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J1 5時間前

J1のAPTは「2分38秒増」。その数字が示すもの。ファン・サポーターがレフェリーに求める“基準”とは【コラム】

Jリーグ 審判
Jリーグ 審判【写真:Getty Images】



 JFAによると、2026/27シーズンのJ1では、第4節終了時点のアクチュアルプレーイングタイム(APT)が1試合平均55分00秒となり、J1百年構想リーグの52分22秒から2分38秒増えた。時間の損失を減らす新たな競技規則が導入されるなか、試合の進め方は確かに変わりつつある。一方で、ルールが明確になっても、その「入口」にはレフェリーの判断が残る。ファン・サポーターが求める“基準”とは何なのか。9日に行われたJFAのレフェリーブリーフィングから考える。(取材・文:高橋大地)[1/2ページ]

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「2分38秒増」をどう見るべきか

名古屋グランパス
レフェリーと対話する名古屋グランパスの選手たち【写真:Getty Images】


 サッカーを観るのであれば、できるだけプレーしているシーンを見ていたい。

 見る側として、私はAPTが伸びているという変化を基本的には歓迎している。

 今季からは、意図的に再開を遅らせていると主審が判断したスローインやゴールキックへの「5秒」のカウントダウン、交代して退く選手に設けられた「10秒」、負傷者への「1分」など、時間の損失を減らすための新たな競技規則が導入された。実際に試合を見ていても、交代を告げられた選手が走ってピッチを離れるなど、プレーヤー側も新しいルールに協力的であるように感じる。

 9日に行われたJFAのレフェリーブリーフィングでも、佐藤隆治JFA審判マネジャーは「基本的にはやっぱりチームが非常に協力をしてくれている」と話し、チーム役員や交代要員も含め、スムーズな試合進行に協力していることを評価していた。

 もちろん、APTが伸びれば、その分だけサッカーが面白くなる……わけではない。

 そして今回のブリーフィングを聞いていて、それ以上に興味深く感じたことがある。

 新しい競技規則を、Jリーグではどのような手順と「基準」で運用していくのか、だ。

 そもそも競技規則を定めているのはIFAB(国際サッカー評議会)である。Jリーグが独自にルールを作っているわけではない。IFABが定めた競技規則をJFAが日本語版として示し、そのうち競技会主催者に選択が委ねられている手順についてはJリーグが採用するかどうかを決める。そのうえで、実際の試合でどのように適用していくのか、Jリーグを担当するレフェリーの間でも運用をすり合わせていく。

 これは今回に限った話でもない。競技規則に大きな変更があれば、その運用が定着するまでに一定の時間を要する。

 だから、現時点で一つの完成された答えがないことを、ネガティブに捉えたいわけではない。

 競技規則をただ機械的に適用するのではなく、いかにプレーヤーと一緒にサッカーというゲームをスムーズに進め、より良いものにしていくのか。そのための運用を、試合を重ねながらそろえていく段階にあるのだと思う。

 一方で、だからこそファン・サポーターにとって重要になるものがある。

 レフェリーがどのような「基準」で競技規則を適用しているのか。その考え方を、試合が変わっても理解できることではないだろうか。

「笛を吹いてから5秒」は一つの答え

サンフレッチェ広島 中野就斗
サンフレッチェ広島に所属する中野就斗 【写真:Getty Images】


 そのことを考える上で興味深いのが、スローインの「5秒」の運用である。

 再開を意図的に遅らせていると判断したとき、レフェリーが何の前触れもなく5秒を数えるわけではない。佐藤氏は「大事なことは、ボールを持っている選手に明確に伝えて、『始めますよ』ということでシグナルをする。あとは始まったらきちんとカウントダウンをするように」と説明した。

 これは良い取り組みだと思う。

「5秒」という数字以上に大切なのは、どこからその5秒が始まったのかをプレーヤーにも、見る側にも分かるようにすることだ。笛を吹いて意思を伝え、そこからカウントする。競技規則を運用する際の手順をそろえることが、一つの共通基準になっている。

 もちろん、そこにもレフェリーの判断は残る。スタジアムによってボールまでの距離は違う。相手選手が再開を妨害している場合もある。いつ「意図的に遅らせている」と見るのかは、一律に秒数だけでは決められない。

 佐藤氏も「反則を取るためのものではない」と話している。

 つまり、裁量をすべてなくそうとしているわけではない。一方で、裁量が必要な中でも、共通化できる手順はそろえる。この考え方は、新しい競技規則を運用していく上で重要に思える。

明確なルールでも「入口」に判断が残る

柏レイソル 久保藤次郎
柏レイソルに所属する久保藤次郎【写真:Getty Images】


 ただ、すべてがスローインのように整理できるわけではない。

 負傷者に関する「1分間」のルールは、その難しさがよく表れる例だ。

 負傷や負傷の疑いによって試合が止められるなど、一定の条件に該当してその選手がフィールドを離れることになった場合、原則としてプレー再開後1分間は復帰できない。

 一方、今回のブリーフィングでは、IFAB回状第34号で示された手順についても説明があった。出血がある場合や頭部の負傷が疑われて直ちにプレーが止められたものの、重篤ではないことがすぐに明らかになり、その後、診断や治療が必要ない、あるいは短時間で完了した場合についてである。

 この場合も選手は一度フィールドを離れなければならないが、競技会主催者は、プレー再開後の1分間を待たずに主審が復帰を許可できる手順を採用することができる。Jリーグでは、この手順を採用している。

 こうした例外を含め、ルールそのものは整理されている。

 しかし、そのルールを適用する「入口」にはレフェリーの裁量が残る。

 基本的に軽傷であればプレーを続け、重傷の可能性があると判断すればレフェリーは試合を止める。ただ、重い負傷を予期して笛を吹いたものの、確認してみれば、想定していたほどの負傷ではなかったということも起こり得る。

 佐藤氏も「レフェリーはなかなかインプレー中に止めることって悩むんです」と話し、「止めてしまうと外に出なければいけない。一時的にも11対10の状況を作らなければいけない」と説明していた。

 安全を優先して止めることは必要だ。ただ、プレーヤー側には納得できない部分も出てくるだろう。「なぜこの場面では止められたのか」「似たような場面では続けていたではないか」。その判断によって、自分たちが一時的に数的不利になる可能性もある。

 ルールそのものが明確になれば、すべてが明確になるわけではない。そのルールを「いつ適用するのか」という部分には、どうしてもレフェリーの判断が残る。

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