてもやっぱり(ケガを)繰り返してしまうという悔しさを感じています。
特別シーズンもキャンプでケガをしてしまってキャンプを棒に振ってしまって悔しいシーズンを過ごしたし、今シーズンもキャンプの途中でまた痛めてしまった。それだけに、自分でも『またか』という気持ちはあったんですけど、やっぱりピッチで活躍しないとサッカーをしていても楽しくないので。実際、自分が出ていない試合は、いつもチームに勝って欲しいという思いと悔しさの狭間にいたし、この競争力の高いヴィッセルで生き残っていくためには、出場した試合で活躍するしかないという思いもあった。
それに、継続的に試合に出るためにもパッと出た試合で結果を残して、まずはスタートラインに立たないと次のチャンスは来ないというか。ヴィッセルはそういう競争力のあるチームだからこそ、目の前の1試合1試合で自分にできること、強みをどれだけ発揮できるかをいつも考えてピッチに立っています」
ただし、「わがままなプレーをして自分だけが結果を残しても意味がないと思っている」との言葉通り、自身の結果とチームの勝利は、常にセットで考えているからだろう。
ともにピッチに立つチームメイトの特徴をもとに、その良さを引き出すことも意識しながら『活かし活かされるプレー』を続けているのも印象的だ。ここ2試合も新加入のサイドバック・髙橋壱晟と右サイドで良い縦の連係を見出している。
「僕はどちらかというと活かされる側の選手なんですけど、壱晟は活かす側、活かされる側のどちらにもなれる選手で、足元も巧いので。彼が良い状態でボールを持ったときには背後へのランニングを増やして押し込む時間を作るとか、逆に守備のところでは彼もまだJ1の試合経験は多くないからこそ僕が戻って壱晟を助けながら二人で守備をするということは意識していました」
また、その中ではケガが続いてきた状況を鑑みて、いかに自身の体と付き合っていくのかもより深く考えるようになったという。