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やはりエディオンピースウイング広島は最高。雨の中とどろいた「森保ナイト」。圧巻スタジアムが持つ力とサッカー文化の象徴

text by 編集部 photo by Getty Images
ピースウイング広島 日本代表
【写真:Getty Images】



 雨の月曜夜、エディオンピースウイング広島に2万7882人が集まった。日本代表対ベネズエラ代表のスタンドで響いたのは、サンフレッチェ広島の応援歌をアレンジした「森保ナイト」。代表戦にクラブの文化が重なる光景は、何を物語るのか。森保一監督と広島のつながり、開業後の集客と経営の変化から、このスタジアムの存在意義を考える。



代表戦で響いた、広島で育まれた歌

 9月28日、エディオンピースウイング広島でキリンチャレンジカップ2026の日本代表対ベネズエラ代表が行われた。月曜夜の試合は雨に見舞われたが、スタンドには2万7882人が詰めかけた。

「バモ・ニッポン」「ニッポン・オーレ」といった代表の定番チャントに交じって響いたのが、「森保ナイト」だ。サンフレッチェ広島のチャント「Hiroshima Night」を、森保ジャパンへの応援歌にアレンジしたものである。

「森保ナイト」が歌われたのは、今回が初めてではない。2024年6月11日、ピースウイング広島で初めて開催された日本代表の試合が、FIFAワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦だった。日本が5-0で大勝したこの試合でも、サポーターは「Hiroshima Night」を森保ジャパンへの応援歌に替え、スタンドから届けていた。

 森保一監督は、現役時代の大半をマツダとサンフレッチェ広島で過ごした。監督としても2012年から2017年途中まで広島を率い、2012年、2013年、2015年の3度、J1リーグ優勝に導いている。

 森保監督とサポーターのつながりは、新スタジアムの開業以前から育まれてきた。その歴史を受け継ぐピースウイング広島は、2024年2月の開業以降、クラブの集客と経営にも大きな変化をもたらしている。

 Jリーグとクラブの公表資料によると、J1ホームゲームの平均入場者数は、旧本拠地のエディオンスタジアム広島で戦った2023年の1万6128人から、2024年には2万5609人に増えた。

 売上高は2023年度の約42億円から、2024年度には約80億円へとほぼ倍増した。2025年度(2025年2月〜2026年1月)は83億4700万円で、2年続けて過去最高を更新。純利益は4億1300万円を計上し、2期連続の黒字となった。

 入場料収入も、2023年度の6億3100万円から2024年度には20億400万円へと約3.2倍に増加し、2025年度には21億6600万円となった。



2025年のリーグ戦は全試合で全席種が完売

 クラブが公表した2025シーズンのレビューによると、トップチーム主催公式戦では、リーグ戦、ルヴァンカップ、ACLを合わせた入場者数が60万2944人に達し、クラブ記録を更新した。新スタジアムの開業を挟み、観客を迎える規模も、クラブの収益基盤も大きく広がっている。

 来場者は、試合を観戦する人だけではない。ピースウイング広島は広島市中心部の中央公園内にあり、サッカー以外の目的でも人々を迎えている。

 クラブによると、開業した2024年の11月末時点で、スタジアム全体の総来場者数は約118万人。このうち約56万人が、サッカー観戦以外の目的で訪れていた。企業の記念行事や夜神楽の鑑賞会、光と音楽のショー、コンコースを使ったリレーマラソンなど、サンフレッチェ広島の試合のない日にも施設を活用してきた。

 Jリーグのシーズンレビューでも紹介されたクラブ公表の推計では、Jリーグ1試合あたりの経済効果は約11億円に上る。クラブ自身の収入とは別に、周辺での消費などを含めた地域への広がりも示されている。

 こうした日常的なにぎわいと、試合日にスタンドを満たす声援。その両方を受け止める場所で、28日には地域クラブのサポーター文化と代表の応援が重なった。

 一方で、この人気を持続させるための課題もある。クラブによると、2025年のリーグ戦は全試合で全席種が完売した。高い需要を維持する一方、初めて観戦したい人にも来場の機会をどう届けるか。試合のない日にも人を呼び込む取り組みとともに、ファンとの接点を広げ続けることが求められる。

 ベネズエラ戦にしても、日本サッカー協会(JFA)は9月17日に完売を発表。当日券は販売されなかった。月曜夜の開催ながら、試合の11日前にはチケットが売り切れていた。

 新スタジアムの開業を挟み、クラブの売上は大きく伸びた。そして代表戦の夜には、広島で育まれてきた歌が、かつてクラブを率いた指揮官へ再び届けられた。

 施設の魅力と、地域に積み重ねられた歴史。その両方が、人々を同じ場所へ引き寄せている。雨の中に響いた「森保ナイト」は、ピースウイング広島が受け継ぐサッカー文化を感じさせる光景だった。

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