
FC町田ゼルビアでプレーする明本考浩【写真:Getty Images】
ベルギーから戻った明本考浩は、日本の夏の暑さに「キツい。ヤバい」と苦しんだ。それでも開幕戦でゴールを決め、町田の首位争いを支えてきた。10月18日のアビスパ福岡戦では、ACL遠征から中2日の過密日程のなか2得点に絡み、3-0の快勝に貢献。「まだコンディションは100%じゃない」と語る明本の真価は、ここから発揮される。(取材・文:菊地正典) [1/2ページ]
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【2026/27明治安田J1リーグ第10節】
2026年10月18日 FC町田ゼルビア 3-0 アビスパ福岡
(町田GIONスタジアム)
「暑くても走れる」3年前とは別人のようだった

浦和レッズ時代の明本考浩【写真:Getty Images】
明本考浩は夏に強い……はずだった。
「自分暑くても走れるので、みんなが走れなくなる分、力を出しやすいと思います」
浦和レッズ時代、酷暑の中で顔に流れる汗とは裏腹に、涼しい表情でそう話す明本の姿を何度見ただろうか。
栃木SCユース時代はそうではなかった。自身がゴールを決めることを最優先に考え、攻め残る10番であり、のちに振り返ればそれがトップ昇格できなかった理由だと自覚する。
しかし、住吉ジェラニレショーン(清水エスパルス)や髙橋利樹(サガン鳥栖)、いまや日本代表選手となった谷村海那(横浜F・マリノス)と同級生だった国士舘大学で強度と走力を身につけたことにより、身体能力の高さが引き出された。
トップ昇格は叶わなかった栃木SCでのプレーを経て、浦和レッズに加入するころには、夏こそがむしゃらに走って闘う自身の持ち味が発揮されると自信を持っていた。
それなのに――。2026年8月、26/27シーズンの開幕を直後に控え、明本は今夏からプレーするFC町田ゼルビアの練習場、三輪緑山ベースで大粒の汗を流しながら、「キツい。ヤバい」と繰り返していた。3年前までとは別人のように、苦悶の表情を浮かべる。
「これまでの町田のイメージは…」

OHルーベンでプレーしていた明本考浩【写真:Getty Images】
「ベルギーから帰ってきたら、日本の夏の暑さに驚きました。もう自分の知らない世界みたい(笑)。以前は夏に強かったはずなのに、この暑さに慣れるには時間がかかりそうです」
町田に加入する前に明本がプレーしていたOHルーベンのホームタウンであるルーベン(ベルギー)の8月の平均気温は18℃前後。平均最高気温でも22℃程度と、東京よりずいぶん低い。
外国籍選手、特にヨーロッパから来た選手たちは日本の夏を「クレイジー」だと言うが、ベルギーで2度の夏を過ごした明本の感覚も、欧州人のようになっていた。
それでも明本は、8月8日のJ1リーグ開幕節、自身の日本復帰戦となったFC東京戦でゴールを決めて5-1での勝利に貢献すると、以降リーグ戦6試合連続でフル出場する。
「これまでの町田のイメージはロングボールだったと思うけど、キャンプからつなぐサッカーに取り組んでいるし、チームとしてすごく進歩していると思います」
そう話す明本自身は新戦力として、6戦5勝1分で首位を走るチームの牽引者の一人となった。
第7節の横浜F・マリノス戦では2度の警告で退場となり、第8節の柏レイソル戦の出場停止を経て、第9節の京都サンガF.C.戦はベンチスタート。それでも58分からピッチに入ると、0-0で迎えた86分に相手DFが体に当てながらも弾ききれないほどの強烈なシュートを叩き込み、決勝ゴールを決める。
「ああいうのはクリアになることが多いけど…」

FC町田ゼルビア対アビスパ福岡の模様【写真:Getty Images】
チームは明本が退場したマリノス戦を引き分け、続く柏戦で今季初黒星を喫していた。明本は汚名を晴らすとともに、あわや3戦連続勝利なしとなりそうだったチームを寸前で救ってみせたのだ。
そして、試合が行われる時間は夜から昼になったものの、真夏よりずいぶん涼しくなった10月18日、明本は力を存分に発揮する。
もっとも、この日行われたアビスパ福岡戦は、チームにとって日程面でタフな一戦だった。
10月10日の敵地での京都戦を終えたのち、続いて敵地どころか国外のシンガポールで15日にAFCチャンピオンズリーグTwo 2026/27グループステージのタンピネス・ローバーズ戦に臨んだ。
日本人も多く在籍したチームに1-0で勝利したのち、スタジアムから空港へ直行して帰国。16日午前に帰国し、1日を挟んでの福岡戦である。
明本もタンピネス・ローバーズ戦で後半開始から45分プレーしていた。
「移動がしんどかった」
そう吐露したように、決して万全な状態ではなかったはずだが、かつてのようながむしゃらさを前面に押し出すのではなく、余裕すら感じるプレーぶりで2点に絡む活躍を見せた。
まずは73分、相手のサイドチェンジをジャンピングヘッドでインターセプトすると、そのままドリブルで駆け上がり、内側の相馬勇紀へパス。相馬のクロスのこぼれ球を前寛之が押し込んだ。
「ああいうのはクリアになることが多いけど、何とかマイボールにしたいという思いがありました」