ニュージーランド戦でスタメン出場したサッカー日本代表の中野就斗【写真:Getty Images】
サッカー日本代表の中野就斗が、今回の代表活動期間で存在感を高めた。アジアカップ(杯)を見据えた競争が激しくなる中、出場した2試合で示したユーティリティ性は、今後の序列を左右する材料になりそうだ。
様々な経験を積んだ今回の代表活動

右サイドバックで持ち味の攻撃力を発揮【写真:田中伸弥】
9月28日のベネズエラ戦で右ウイングバック(WB)として先発し、代表デビューを飾った中野。ニュージーランド戦では、森保一監督が4バックを採用したことで、右サイドバック(SB)としてピッチに立った。
所属するサンフレッチェ広島は、日本代表と同じく3バックを基本システムとしているため、SBとしてのプレーはほとんど経験がなかったはずだ。
それでも攻撃時にはかなり高い位置までポジションを上げ、右サイドの攻撃を活性化。28分には、右サイドを突破した久保建英からのパスを受けると、中央へ正確なクロスを供給し、上田綺世の先制点の起点となった。
この試合では、右サイドからクロスを供給する場面も目立った。左サイドからの攻撃がなかなか形にならなかったこともあり、日本の攻撃が右に偏る時間帯もあったが、その中で中野は積極的に攻撃参加を続けた。4バックの右SBでも、持ち味である攻撃力を十分に発揮したと言っていいだろう。
ベネズエラ戦では右WB、ニュージーランド戦では右SB。わずか2試合で異なるシステム、異なるポジションを経験したことも大きい。中野にとって今回の代表活動は、単にA代表でのキャップ数を記録しただけではなく、自身のプレーの幅を示す機会にもなった。
一方で、課題も残った。失点シーンでは、前田大然の予期せぬパスミスからカウンターを許すと、高い位置を取っていた中野もフルスプリントで自陣へ戻ったが、最後は失点を喫した。
もちろん、中野に失点の責任があるわけではない。ただ、代表レベルでは、わずかなポジショニングのズレや切り替えの遅れが決定的なピンチにつながる。攻撃に出た後、ボールを失った瞬間にどれだけ素早く守備へ移行できるかは、今後さらに突き詰める必要があるだろう。
もっとも、こうした部分は国際舞台で経験を積むことで改善していけるはずだ。
初招集から一気に序列争いへ
初招集組の中では最もプレータイムが多かった【写真:編集部】
この試合で64分間プレーした中野は、ベネズエラ戦の71分と合わせて今シリーズ計135分に出場。今回初招集された4人(中野、谷村海那、松木玖生、齋藤俊輔)の中で、最も長いプレータイムを記録した。ポジションもそれぞれ異なるため、一概に比較することはできないが、4試合中2試合でスタメン起用されたことを考えても、森保監督から一定の評価を得ていると見ていいだろう。
現状、中野と右サイドのポジションを争う有力なライバルとしては、今回途中から追加招集された望月ヘンリー海輝、ドイツでプレーする橋岡大樹、今夏の移籍を考慮して今回のメンバーから外れた菅原由勢らが挙げられる。さらに、今回のウルグアイ戦で先発した松木も、右WBの候補となり得る。
3バック時の右WBには堂安律という絶対的な存在がいるものの、決して層が厚いポジションとは言えない。
その中で、中野の強みとなるのがユーティリティ性だ。攻撃面で特徴を出しながら、センターバックとWBの両方をこなせる。試合展開や相手に応じて3バックと4バックを使い分けるのであれば、複数のポジションを高い水準でこなせる選手の価値はさらに高まる。
また、あらゆる戦い方が求められるアジア杯を見据えれば、中野のようなタイプはベンチに置いておくだけでも戦術的な選択肢を広げられる存在だろう。
代表2試合目にして、4バックを試す試合で主力組に交じって先発起用されたことは、森保監督からの期待の表れとも受け取れる。
仮に11月シリーズにも選出されれば、アジア杯のメンバー入りも十分に視野に入ってくる。
今後の序列に食い込む可能性を示した試合になったと言えそうだ。
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