今季のJ1リーグで出場機会がなかった男が、首位攻防戦の流れを変えた。柏レイソルは9日、ヴィッセル神戸との直接対決を4-2で制し、首位に浮上。開始16分のアクシデントによって急きょピッチに立った戸嶋祥郎は、プロ入り後に公式戦での経験がなかったというセンターバックで躍動し、得点にも絡んだ。「サチみたいな選手がいることが全て」。チームメートから絶賛された背番号28は、出番を待ち続けた日々をどう過ごしていたのか。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
「サチみたいな選手がいることが全て」
まず遠藤渓太が「試合が終わった後、監督が『メンバー外になったり、試合に出られなくても、腐らずに努力していた選手にはああいう形でチャンスが訪れるし、それを確実にモノにする』と言っていましたけど、本当にその通り。素晴らしかったと思います」と賛辞を贈ると、ともに得点に関与した小泉も「今日チームで一番よかったのは誰かといったら間違いなくサチ君。スーパーだったと言っていいと思います」と心からのリスペクトを口にした。
そして瀬川も「サチみたいな選手がいることが全てですね。練習でも本当に真面目にやっていますし、サチのおかげでチームが少しグッとまとまったかなと思います」と強調する。
ここからJ1、ルヴァンカップ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の超過密日程に突入し、4つのタイトルを狙っていくチームにとって、マルチタスクを献身的にこなしてくれるベテランが台頭してきたのは、まさに朗報だ。
「今までは出場機会が少なかったですけど、自分がやるべきことは全部、このエンブレムのために戦うということ。その姿勢はブラさずにやっていきたいですし、それがチームのためになると信じてこれからもやっていきます」
戸嶋のような人材が柏に好循環をもたらしてくれるのは間違いない。
今後の背番号28の一挙手一投足をより一層の期待を込めて、注視していきたい。
(取材・文:元川悦子)
▽語り手:元川悦子
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2026年北中米大会まで9回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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