
引退試合を終えたリオネル・メッシと、代表活動を途中離脱したクリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】
リオネル・メッシが、アルゼンチン代表として最後の試合を終えた。一方、長年にわたって比較されてきたクリスティアーノ・ロナウドは、監督との確執から代表活動を途中離脱しながらも、再びポルトガル代表でプレーする意思を示している。同じ時代を走り続けた2人の英雄は今、対照的な場所に立っている。
断然お得なセットプランも登場「U-NEXTサッカーパック」に加入[PR]
「最後の日」を迎えたメッシ、まだ終わらないロナウド
アルゼンチン代表は6日、ブエノスアイレスのエスタディオ・モヌメンタルでベナン代表と対戦し、3-0で勝利した。
この試合を最後に代表を引退するリオネル・メッシは、最後まで主役だった。盟友ニコラス・オタメンディと、アルゼンチンの次代を担うニコ・パスのゴールをアシストすると、後半にはPKを決め、1得点2アシスト。代表最後の一戦で3得点すべてに絡んだ。
もちろん、この夜は結果以上に、メッシとの別れそのものが大きな意味を持った。
試合前には、背番号「10」と「GRACIAS(ありがとう)」が記された巨大なユニフォームがピッチに広げられ、メッシは3人の息子とともに入場。国歌を聞きながら涙を流した。
さらに背番号にちなんだ前半10分には試合が一時中断され、8万5000人を超える観客が総立ちで拍手。花火も打ち上げられ、対戦相手のベナンの選手たちもメッシのもとへ歩み寄った。
試合後には引退セレモニーが行われ、メッシは自らの言葉で別れを告げた。これまでの代表生活を振り返りながら家族やチームメート、サポーターへの感謝を口にし、亡き父への思いを語る場面では再び感情をあらわにした。
こうして39歳のメッシが国を挙げて送り出された一方、41歳のもう1人の“主役”は、代表を離脱する異例の事態を迎えていた。
ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドは今回の代表活動にも招集され、9月24日のウェールズ戦に出場した。しかし、27日のノルウェー戦ではベンチ入りしながら最後まで出番がなかった。
ジョルジェ・ジェズス監督から試合中に「30分プレーできるか」と聞かれて了承し、後半からウォーミングアップを続けていたにもかかわらず、起用されなかったという。
その後、両者は話し合いの場を持ったが、関係はさらに悪化。ロナウドによれば、ジェズス監督が記者会見で起用を巡る経緯を説明することで合意していたものの、それも果たされなかった。
そして9月30日、ロナウドは代表合宿からの離脱を決断した。デンマーク戦を翌日に控える中でチームを離れ、その日のうちにコペンハーゲンを出発。「いずれ、代表を離れた理由についてすべてのポルトガル国民に真実を話す」と予告した。
その“真実”が明かされたのが10月6日だった。ロナウドは声明の中で、実はFIFAワールドカップ2026を終えた後、一度は代表引退を決意し、ポルトガル国民に向けた“引退の手紙”まで用意していたことを告白。しかし、ポルトガルサッカー連盟(FPF)のペドロ・プロエンサ会長から慰留され、代表続行を決断したという。
さらに、ジェズス監督の就任を当初は歓迎し、就任後に直接話し合って出場時間を管理しながら起用していく方針を確認していたことも明かした。それだけに、ノルウェー戦で起用されなかったこと、その後の会談で説明するとされた経緯が記者会見で語られなかったことを、ロナウドは「2度、約束を破られた」と受け止めたという。
そして今回の離脱について謝罪し、処分を受け入れる姿勢を示した一方で、代表を去るとは言わなかった。コンディションが整えば、再びポルトガル代表で「競い、勝つ」ために応じる意思を明らかにした。ジェズス監督も4日、本人が望めば代表に戻れるとの考えを示している。
思えば、メッシも2016年に一度「代表引退」を口にしている。コパ・アメリカ決勝で敗れた直後のことだった。しかし、その決断を撤回して戻ると、やがてコパ・アメリカ、そしてW杯を制覇した。
その過程で変わったのは、タイトルの数だけではない。自らが輝くだけでなく、チームの中で自身の生かし方を見つけ、若い選手たちを引っ張る存在にもなった。そうして最後には、アルゼンチン全体が納得する形で「10番」を送り出す日を迎えた。
一方、今回のロナウドの件は、ポルトガルが最後まで彼をどう扱うのか、その答えを見つけ切れなかった結果のようにも映る。
北中米W杯では3得点を挙げたものの、国内では「もう去る時だ」との声や、主役ではなく脇役を受け入れるべきだという厳しい論調もあった。それでも大会後には慰留され、ロナウド自身も代表続行を決断した。
ところが、新監督との間では約束されたはずの出場時間は確保されず、逆にジェズス体制のポルトガルはロナウド不在でも勝ち続け、4戦4勝でスタートしている。
それでも、そんな周囲の評価や状況は、この男にとって決定的なものではないのかもしれない。
ロナウドは声明の最後に、「代表について考えるとき、私が本当に考えているのは“競争すること”だ」と記した。そして、コンディションが良く、クラブでプレーし、科される処分を終えた後には、これまでと同じように「代表で競い、勝つため」に招集に応じる意思を示した。
メッシは39歳で、これ以上ないともいえる形で代表キャリアに終止符を打った。41歳のロナウドは、まだ終わりではなく「競争」を見ている。20年以上にわたって比較されてきた2人は、その最後まで、まったく異なる現在地に立っている。
【関連記事】
アルゼンチン代表は時代遅れなのか。メッシの「1」+「9」という異質。一気に戻された時計の針【北中米W杯注目国分析】
ポルトガル代表、なぜC・ロナウドを代えなかったのか。最後までエースを信じた采配の誤算【北中米W杯コラム】
ポルトガル代表にクリスティアーノ・ロナウドって必要なの? その答えは明確である【北中米W杯コラム】
【了】
