
柏レイソル 小泉佳穂【写真:Getty Images】
歯車が噛み合わなかった。柏レイソルは17日、明治安田J1リーグ第10節で名古屋グランパスに1-3で敗れ、首位から陥落した。小泉佳穂への徹底マーク、攻撃時のポジショニング、そしてボールを失った瞬間の守備。名古屋の積極的なプレッシングによって浮き彫りになったのは、柏が武器としてきた流動性の裏側に潜む課題だった。優勝を目指すチームにとって、この敗戦をさらなる進化に向けた「レッスン」とすることができるだろうか。(取材・文:高橋大地)[2/3ページ]
藤尾翔太が示した活路。「動きすぎ」が招いた誤算

柏レイソルFW藤尾翔太【写真:Getty Images】
柏にも攻略の糸口はあった。
23分、藤尾翔太が前線でボールを収め、自ら持ち運んで遠藤渓太の同点ゴールをアシストした。
藤尾は厳しいプレッシャーを受けてもボールを収められ、個の力で局面を打開できる。この場面では、そのクオリティーが柏の攻撃に新たな可能性をもたらした。
一方で、周囲との連係にはまだ改善の余地がある。特に小泉をはじめとする味方との距離感や、藤尾が下がってボールを受けた際に誰が背後へ抜け出すのかという部分だ。
試合後、小西雄大はこう振り返った。
「ローテーションを回しすぎたかなというのも若干あった。(藤尾)翔太のところでかなり収まっていたので、シンプルにそこを空けてあげて、(ボールを)入れたところにサポートのような形でもよかったのかなと思う」
柏の強みは、選手たちが流動的にポジションを入れ替えながら相手を崩すことだ。しかし、この日はその流動性が必ずしもプラスに働かなかった。
「誰かが縦に引っ張るっていうのもやっぱり必要になってくると思うので。翔太が少し深さを取りながら落ちてきたりしている中で、じゃあ誰が縦に引っ張るのかっていうところとか。やっぱり全員が受けに来てしまうと狭くなっちゃうんで」
小西は前半、中川敦瑛が2列目から背後へ抜け出し、自身がパスを通した場面を例に挙げた。
マンツーマンの守備では、一人が相手を引きつければ、別の場所にスペースが生まれる。
小泉への高嶺の密着マークについても、小西は「べったりくっついている分、他でスペースを作れるシーンっていうのはやっぱりあった」と語っている。
高嶺が左センターバックの位置から小泉を追いかければ、その背後にはスペースが生まれる。
この日の名古屋は、高嶺とボランチの稲垣祥がうまく連動し、大きな綻びを見せなかった。しかし、小泉を封じるために最終ラインの選手を高い位置まで押し出す守備には、リスクが伴っていたことも事実だ。
柏には、その動きを逆手に取る余地があった。
しかし、味方が次々とボールを受けに下がってしまえば、せっかく生まれたスペースを使う選手がいなくなる。藤尾が前線でボールを収められていたからこそ、その周囲の選手がどこに立ち、どのタイミングで動くべきだったのかが問われる。