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大岩剛監督、鹿島では143試合中141試合が【4-4-2】。U-21日本代表で貫いた【4-3-3】は最適解だったのか?

text by 編集部 photo by Getty Images
U-21日本代表 大岩剛 石渡ネルソン
U-21日本代表の大岩剛監督と石渡ネルソン【写真:Getty Images】



 アジア競技大会で銀メダルを獲得したU-21日本代表。大岩剛監督は全6試合で【4-3-3】を基本布陣に据えたが、選手の持ち味を十分に引き出せていたのか。鹿島アントラーズ時代の歩みと今大会のアンカー起用から、代表に定着させる「型」を問う。



143試合中141試合が【4-4-2】

 大岩監督が鹿島を率いたのは2017年途中から2019年シーズン終了まで。『Transfermarkt』の記録によると、公式戦143試合のうち、【4-4-2】以外で試合に入ったのはわずか2試合だった。なお、本稿で扱う布陣は、いずれも同サイトに記録された試合開始時のものである。

 その2試合も、2018年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝・ペルセポリス戦ファーストレグを挟んだJ1リーグのセレッソ大阪戦と柏レイソル戦。アジア制覇がかかった特殊な時期に限られる。それ以外は、ダブルボランチの【4-4-2】で一貫していた。

【4-4-2】は、歴代のブラジル人監督らのもとで受け継がれてきた、鹿島を象徴する基本布陣である。その形で大きな成功を収めたのが、オズワルド・オリヴェイラ監督のもとで成し遂げた2007年からのJ1リーグ3連覇だった。

 オリヴェイラ体制の公式戦241試合のうち、布陣の記録が残る203試合(天皇杯を含む国内カップ戦はデータが不明瞭)で【4-4-2】は192試合を占める。割合にして約95%。3連覇を果たした2007~2009年も、布陣の記録が確認できる試合では、例外は2007年のJ1リーグ第2節だけだった。

 この時期、大岩監督は鹿島のセンターバックとしてプレーしていた。リーグ3連覇を支えた基本形を、ピッチの内側で学んでいたことになる。

 引退後は2011年からコーチとして、オリヴェイラ、ジョルジーニョ、トニーニョ・セレーゾ、石井正忠の4人の監督に仕えた。2017年に監督へ昇格すると、自らも【4-4-2】を軸にチームを率い、2018年にはクラブ悲願のACL制覇を果たした。

 大岩監督は、鹿島の基本形を選手と指導者の両方の立場から学び、受け継いできた人物である。

 注目したいのは、基本布陣の一貫性だ。オリヴェイラ監督が在任期間の終盤に【4-2-3-1】を織り交ぜたのに対し、大岩監督の【4-4-2】率は約99%。記録のある試合に限った比較では、師を上回る割合で同じ形を採用していた。

 もちろん、開始時の布陣が同じでも、選手の役割や試合中の修正まで同じとは限らない。それでも、基本形を継続して用いる姿勢は読み取れる。鹿島時代の歩みから浮かぶのは、ひとつの型をチームに浸透させ、その中で完成度を高めようとする指導者の姿だ。



定着させる「型」は【4-3-3】でなければならないのか?

 では、今大会で採用した【4-3-3】は、十分に機能していたのだろうか。日本は決勝まで進んだ一方、準決勝ではウズベキスタンに先制され、追い付いたものの勝ち越せず、PK戦で勝ち上がった。決勝の韓国戦では、先制を許した後に得点を奪えなかった。

 勝ち上がった結果だけでなく、得点が必要な局面で、この配置が選手の持ち味や攻撃の選択肢を十分に引き出していたかを検証したい。特に、中島洋太朗と石渡ネルソン、保田堅心の3人を試合ごとに抜擢したアンカーは最後まで適任者がいなかったように見える。

 3人ともクラブで担っているのはダブルボランチおよびインサイドハーフであり、専門性の高いポジションであるにも関わらず本職がいないという矛盾を抱えていた。それぞれ持ち味は発揮できていたが、いずれもアンカーのそれではなかっただろう。

 同ポジションは攻撃を司るレジスタ型と潰し屋型に大別されるが、いずれも攻守にバランス感覚が大事だ。とりわけ中央でのポジショニングも重要になるなかで、ボール保持の際の配球と攻守の切り替えを想定したリスクマネジメントを両立できていた選手は少なかった。

 グループリーグでは相手が日本のボールホルダーに寄せずに引いて守っていたことでアンカーの課題が表面化しにくかったが、準々決勝の北朝鮮戦からプレッシャーの強度が高まり、セカンドボールも拾われた。日本は大会を通じて6試合で14得点をあげたが、12得点はグループリーグで記録したものだ。

 もちろん、得点が減った原因を布陣や特定の選手だけに求めることはできない。ただ、同じ形を使い続けることと、その形がチームに適していることは別の問題だ。

 仮に大岩監督に託されたミッションが、世代別代表からA代表へつながる「型の定着」およびチーム戦術の確立にあるなら、その型は必ずしも【4-3-3】でなくてもよいのではないか。

 鹿島では【4-4-2】を軸に、ACL制覇を成し遂げている。ひとつの型を浸透させる手腕に期待するからこそ、定着させる形そのものが適切かを問いたい。

 今大会で見えた成果と課題を踏まえても、代表の土台に据えるべき形は【4-3-3】なのか。継続して磨く価値とともに、その選択の妥当性も検証する必要がある。

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