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コラム 13時間前

日本代表は3-1で勝った。それでも、W杯から変わらぬ課題…ウルグアイ戦で露呈した森保ジャパンの弱点【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 フリーライター/戦術ライター photo by Getty Images,Shinya Tanaka

日本代表
日本代表はウルグアイに3-1で勝利した【写真:田中伸弥】



 日本代表はウルグアイ代表を3-1で下し、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)後の再スタートを白星で飾った。しかし、スコアほど両者に差があったわけではない。前向きな守備やウイングバックの攻撃力など、これまで築いてきた強みを発揮した一方、自陣からのビルドアップや選手交代には課題も残った。果たして日本代表は、W杯からどれだけ前に進んだのか。ウルグアイ戦から見えた現在地を読み解く。(文:西部謙司)

W杯からの進歩は…

サッカー日本代表 松木玖生
先制ゴールを決めた松木玖生【写真:田中伸弥】



 後半アディショナルタイムの2ゴールで3-1の勝利。内容的には互角といえる試合だった。

 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)を終え、4年後へ向けてのスタート。新たな進化が期待されたが、活動期間が空いたこともあって従来の基盤を確認するにとどまっていた。

 ディエゴ・フォルラン新監督を迎えたウルグアイ代表はW杯でグループステージ敗退だったとはいえ、南米の伝統国。戦い方も整理されていた。

 ウルグアイのフォーメーションは4-4-2。2トップにダルウィン・ヌニェスとフェデリコ・ビニャスを張らせ、ビルドアップではCBの間にMFロドリゴ・ベンタンクールが下りてくる。

 両SBは高めにポジションを移動するが、中盤中央部にはルーカス・トレイラしかいない。真ん中を空洞化させるドーナツ型になっている。

 ここから長めのパスで3種類の攻め込みを狙った。

 2トップへの直接的なロングボール。佐野海舟か佐野航大のボランチを釣りだせたら空白地帯を通過させる長いクサビ。大きなサイドチェンジからのサイド攻撃。3つともそれなりに有効だった。

 日本も幅広く展開してウイングバックの個人技を活かす。中村敬斗からのサイドチェンジを受けた松木玖生がカットインから左足のシュートをファーサイドへねじ込み先制した。

 初キャップの松木は攻守にそつのないプレーぶり。左の中村のドリブルからのシュート、クロスボールは大きな脅威を与えていた。

 攻撃から守備への早い切り替え、忠実なプレスバックとアグレッシブな寄せは相変わらずで、日本の基盤である前向きの守備は機能している。

 ウイングバックの個人技、貪欲にポケットを狙う走り込みも健在。ただ、それ以上の何かはとくになく、W杯からの進歩は感じられなかった。

佐野海舟と佐野航大のボランチでは…

サッカー日本代表MF佐野海舟 佐野航大
ボランチでコンビを組んだ佐野海舟と佐野航大【写真:Getty Images】



 ビルドアップはやや危うかった。ウルグアイの同点ゴールは日本のミスに起因している。

 GK早川友基からペナルティエリア外正面へのパスがずれ、カットされたところから攻め込まれた。GKを使ったビルドアップを試みるチームにありがちなミスではあるが、このレベルではあってはならない種類のミスであり、それで失点も許している。

 佐野海舟、佐野航大の兄弟ボランチは足腰の強さという共通点はあるものの、海舟は守備に特徴があり、航大は攻撃に出ていく力がある。海舟が6番、航大は8番のタイプだ。

 ただ、相手に背を向けた時のプレーが得意ではないのも共通していて、つまりビルドアップの軸にはなりにくい。

 背中から寄せてくる相手をどう操るかはアンカーの技量のみせどころなのだが、2人とも前進に強みはあってもボールと相手を同時に見られない状況で傑出したプレーができるわけではなく、鎌田大地や田中碧の登場で形にはしたが、W杯の課題だった自陣からの持ち出しに関しての進歩は見られなかった。

 伊藤洋輝、板倉滉、瀬古歩夢の3バックはロングボールの飛距離があり、それで相手のプレスを回避していた。GKが鈴木彩艶ならば、4人のロングキックでハイプレスをひっくり返してチャンスに変えられるだろう。

 ただし、そればかりというわけにはいかず、自陣からつないで運び出す能力は改善されなければならない。

ウイングバックの交代策も考えないと…


ウイングバックの交代策は今後の課題に?【写真:Getty Images】



 ウイングバックの交代策も今後の課題になりそうだ。

 3-4-2-1システムにおいて、ウイングバックにウイングを起用するのは定番になっている。しかし、W杯ではアジア相手のようにほぼ攻めっぱなしにはならない。強豪相手ではむしろ守備の時間が長くなる。

 前列の3人とボランチ2人で中央を閉め、サイドへボールを吐かせてウイングバックが一気に距離を詰めるプレスは日本の武器になっているが、常にそれでボールを奪えるわけではなく、奪えなければウイングバックは再び後退しなければならない。攻撃でも切り札的な役割を担っていて非常に負荷が大きい。

 つまり消耗が早い。交代枠の2つはウイングバックに使われる。

 例えば中村と三笘薫、堂安と伊東といった能力の高い選手が左右に2人ずついれば、カーレースのタイヤ交換のような交代にも意味があるかもしれないが、2つのポジションの交代を想定しなければならないなら残されたカードは3枚になるので選択は狭まる。

 さらに中村と三笘、堂安と伊東の同時起用も難しくなってしまう。

 ウルグアイ戦で勝ち越しの2点目を決めたのは塩貝健人。8人目の交代選手である。W杯であれば出場していない選手だ。

 先発した左右のウイングバックは松木→伊東、中村→相馬勇紀に交代している。中村は左シャドーに残したが、結局ウイングバックは両方交代。83分、最後の交代が中村→塩貝だった。

 ウイングバックの交代策については、おそらく4バックを含めて検討はされていると思うので、残り3試合で何らかの解決策をみつけておきたい。

 基盤の確認作業で終わった感のある新たなスタート。今後の3試合では何らかの進化の兆しを示してほしいところだ。

(文:西部謙司)

【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン)、近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。

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【了】

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