
日本代表MF鈴木唯人【写真:Getty Images】
ニュージーランド代表を2-1で下した日本代表。ただ、低く構える【5-4-1】との攻防には、この試合で出番がなかった鈴木唯人の可能性を試す余地もあった。フライブルクでの活躍と今回の代表シリーズから、連係で守備を動かす背番号「8」の生かし方を考える。
周囲とつながり、再びゴール前へ
日本代表は5日、キリンカップサッカー2026決勝でニュージーランド代表に2-1で勝利した。上田綺世の先制点と堂安律の決勝点で優勝をつかんだ一方、相手が自陣に築いた【5-4-1】を前に、攻撃が停滞する時間もあった。
そしてこの展開でこそ輝くのが、鈴木唯人ではなかったか。
今季のフライブルクでは、ブンデスリーガ開幕節のブレーメン戦でハットトリックを達成。代表活動前までのリーグ4試合で4得点を挙げた。トップ下を担う鈴木は、ゴール前で待つだけの選手ではない。
味方からボールを引き出し、預け直し、再び前へ出る。組み立てへの関与とフィニッシュを結び付けるところに持ち味がある。
ブレーメン戦の自身3点目も、イゴール・マタノヴィッチとのパス交換から生まれた。味方を使ったあとに足を止めず、リターンを受けて仕留める。得点数だけでなく、周囲との関係の中でゴールへ向かう過程にも目を向けたい。
9・10月シリーズの日本代表でも、そうしたリンクマンとしての動きは見せていた。ウルグアイ戦ではシャドーから時にはボランチの位置まで下り、前進を手助けした。ただ、その仕事が増えるほど自身はゴールから遠ざかり、シュートは1本にとどまった。
フィニッシャーとしての仕事は限られたが、この試合では味方のチャンスに繋がる動きを随所で見せた。ウルグアイの経験豊富な選手たちを相手に決定機創出「2」を記録したのは、松木玖生のゴールをアシストした中村敬斗と鈴木だけである(出典:データサイト『FotMob』)。
エクアドル戦では久保建英と位置を交換し、同じサイドに寄ってパスの選択肢をつくった。下がって受けるだけでなく、谷村海那からのパスに走り込んでシュートも放っている。味方とつながりながら、最後は自分も得点機に関わる。その形は代表でも少しずつ見えていた。
本職トップ下なのに出番なし…。
だからこそ、ニュージーランドのように低い位置でブロックを組む相手との組み合わせを見たかった。5人の最終ラインと、その前の4人が間隔を保てば、単騎で突破するにも使える空間は限られる。必要になるのは、パスと移動を重ね、守備者に判断を迫ることだ。
ニュージーランド戦は2列目の右に堂安律が入り、ワントップに上田綺世が起用されていた。一方は様々なポジション取りから自身の役割を変えられるMFであり、他方は圧倒的得点力を備えながらポストプレーもそつなくこなすストライカーだ。
右サイドバックの中野就斗も高い位置を取れており、内側に入ってゲームメイクに関わる場面もあった。鈴木が持ち味を発揮する土壌は整っていたと言って差し支えないだろう。クラブで慣れた役割を、連係に優れた選手たちと共に代表の4バックでも試す意味はあったはずだ。
さらに書けば、上田に次ぐセンターフォワードの2番手が不在であることは各所で指摘されているが、そのプレースタイルから鈴木に「偽9番」的な役割を託す余地もあったかもしれない。前線から下りて攻撃をつなぎ、味方の侵入を促す動きは“ゼロトップ”の位置でも機能した可能性がある。
実際、日本は左ウイングに入った中村の突破から右の堂安が決め、勝利を手にした。その打開策を評価したうえで、連係で相手を動かす別の方法も検討できたのではないか。
今シリーズは離脱者が多く4バックを試すまでに時間がかかってしまった側面はあるが、本職トップ下として結果を残す鈴木をそのポジションで起用できなかったのはいささか残念ではある。
年明けのAFCアジアカップでも想定される、引いた相手との攻防。好調な背番号「8」をゴールに近い場所でどう生かすかは、なお試す価値のあるテーマである。
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