
サッカー日本代表 佐野航大【写真:Getty Images】
サッカー日本代表の新たな船出となった24日のウルグアイ戦で、佐野航大がスタメンのチャンスを得た。松木玖生の先制点を演出するなど攻撃面で持ち味を示した一方、後半を待たずにピッチを去ることに。23歳の成長株にとって、手ごたえと課題の両方を突きつけられる45分となった。PSVで定位置をつかむ佐野航大は、代表でも地位を築けるのか。(取材・文:元川悦子)
【キリンチャレンジカップ2026】
日本代表 3-1 ウルグアイ代表
キューアンドエースタジアムみやぎ
兄弟揃って先発も「自分は自分のやるべきことを…」

兄・海舟と揃ってスタメン出場した佐野航大【写真:Getty Images】【写真:Getty Images】
来年1月に開催されるAFCアジアカップ(サウジアラビア)制覇に向け、24日のウルグアイ戦から新たな一歩を踏み出した日本代表。森保一監督が続投し、残り4カ月を指揮するわけだが、FIFAワールドカップ(W杯)2026北中米大会と全く同じ陣容や戦い方でいいはずがない。
ここからは新たな戦力や多彩な戦術がより一層、必要になってくるのだ。
そういう意味でも注目されたスタメンだが、指揮官は初キャップの松木玖生、北中米W杯で思うように出番を得られなかった鈴木唯人を抜擢。あと一歩というところでW杯メンバー入りを逃した成長株・佐野航大もボランチに据え、兄・海舟と並べて起用した。
日本代表の兄弟同時出場は、三浦泰年・知良以来、33年ぶりだという。彼らは入場時からお互いの役割や距離感を話し合っており、密に意思疎通を続けていた。
「でも(兄弟ということは)考える余裕はなかったですし、自分は自分のやるべきことをやるっていう意識で入ったんで。前にも1回やってますし、別に何も思わなかったです」と特別な感慨を抱くこともなく、淡々とピッチに入ったようだ。
すでに代表での地位を確立している兄とは違い、彼はここから上り詰めていかなければいけない立場である。佐野航大は今夏、NECナイメヘンから名門・PSVに赴き、開幕からボランチでレギュラーをつかんでいるが、日本代表では何も保証されていないのだ。
「持った瞬間に決めるなと」松木の先制弾を生んだ佐野航大
スタメン起用に応える先制点を挙げた松木玖生【写真:Getty Images】
今季からイングランド・プレミアリーグに参戦したベテラン・守田英正でも招集されないのだから、厳しい世界なのは間違いない。
後発であるがゆえに、鎌田大地や田中碧といった常連組を追い越していかなければいけない。今後への布石を打つ意味でも、ウルグアイ戦のパフォーマンスは重要だった。
実際、入りは非常によかった。佐野兄弟は海舟が後方に位置してバランスを取り、航大は前目に上がって攻撃の起点になる仕事を主に担った。そして開始11分には松木の先制弾の起点になる動きを見せる。
中村敬斗のスローインを受けた佐野航大はリターンし、裏に抜けて、中村がインサイドにドリブルするコースを空けた。次の瞬間、背番号「13」から鋭いサイドチェンジが通り、ボールを受けた松木が強引に中にドリブルで仕掛けて左足を振り抜いたのだ。
「流動的に敬斗君、唯人君、俺っていうところでどんどんボールを止めずにテンポよく回していく、その中で敬斗君が横にドリブルするのは、相手からしたら絶対に守りにくいんで、いろんなところでタイミングやリズムを変えつつやりました。
玖生があそこのコースがすごいうまいのは、もう高校時代から知っていたこと。持った瞬間に決めるなと感じていました」と背番号「28」はキッパリ。その2分後にも自ら松木に見事なサイドチェンジを供給しており、高度な技術と戦術眼は大いに目を引いた。
佐野航大が痛感した課題

前半のみの出場と悔しい結果に終わった【写真:田中伸弥】
ただ、日本が低いブロックを形成した30分あたりからは苦境に陥った。相手に保持されてズルズル下がり、簡単にボールを失うシーンが急増したからだ。
「ローブロック引いてからの前進、奪った後の前進っていうのは、体力も使うし、難しかった。映像を見返さないと分かんないですけど、守備の行き方だったりをもう一回、自分の中でも整理しないといけない」と彼も大いに反省を口にした。
その流れからウルグアイに1点を献上。佐野航大も前半45分のみで交代を告げられる形になってしまった。
佐野航大と代わった鎌田が「今日はあんなに出るとは思っていなかった」と驚き半分に語ったのを見ると、森保監督はもう少し兄弟ボランチで行こうと考えていたのだろう。
しかし、失点したことで、常連組を投入して勝ちにいかなければいけなくなった。
仮に前半を失点ゼロで折り返せていれば、佐野航大自身ももっと長い時間ピッチに立てたはずだ。
森保監督は「玖久をはじめ、航大、唯人、(塩貝)健人ら若い選手がギラギラしていて、底上げを感じさせてくれた」と前向きなコメントを残したが、絶対的信頼を勝ち得るにはまだまだやらなければいけないことが少なくない。それを本人も改めて痛感したのではないか。