
柏レイソル 瀬川祐輔【写真:Getty Images】
9月度のJリーグ月間MVPに輝いた柏レイソルの瀬川祐輔は、10月9日のヴィッセル神戸戦でもゴールを奪い、途中出場から9試合で8ゴールと、自身のゴール記録を伸ばした。それでも試合後に出たのは「すっごいモヤモヤします」という言葉だった。32歳のストライカーが明かしたのは、結果を残す自信と、先発できないもどかしさ。そこには、チーム内の競争に向き合う葛藤と、衰えることのないゴールへの欲があった。(取材・文:高橋大地)[1/3ページ]
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【2026/27 明治安田J1リーグ 第9節】
2026年10月9日 柏レイソル 4-2 ヴィッセル神戸
(三協フロンテア柏スタジアム)
「9割くらいですよね。嬉しいの」

久保藤次郎のゴールを祝福する瀬川祐輔【写真:Getty Images】
神戸を4-2で下した一戦。瀬川は71分からピッチに立ち、84分にゴールを決めた。藤尾翔太、山内日向汰、久保藤次郎に続く得点だった。
試合後、その喜びを尋ねられると、まずは自分と同じように出番を待つ選手たちに思いを寄せた。
「嬉しいです。MVP取れるなんてめったにないことですし。途中出場っていうか、ベンチを温めている、他のJのチームの選手もそうだし、子どもたちにもそうですけど。チャンスをものにすることで、こういう輝けることがあるっていうのは、メッセージとしてはいいのかな、みたいな。9割くらいですよね。嬉しいの」
残りの1割に何があるのか。その背景には、柏の前線で激しさを増すポジション争いがある。
藤尾の加入によって、1トップと2シャドーの3枠をめぐる競争は一段と活性化した。神戸戦でも藤尾と山内がゴールを決め、瀬川も途中出場から結果を残した。
「翔太の存在は、毎試合大きくなっているかなと思います。それにやっぱり僕もそうだし、真大(細谷)もそうだし、競争意識がさらに芽生えるから。なんかチームとして、ワントップ・ツーシャドー、この前の3枚のポジション争いっていうのは、翔太のおかげとまでは言わないけど、すごいいい循環にはなっているかなと思います」
瀬川は細谷真大の変化にも目を向ける。得点に飢えていた細谷が周囲を生かすようになり、ガンバ大阪戦でのアシストにもつながったのではないかという。
「その競争がいい流れになっているのかな。大量得点につながっているかは分からないですけど、みんないいメンタリティでやれていると思います」
チームにとっては好ましい競争だろう。だが、その当事者である瀬川は、本人にしかわからない葛藤と戦っている。
「俺、点を取ってるけどスタメンじゃないじゃん」
「僕の場合は、ちょっともう違うところで戦っちゃっています。途中出場、ほぼほぼ途中出場なんで。そこをこう、自分の気持ちを押し殺すところと、なんか……。まあ入場したいなって。娘もいるし、一緒に歩きたいなとか思うし。なんか悔しくはないですけど、今日みたいな試合になると、すっごいモヤモヤします」
娘と一緒に、キックオフ前のピッチを歩きたい。その願いには、プレー時間だけでは測れない、選手として、父親としての思いがにじむ。
「リードすると、僕必要ないじゃないですか。長く出たいのに、やっぱ翔太と日向汰が取ったら、僕のポジションなんで。監督としては、そんな点を取ってすぐ替えるなんてことはできないし。俺、点を取ってるけどスタメンじゃないじゃんって。で、僕が何もできないっていう」
先発選手が活躍するほど、自分の出場時間は短くなるかもしれない。チームメイトの得点を喜ぶ気持ちも、もっとプレーしたい気持ちも、どちらも本心なのだろう。
「今日はちょっと悔しかったですね。呼ばれるまで、だってどっちも点を取っているから、『俺出ねえじゃん』って思いますね。これってどうなんだろうと思いますよ」
相反する気持ちを抱えつつも、その言葉は監督への不満には向かわないのが瀬川祐輔という男だ。
「でも、絶対出るなとは思っているから、出たらもう本当に爪痕を残すしかない、みたいな。……監督は信頼して使ってくれているんで。そこに対しては、僕はもう、なんていうんだろう、応えなきゃいけないから。すごい自分の気持ちとの戦いをしています、今は」
瀬川は、自分のコントロールできない部分に葛藤を抱えつつも、なぜ腐らずに前を向けるのか?
そう訊かれると、即座にある選手の名前が挙がった。