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ボールを支配しても、試合は支配できない。3連敗の名古屋グランパス、“ミシャ式”に生じた深刻な停滞【コラム】

シリーズ:コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

V・ファーレン長崎戦に敗れた名古屋グランパス
V・ファーレン長崎戦に敗れた名古屋グランパス【写真:Getty Images】



 名古屋グランパスは12日、敵地でV・ファーレン長崎に0-2で敗れた。これでリーグ戦は3連敗。明治安田J1百年構想リーグでは総合6位と上位に食い込んだが、2026/27シーズンは開幕から7試合で2勝5敗と黒星が先行している。百年構想リーグで形になり始めた「ミシャ式名古屋」に、いま何が起きているのか。 (文:竹内快)

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保持率68%でも「決定機不足」

落胆する名古屋グランパスの選手たち
落胆する名古屋グランパスの選手たち【写真:Getty Images】


“ミシャ”こと、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の就任により、名古屋のサッカーはボールを保持するスタイルへと転換した。丁寧なビルドアップで前進し、多くの選手が攻撃に絡む「ミシャ式」である。百年構想リーグでは一定の成果を残したが、今季はそれが結果に結びついていない。

 明治安田J1リーグ第7節のV・ファーレン長崎戦は、今季の問題を象徴する一戦だった。

 Jリーグ公式サイトによれば、この試合で名古屋のボール保持率は61%と長崎を大きく上回る数値を記録した。

 一方、シュート数は名古屋の11本に対して長崎が16本。さらに枠内シュート数では2本対7本、データサイト『SofaScore』によるとゴール期待値(xG)では0.80と2.08と大差がついた。つまり名古屋は、ボールを保持して敵陣深くまで何度も進入しながら、それを質の高いシュートへと結びつけられていない。

 その一因として挙げられるのが、長崎によるミシャ式対策だ。

 長崎はミドルサードでは強くプレスをかけず、自陣に引き込んで人数をかけてゴール前を守った。縦パスはカウンターを狙う彼らにとって格好の標的であり、中央を固められた名古屋は外へとボールを動かす時間が増える。押し込まれることは織り込み済みで、ボックス内ではシュートは打たせないという長崎の意図が伺えた。

 序盤を無失点で耐えた長崎は36分にPKから先制。以降はボールをつないで名古屋陣内でプレーする時間を増やしていく。

試合巧者になれない名古屋

FC町田ゼルビア戦後の名古屋グランパス
FC町田ゼルビア戦後の名古屋グランパス【写真:Getty Images】


 名古屋は後半に入っても決定機を作れない一方、長崎は57分にカウンターから追加点。効率よくゴールに迫り、そのまま逃げ切って今季リーグ戦2勝目を挙げた。

 前節のFC町田ゼルビア戦(1-3●)でも同様の傾向が見られた。名古屋はボール保持率57%、クロス数26本を記録。それでも得点はオウンゴールの1点のみだった。一方の町田はカウンターを生かして3得点を挙げ、勝利をものにした。

 町田戦、長崎戦ともにどちらが試合巧者かは明白である。つまるところ、今季の名古屋はボールを支配していても、試合を支配できていない。

 複数人で崩すことを重視する一方、敵陣ではパスを重ねる間に好機を逃す場面も見られる。攻め急いで受け手と出し手の意思が合わないことも多く、攻撃の精度は低い。最終的に攻撃の出口がクロスに限定されている。

 そして、攻撃をシュートで完結できないことは守備にも影響する。

 多くの選手が前がかりになるスタイルだけに、ボールを失ってカウンターを受ければ致命傷となる。直近3試合で1得点8失点という結果にも、こうした攻守の悪循環が表れているのではないだろうか。

 百年構想リーグで「ミシャ式名古屋」は一定の完成形を見せた。前体制の堅守速攻を受け継ぎつつも、多くの選手が攻撃に絡んで相手に圧力をかけ続けるという理想的な進化を遂げたはずだった。

 実質的な2年目となる今季は、ボール保持という観点では進歩した一方で、攻撃の停滞は試合を追うごとに深刻さを増している。

 ペトロヴィッチ監督は新たな答えを見つけられるか。ミシャ式名古屋は正念場を迎えている。

(文:竹内快)

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