
UEFAネーションズリーグを戦うイタリア代表【写真:Getty Images】
3大会連続でFIFAワールドカップ出場を逃したイタリア代表が、ロベルト・マンチーニ監督のもとで再出発する。UEFAネーションズリーグ4試合に向けて招集されたのは34人。実力者に加え、1部経験のない22歳FWらサプライズ選出も目立つ、新生アッズーリの顔ぶれを紹介する。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]
MFにはマンチーニが代表入りを熱望した才能も

イタリア代表に初選出された、カリアリ・カルチョのMFアレッサンドロ・ロマーノ【写真:Getty Images】
タレントが豊富なMFでは、サンドロ・トナーリ(トッテナム・ホットスパー)、ニコロー・バレッラ(インテル)ら必要不可欠なメンバーが選ばれた。
また、インテルからSSラツィオに移籍し、リーグ戦で3ゴールと好調のダヴィデ・フラッテージが選出。
2024年10月14日のイスラエル戦を最後に代表で出場がないニコロー・ファジョーリ(フィオレンティーナ)、2018年6月1日のフランス戦の1試合に出場した経験を持つロランド・マンドラーゴラ(トリノFC)も復帰している。
ブライアン・クリスタンテ(ASローマ)は腰痛の問題が発症し、代表を辞退。代わりに、ミランからコモ1907にレンタル移籍しているサムエーレ・リッチが招集されている。
MFで初めてイタリア代表に呼ばれた選手は2人。ポルトガルのスポルティングでプレーする22歳のイッサ・ドゥンビアとカリアリ・カルチョの20歳、アレッサンドロ・ロマーノだ。
前者は、今夏にヴェネツィアFCから2300万ユーロ(約41億円)で完全移籍。契約解除条項は8000万ユーロ(約144億円)に設定され、話題となった。
後者は、ASローマから買い取り義務付きのレンタルでカリアリ・カルチョに移籍。リーグ開幕直後から司令塔としてチームを牽引し、パルマ・カルチョ戦では、利き足の左足で強烈なミドルシュートをねじ込んでいる。
これまでアンダー世代の代表ではスイス代表としてプレーしてきたが、マンチーニ監督らがイタリア代表入りを説得し、それに応じる形となった。
カリアリ・カルチョのファビオ・ピザカーネは代表メンバー発表後に行われたウディネーゼ戦の終了後、ロマーノについてコメント。
「ロマーノは自分がどれほど優れた選手なのか、まだ分かっていない。総合力の高いMFだ。ストロートマンのような選手で、フィジカル面でさらに大きなインパクトを持っている。出場して、そして失敗もしなければならない」と話し、同じレフティーでASローマなどでプレーしたケヴィン・ストロートマンに劣らない選手であると評価した。
指揮官のコメントからも、ロマーノがどれほどの潜在能力を秘めているかが分かるだろう。
3戦連発の“問題児”FWマルディーニも選出

元イタリア代表パオロ・マルディーニを父に持つ、カリアリ・カルチョのFWダニエル・マルディーニ【写真:Getty Images】
最後にFWだ。アタランタのジャコモ・ラスパドーリとジャンルカ・スカマッカ、今夏にフィオレンティーナからコモ1907に買い取り義務付きのレンタルで移籍したモイーズ・キーン、また、マンチーニによって発掘されたニコロー・ザニオーロ(ウディネーゼ)も代表入りしている。
ダニエル・マルディーニ(カリアリ・カルチョ)も選出された。飲酒運転が発覚したがクラブによるお咎めはなく、代表ウィーク直前のリーグ戦、19日のウディネーゼ戦でもゴールを決め、3戦連発を記録し、好調を維持している。薬物の使用の疑いもあったが、9月21日に発表された検査結果では陰性だった。
ボローニャFCからは、ニコロー・カンビアーギが招集。ボルシア・ドルトムントの18歳サムエーレ・イナーシオも、6月のテストマッチに続き名を連ねた。
フィリッポ・マネ、ルーカ・レッジャーニらイタリア人が3人所属するボルシア・ドルトムントからは唯一の代表入りとなっている。
絶対的なストライカーを欠くアッズーリにおいて、今回の前線の軸と予想されるのが、インテルの若き点取り屋、フランチェスコ・ピオ・エスポージトだ。
21歳FWは、アッズーリには昨年9月5日のエストニア戦でデビューし、9試合5ゴールをマークしている。
その兄でエスポージト3兄弟の次男、セバスティアーノ(USサッスオーロ)が代表に初めて招集を受けた。ユヴェントス戦では今季、初ゴールを叩き込み、ユーヴェ撃破に貢献した。
また、SSCナポリのアントーニオ・ヴェルガーラも34人の一人に選出されている。突破力とテクニックを併せ持つ23歳。昨季から頭角を現し、代表入りを望む声が高まっていた。
最大のサプライズはドイツの「2部」から

イタリア代表に初選出された、ニュルンベルクのFWモハメド・アリ・ゾマ【写真:Getty Images】
そして、今回の代表メンバーで、サプライズ中のサプライズとなったのが、モハメド・アリ・ゾマである。恐らく、多くのファンは、この名に覚えがないはずだ。
それもそのはず、現在もブンデスリーガ2部に所属する1.FCニュルンベルクでプレーし、ドイツだけでなくイタリアでもトップリーグでプレーした経験のないプレーヤーだ。
モモの愛称で親しまれる22歳FWは、イタリア北部のクラブ、アルビノレッフェ出身で、スピードを最大の武器とし、得点力も兼ね備える。
アルビノレッフェからの移籍1年目の昨季はブンデスリーガ2部で14ゴールを記録。今季は開幕節のSGディナモ・ドレスデン戦でハットトリックを挙げるなど、6試合6ゴールと、高い決定力を見せている。
本人も予想していなかった招集だろう。何しろ1部のプレー経験すらなく、現在も2部のクラブに所属しているのだから、印象的な活躍をしているとはいえ、代表入りする可能性は低かったはずだ。
イタリア・メディア『Sky Sport』は25日、初戦のベルギー戦で、4-3-3のシステムが採用されると予想。
先発メンバーは、GK:ドンナルンマ、DF:ディ・ロレンツォ、マンチーニ、コッポラ、カラフィオーリ、MF:バレッラ、ロマーノ、トナーリ、FW:キーン、ピオ・エスポージト、カンビアーギ(もしくはザニオーロ)の11人としている。
イタリア代表の現在のFIFAランキングは15位。強豪国を避け、良い条件でワールドカップ2030年大会予選を迎えるためには、これ以上順位が下がることは許されない。
テストマッチの意味合いが強いネーションズリーグであるが、イタリアにとってはテストをする余裕はない。初戦から全力で立ち向かう必要がある。
(文:佐藤徳和)
【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru
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